不妊治療で行う超音波検査とは超音波を使って卵胞や子宮内膜の状態を観察するための検査です


不妊治療ではさまざまな検査を行いますが、その中のひとつ超音波検査は卵胞や子宮内膜の様子を調べるために行う検査です。
超音波検査には主に2種類ありますが、腹部にゼリーを塗って超音波を当てるものは「経腹超音波検査」と言います。

もうひとつは膣内に超音波を出す棒状のプローブを入れて検査する「経膣超音波検査」であり、こちらの方が卵巣や子宮などをより近くで観察できるとされています。

そのため不妊治療では経腹超音波検査よりも経膣超音波検査が向いているとされ、内診とあわせて行われています。

超音波検査では高い周波数の音によって検査を行います

超音波検査では高い周波数の音を用いて検査を行います。
超音波は音の一種ですが、人間が耳で捉えることのできる音の範囲(可聴音)よりも高い周波数の音のことを指します。

可聴音の周波数は20ヘルツ~20キロヘルツであり、一般的に超音波検査で用いられる超音波の周波数は1~30メガヘルツとなります。

不妊治療で使われる超音波は人体に無害とされていますが、極度に周波数の高い超音波には物質を破壊する働きがあり、金属加工や殺菌など医療目的以外に応用されています。

超音波は対象物に当てることで反射したものを即時に映像化するため、卵巣や子宮の様子をリアルタイムで観察することができます。
手で触って検査をする内診では届かない場所の検査が行えるので、正確で詳細な情報を得ることが可能です。

経膣超音波検査では超音波のプローブを膣内に挿入し、身体の中で超音波を発生させて反射するエコー映像をもとに診断を行います。

不妊治療での超音波検査の流れとしては、患者さんは下着を脱いで検査着に着替えた後、診察台の上に仰向けになります。

ジェルを塗った経膣プローブという棒状の器具を膣内に入れ、膣内で動かし身体の中を観察します。
経膣超音波検査には子宮内に滅菌食塩水を入れて行うものもあり、クリニックによって方法が異なることがあります。

クリニックでは、経膣超音波検査を行う際に患者さんが恥ずかしい思いをしないよう徹底した配慮がなされるので安心しましょう。

経膣超音波検査は子宮筋腫などの発見に繋がります


経膣超音波検査は不妊症を引き起こす原因となっている疾患を見つけることが可能であるため、不妊治療において欠かすことのできない検査です。
それでは不妊症を招く原因となる主な疾患にはどのようなものがあるのでしょうか。

子宮筋腫

子宮の筋肉に発生する腫瘍のことを子宮筋腫と言います。
複数発生することも多く、小さいものでは米粒程度ですが重度の場合はメロンと同じ程度の大きさになることもあります。

基本的には良性の腫瘍であり命に関わることはありませんが、不正出血することもあり、まれに悪性に変化する例もあるので定期的な検査が必要です。

子宮腺筋症

子宮腺筋症とは子宮内膜のような組織が子宮の筋肉の中にできる疾患で、子宮内膜症や子宮筋腫を併発することもあります。
発症すると強い月経痛や経血量の増加などの症状が現れます。

多嚢胞性卵巣症候群

排卵が正常に行われない排卵障害のことを多嚢胞性卵巣症候群と言います。
月経のサイクルが乱れたり、不正出血が見られたりすることがありますが、排卵されないので自然妊娠が難しくなります。

経膣超音波検査によって排卵の時期を特定できます

不妊治療における経膣超音波検査の目的は不妊症の原因となる疾患を見つけることですが、それ以外にも排卵の時期を明確にする目的があります。

一般的に経膣超音波検査は受診の度にほぼ毎回行われ、排卵される時期には卵胞の直径を観察しながら検査が行われます。

排卵の有無については基礎体温の計測である程度の目途はつきますが、経膣超音波検査によって、より正確な時期を特定できます。

経膣超音波検査では卵胞の成長度合いだけでなく、排卵しそうな卵胞や排卵されなかった卵胞についても観察することが可能となります。

ただし卵子のグレードなどを調べるにはさらなる検査が必要とされ、経膣超音波検査はあくまで不妊治療のスタート地点です。
医師との信頼関係を築きながら、根気強く不妊治療に取り組んでいきましょう。

(まとめ)不妊治療で行う超音波検査ってどんなもの?

1.不妊治療で行う超音波検査とは超音波を使って卵胞や子宮内膜の状態を観察するための検査です

不妊治療での超音波検査は、卵胞や子宮内膜の状態を調べるために行われます。

超音波検査には経腹超音波検査と経膣超音波検査がありますが、卵巣や子宮などをより近くで観察できる経膣超音波検査の方が不妊治療に向いているとされています。

2.超音波検査では高い周波数の音によって検査を行います

超音波検査では可聴音よりも高い周波数の音を用いて、卵巣や子宮の検査を行います。

対象物に当てて反射したものを映像化することで、卵巣や子宮の様子をリアルタイムに観察することが可能となります。

3.経膣超音波検査は子宮筋腫などの発見に繋がります

クリニックで経膣超音波検査を行うことで、子宮筋腫など不妊症を招く疾患の発見に繋がります。

不妊症を克服するには原因となる疾患を見つけることが大切であり、定期的にクリニックを受診することが求められます。

4.経膣超音波検査によって排卵の時期を特定できます

経膣超音波検査には不妊症の原因となる疾患を発見するだけでなく、排卵の状況を確認する目的もあります。

卵子のグレードなどを調べるにはさらなる検査が必要となるので、医師との信頼を築きながら不妊治療に取り組みましょう。



仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産科婦人科内視鏡学会

運営者情報

運営クリニック 六本木レディースクリニック
住所 〒106-0032
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院長 小松保則医師