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不妊治療の卵管造影検査はレントゲンを撮る検査です
不妊治療の最初に行う検査の中には、レントゲンを使うものもあります。
卵管の詰まりや癒着、ポリープがないかを調べる卵管造影検査が一例です。
卵管内にトラブルがあって精子が通りにくい状態だと、自然妊娠が難しくなります。
卵管造影検査は、造影剤を使って子宮の形や卵管のトラブルをチェックし、不妊の原因を確かめるための検査です。
不妊治療の方針を決めるために必要な検査です
不妊治療を始める時には、原因究明から行います。
原因に応じて治療の選択肢が変わるため、適切な方針を立てずには、治療がスムーズに進まないためです。
妊娠しにくい原因が女性側にあるのか、男性側にあるのかを調べるために、複数の検査を行う必要があることを理解しましょう。
行う検査の1つには、レントゲンを使った卵管造影検査が挙げられます。
子宮のなかに造影剤を入れてどのように広がっていくかを観察する検査です。
トラブルがあると造影剤が腹腔に広がる様子が見られるため、卵管通過障害の特定に役立ちます。
卵管造影検査はあくまで不妊の原因を特定するための手段です。
これらの検査を経て、自然妊娠が難しいと分かったところから体外受精を含めた不妊治療がスタートし、以降さまざまなアプローチを進めていきます。
受精の可能性があるタイミングで行うとレントゲンが悪影響を及ぼすリスクがあるため、妊娠可能性がない生理が終わって数日以内に行うのが一般的です。
検査スケジュールに関しては担当医師とよく相談し、日程の目安を頭に入れておきましょう。
レントゲンを撮る検査は一定のリスクが伴います
レントゲンの検査を行うにあたって、ヨード造影剤を使います。
このときヨードに敏感な人は副作用リスクが高まるため、医師に必ず伝えてください。
一定の頻度でかゆみや発疹、嘔吐といった軽い副作用が生じる場合もありますが、基本的には治療を必要とするほど重症にはならないでしょう。
重篤な副作用の例としては、息苦しさ・血圧低下・意識消失・腎不全などが挙げられます。
確率的には数万人に1人ともされており、副作用が生じる可能性は高くないものの、このようなリスクがあるということは覚えておいてもよいかもしれません。
また遅発性の副作用として、頭痛・発疹・動悸といった症状が数時間から数日後に生じるケースもあります。
そのためもし検査を終えてから気になるところがあれば、かかっている医療機関へ速やかに連絡し、具体的な指示をあおぎましょう。
その他のリスクとして、性器の出血や痒痛といった合併症が生じる人もいます。
子宮や卵巣にいた細菌がお腹のほうにあがっていき、腹膜炎を起こす可能性も否めません。
腹膜炎予防のために抗生物質が出されることもありますから、指示通りに最後まで飲みきり、感染症防止に努めてください。
卵管造影検査を受けるためにはクラミジア検査が必要です
卵管造影検査を受けるためにはクラミジア検査が必要です
クラミジア感染症にかかっていると子宮や卵管の炎症を起こしやすく、夫婦で治療が必要です。
感染の有無がはっきりしない状態では、卵管造影検査を受けることはできないため、前もってクラミジア検査を行いましょう。
クラミジア感染の有無を調べるには、大きく2つの方法があります。
子宮頸管の細胞にクラミジアがいないことを確かめる方法、血液検査で感染歴があるかを調べる方法のうち、どちらかで進めるのが一般的です。
おりものが増える、不正出血があるなどなんらかの自覚症状で気付く女性もいますが、無自覚のまま放置してしまうことも多い感染症です。
そのまま妊娠してしまうと流産や産道感染から赤ちゃんに移してしまうリスクがあるため、きちんと治療を進めましょう。
治療とはいっても、抗菌薬の投与だけの簡単なものです。
母子ともに安全な妊娠・出産を願うなら、欠かせない検査・治療の1つでしょう。
またクラミジア検査で問題ないことが分かっても、甲状腺疾患があったりメトホルミンを内服していたりすると、卵管造影検査は受けられません。
飲んでいる薬や既往症はきちんと伝えて、レントゲン検査を受けられるかの判断をあおぎましょう。
(まとめ)不妊治療でレントゲンを撮ることはある?
不妊治療を始めたばかりに行う検査の中には、レントゲンを使うものもあります。
卵管造影検査を行うにあたってレントゲンを使うのは一般的なことなので、不安に感じる必要はありません。
レントゲンを使った卵管造影検査は、卵管通過障害の発見に貢献することが可能な検査です。
妊娠しにくい理由がどこにあるのか調べることが出来たのちに、その原因に対してどのような治療を行っていくかというのが決まります。
卵管造影検査には副作用リスクがあるとも言われていますが、重篤な症状が出ることは極めてまれです。
しかし検査の後に、そういった症状が出てくる場合もあるため、不安に感じることがあれば速やかに医師へ相談するようにしましょう。
卵管造影検査を受けるための条件の1つにクラミジア感染症にかかっていないことが挙げられます。
そのため夫婦そろってクラミジア検査を行い、万が一のことがあれば適切な治療が必要となるでしょう。