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不妊治療で処方されるピルの効果は卵子の質向上です
不妊治療で体外受精を行う際には、質のよい卵子を取り出すステップが必要です。
採卵に先立って卵子の質を高めるため、ピルが使われるケースもあります。
不妊治療がスムーズに進むように身体の中の状態を整えるためのものですから、不安を感じる必要はありません。
医師から指導を受けたピルの服用スケジュールに従い、忘れずに飲むことが大切です。
不妊治療の体外受精は卵子の質が重要です
卵子の質を向上させるためにピルを使用することもあると言いましたが、そもそも質を高めることは、体外受精にとってどんな意味があるのでしょうか。
質がよい卵子は質がよい胚につながり、移植に耐えうるグレードの胚を確保するねらいがあります。
移植に耐えられる良質な胚がなかった場合は先の治療に進めないので、スケジュールが後ろ倒しとなりかねません。
予定したスケジュールで不妊治療を進めるためにも、卵子の質にこだわることは大切です。
質がよい卵子が育てば必要な数だけを取得し、受精卵へとつなげることもできるため、母体の負担も軽減されます。
ピルの副作用を気にする人もいますが、子宮内膜症改善や卵巣がん・子宮体がんの予防目的など、多様な活用法が知られている薬です。
海外ではドラッグストアで扱うこともあるほどメジャーで、過剰に心配する必要はありません。
ピルに対して、避妊薬という認識ではなく女性特有の疾患に対する選択肢の1つと考えれば、心理的な障壁もクリアにできるのではないでしょうか。
ネガティブなイメージを持つ人も多い薬だけに不安を感じるのは当然ですが、不妊治療を成功させるための重要な準備と考えてください。
採卵の後に卵巣を休ませる目的でも使います
採卵を終えたタイミングでピルが処方されるねらいは、卵巣を休ませることにあります。
生理を終えると卵胞は排出されるのですが、排卵誘発剤を使用した関係で体内に残ってしまうもの(遺残卵胞)が出てくるためです。
遺残卵胞は変性卵や空砲が多くて、体外受精には使えません。
前の周期の卵胞が邪魔をして新しい良質な卵子を育てるため、ピルを使いリセットします。
卵巣を休ませている期間は、不妊治療はお休みです。
なるべく早く妊娠したいと思っている人にとっては煩わしく感じることもあるはずですが、質がよい卵子を育てるためには欠かせません。
ピルには排卵周期を安定させる効果も期待されますから、不妊治療のスケジュールを立てやすくなるメリットもあります。
誘発剤を使うと少なからず身体に負担がかかるため、何度も連続で行うのはリスクです。
ピルで身体を休ませている期間も妊娠のために必要と割り切り、指示通りに服用しましょう。
ストレスからホルモンバランスが乱れてしまうこともあるため、焦る気持ちは大敵です。
「ベストタイミングを計って次こそ」くらいの気持ちでどっしり構えて、不妊治療に取り組みましょう。
ピルの服用には副作用リスクも伴います
不妊治療に使われるピルにも副作用リスクがあるため、体調管理に気をつけながら服用しましょう。
よく知られる副作用としては、吐き気・胸の張り・不正出血などが挙げられます。
飲み忘れがあって2錠一緒に飲む時は、とくに副作用が生じやすいとする説もあるため、規則正しいリズムでの継続が大切です。
深刻な副作用としては、血栓症リスクが高まることが知られています。
ピルを飲んだことが原因で深刻な血栓症を起こすリスクはそれほど高くないとも言われますが、命に関わる事例もあることを理解しておきましょう。
喫煙・肥満といったリスク因子が加わると副作用が出る確率が高くなってしまうため、より慎重な体調管理が必要です。
服用中に体調が急変したり堪えがたいくらいの体調不良に気付いたりしたら、医療機関へ相談しましょう。
正しく活用すれば不妊治療を後押しする薬ですが、一定のリスクが伴うことを理解しておかないと、万が一の事態に対処できなくなってしまいます。
自分の身は自分で守る気持ちを大切に、ピルの効果と注意点を今一度見なおしてみましょう。
(まとめ)不妊治療で処方されるピルの効果とは?
不妊治療で出されるピルの主な目的は、採卵に向けた準備を進めることです。
卵子の質を高めることで移植の成功率を高める効果が期待され、妊娠をサポートするために服用します。
ピルを使って卵子の質を高めることによって、予定通りのスケジュールで胚移植を行える可能性が高まります。
たくさんの卵子をとるよりも質が高い卵子を確実に育てていく方法のほうが母体への影響が少なく、負担が軽減可能です。
採卵を終えてピルが出された場合には、卵巣ホルモンを補うことによって卵巣を休ませるねらいがあります。
移植には使えない遺残卵胞を体内から排出し、リセットする目的です。
不妊治療をサポートする薬とはいえ、ピルの服用には一定の副作用が伴うことを理解しましょう。
吐き気や胸の張りといった軽い副作用だけでなく血栓症リスクを高めるおそれもあるため、身体に合わない場合は医師の判断をあおぎましょう。