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プロラクチンは不妊治療を始める時の検査で測定する数値です
プロラクチンとは、母乳の分泌をつかさどり産後の無月経の原因となる乳汁分泌ホルモンのことです。
妊娠中や授乳中以外に大量に分泌されると不妊症の原因となることがあり、治療方針を決める検査の中で測定されます。
下垂体ホルモン検査を行うと言われたら、薬や治療方法を考えるためにプロラクチン数値を計測すると考えてください。
プロラクチンの過剰分泌は排卵障害の原因の1つです
プロラクチンの過剰分泌は、排卵障害につながるリスクがあります。
排卵障害とはホルモン分泌が足りないことを原因として、周期的な排卵が見られない、もしくは卵子が発育しなくなってしまうトラブルです。
視床下部・下垂体・卵巣とホルモン分泌をコントロールする流れの中になんらかの異常があり、自然妊娠が難しくなるケースもあります。
排卵された卵子が卵管に入って精子と受精するのが妊娠ですから、排卵が行われなかったら自然妊娠はできません。
自然妊娠できない事情がはっきりすれば、不妊治療によるサポートが必要と判断できます。
ホルモン分泌はストレスや過激なダイエットの影響を受けやすく、プラクチン過剰だけが原因とは限りません。
過激なダイエットの目安として、1ヶ月あたり2~3kg体重が減るくらいのスピードととらえましょう。
体重がもとに戻ったとしてもすぐにホルモン分泌が復活できるわけではなく、妊娠しにくい体質になってしまうリスクがあります。
このように不妊の原因にはいろいろな可能性が考えられるからこそ、たくさんの検査が必要です。
プロラクチンについて調べることも、妊娠に向けた検査の1つととらえましょう。
プロラクチンが高くなる原因は3つです
なぜプロラクチンが高くなってしまったのか知りたい人もいるのではないでしょうか。
過剰分泌の原因として考えられる要素は、大きく分けて3つあります。
まずメンタル疾患治療に使う安定剤や胃腸薬を長期間飲み続けたことによるものです。
ドーパミンに作用する薬はとくに影響を与えやすく、服用歴が長いことから、プロラクチンが多くなってしまうケースがあります。
2つ目は脳下垂体に小さな腫瘍ができて、プロラクチンを産出していることです。
腫瘍といっても良性のものがほとんどで、心配することはありません。
3つ目はストレスが原因となってホルモン分泌に異常をきたしてしまっているケースです。
この場合、視床下部のコントロールが効きにくくなり、通常より多めのプロラクチンを産出することがあります。
このほか、甲状腺機能低下症や間脳周囲の腫瘍なども過剰分泌の原因となる要素です。
はっきりとした原因がわからないことも多く、生理不順などで医療機関を受診してはじめて、過剰分泌に気付く女性もたくさんいます。
不妊の原因になるとはいっても絶対に妊娠できないわけではなく、専門家のアドバイスを受けながら治療すれば、赤ちゃんを授かることも可能です。
排卵障害でも体外受精を検討できることはあります
不妊治療の体外受精はもともと、卵管閉鎖でなかなか妊娠できない女性のために行ったのが始まりです。
それからは対象がどんどんと広がっており、排卵障害に対しても利用が検討されるようになっています。
プロラクチン値が高くて自然妊娠が難しい状態でも治療を受けられるケースがありますから、医療機関に相談しましょう。
一般不妊治療から対策を始めて、うまくいかなかった時に体外受精を検討する方法もあります。
はじめから体外受精が検討されるケースは、一般不妊症では妊娠が難しいと判断される状況の時です。
不妊検査の結果だけでは一般不妊治療か体外受精か判断できないケースも多く、臨床経過を見ながら、望ましい結果を目指していくこととなります。
一般不妊治療を数年行ってもよい結果が認められない場合に体外受精に移行する夫婦もいて、進め方はさまざまです。
早くに体外受精を決断すれば成功確率が高まりますから、不妊治療を始めたタイミングによっても結論は変わってきます。
金銭的な問題や将来計画など総合的な判断を考慮し、望ましい方法を考えてみましょう。
(まとめ)不妊治療とプロラクチンにはどんな関係がある?
プロラクチンとは、乳汁分泌ホルモンのことです。
不妊治療を始める時に行う検査の中には、プロラクチンを測るものも含まれており、「下垂体ホルモン検査」とはこのプロラクチン数値を計測する検査のことを指します。
プロラクチンは妊娠中や授乳中に行われるのが通常で、授かる前に多いのは不妊の原因となりがちです。
排卵トラブルを起こしている状態を指し、不妊治療が必要かを判断する材料となります。
プロラクチンの過剰分泌が起こる原因として、メンタル疾患に関係する薬の服用・脳下垂体の腫瘍・ストレスなどが考えられます。
はっきりとした原因がわからないことも多いのですが、専門家のアドバイスに従いましょう。
排卵障害があっても絶対に妊娠できないわけではなく、体外受精を行うことで赤ちゃんを授かることも可能です。
一般不妊治療と体外受精のどちらを行うか判断する時にも必要な検査と考えてください。