目次
不妊治療では抗精子抗体による不妊や多嚢胞卵巣の治療にステロイド薬を使用します
抗精子抗体といい、精子の動きを押さえてしまう抗体ができてしまう女性の場合、治療薬としてステロイド薬を使用することがあります。
ほかにも多嚢胞性卵巣症候群の病状がある場合、排卵誘発の補助として使用することもあるのです。
不妊治療で使用するステロイド薬には、副作用として体重の増加や不眠の症状が副作用として出ることもあるので、あらかじめ覚えておいてもよいでしょう。
抗精子抗体や多嚢胞卵巣の治療にステロイド薬が使用されることがあります
不妊の原因は非常に多岐にわたり、人それぞれで不妊の原因が異なるため、原因の特定は難しいものです。
不妊の原因の1つに抗精子抗体が挙げられることがあります。
抗精子抗体とは、女性の体の中に入ってきた精子を異物とみなして抗体が作られ、精子に結合して精子の動きを抑えてしまうというものです。
抗精子抗体は子宮だけでなく、膣や頸管粘液、卵管の中などさまざまなところで出現し、精子の動きを抑えます。
抗精子抗体による不妊の治療薬には、プレドニンやプレドニゾロンと呼ばれるステロイド薬を使用することがあります。
プレドニンは、一般的には膠原病の治療やアレルギー性疾患の治療に使われる薬です。
このプレドニンには、体の免疫反応を抑える働きがあります。
抗精子抗体による不妊の治療には、ステロイド薬の処方以外にも、人工授精や体外受精も積極的に取り入れられています。
不妊治療では抗精子抗体のほかにも、多嚢胞卵巣の病状がある場合の排卵誘発の補助薬として、プレドニンやプレドニゾロンが使用されることもあります。
プレドニンやプレドニゾロンは服用する時間に気を付けましょう
プレドニンもプレドニゾロンもどちらもプレドニゾロンを主成分とした薬で、プレドニンもプレドニゾロン・プレドバン・プレロンなどの商品名で販売されています。
プレドニンやプレドニゾロンという薬は、長期間にわたり大量に服用すると、肥満や消化管潰瘍・骨折・筋力低下などの副作用が出ることがありますが、不妊治療で服用する場合には服用する量が少なめであるため、とくに重篤な副作用を心配する必要はありません。
不妊治療の治療薬としてプレドニンやプレドニゾロンを服用する場合には、体重の増加や不眠の副作用が出る場合があります。
夜寝る前に服用する場合には、場合によっては寝つきが悪くなることもあるため、服用の時間に気をつけましょう。
朝昼の2回の服用が一般的ですが、どちらか一方を飲み忘れてしまった場合には夕食後に忘れた分を飲みます。
薬は、効果・効能のほかに副作用が必ずあるとされており、副作用のない薬は存在しないとも言えます。
はじめて服用する薬の場合は、主治医に必ず副作用の内容や、飲み忘れた時の対処法を確認しておくことが大切です。
しっかりと確認しておくことで、万が一の場合も慌てずに済みます。
ステロイド薬は不育症の改善に用いられることもあります
不妊症が妊娠しにくい症状のことを意味しますが、妊娠してもその妊娠が継続されにくい状態で、妊娠しても流産や死産を繰り返す場合、不育症と言います。
不育症も不妊症と同じく、原因が人によってさまざまに異なり、またその原因の特定が難しいとされています。
不育症の原因の1つには、「抗リン脂質抗体」が関与されているのではないかと疑われています。
抗リン脂質抗体は自己抗体の1種で、抗リン脂質抗体が強く働くと、全身の血液が固まりやすくなります。
不育症の場合、胎盤付近の血管に血栓ができることで、胎盤に酸素や栄養分が行きわたらなくなり、流産や死産に繋がってしまうとされているのです。
また血栓以外にも、抗リン脂質抗体が毛細血管に障害を起こし、胎盤の機能不全が起こるのではないかとも考えられています。
このような抗リン脂質抗体が原因とされる不育症の際には、アスピリンという経口薬やヘパリンという注射薬を用いて治療するケースが一般的です。
しかしプレドニやプレドニゾロンなどのステロイド剤が処方されることもあるため、覚えておくとよいでしょう。
(まとめ)不妊治療でステロイドの薬を使うのはどんな時?
抗精子抗体が原因として疑われる不妊や、多嚢胞性卵巣症候群の際に排卵誘発の補助としてステロイド薬が使用されることがあります。
体重増加や不眠の症状が副作用として現れる場合もあります。
精子に対して抗体を作り、精子の動きを抑えてしまう抗精子抗体に対する治療や、多嚢胞卵巣の排卵誘発の補助薬としてプレドニンやプレドニゾロンというステロイド薬を使用することがあります。
抗精子抗体にはステロイド薬以外に人工授精や体外受精も有効です。
プレドニゾロンを主成分としたプレドニンもプレドニゾロンを不妊治療の薬として服用する場合、体重の増加や不眠の副作用が現れるケースがあります。
夜寝る前に飲むと寝付が悪くなるケースもあるため、服用する時間に気を付けましょう。
抗リン脂質抗体により胎盤付近の血管に血栓ができ、胎盤に栄養や酸素が行きわたらなくなり、流産や死産を繰り返してしまうと考えられる不育症があります。
治療にはアスピリンやヘパリンといった薬のほかに、ステロイド薬を使用することがあります。