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不妊治療の過程で胸の痛みが出ることがあります
不妊治療では赤ちゃんを授かりやすくするために薬剤を使用することがありますが、この薬剤の影響で胸の痛みが出る可能性があります。
また不妊治療の内容や患者さんの体質などによっても胸の痛みが出るケースがあるので、治療の途中で少しでも違和感を覚えたらすぐ医師に伝えることが大切です。
クリニックでは薬剤や治療法による身体への影響を常に考慮し、患者さんが安心できるような治療を進めています。
不妊治療を始める前にもカウンセリングがありますので、まずは相談して不安な点を解消しましょう。
卵巣過剰刺激症候群によって胸の痛みが出ることがあります
卵巣刺激症候群は不妊治療の過程で起こる可能性がある疾患で、厚生労働省でも卵巣刺激症候群の対策マニュアルを作成しています。
排卵誘発剤の影響で胸水が溜まったり、呼吸困難になったりすることで胸の痛みを覚えますが、ほかにも下記のようなリスクがあると言われています。
卵巣刺激症候群にかかると卵巣が腫れ、胸だけではなくお腹にも水が溜まることがあります。
明らかにお腹が張っていたり、吐き気が続いたりするようであれば、腹水が溜まっている可能性が考えられます。
腎臓の血流が減少すると、身体に脱水症状のような異変が表れることがあります。
尿量の減少、喉の渇きなどはその前触れになるので注意が必要です。
医師の指導のもとに、規則正しい食生活を送っているにも関わらず体重が大幅に増えた時も注意が必要です。
腹水が隠れた原因になっていることがあり、腹水が溜まった分だけ体重が増加している恐れがあります。
排卵誘発剤の影響で腫れた卵巣は、腹水によって体内で動きやすくなります。
動いていることによってねじれていき、急性腹症を招く恐れがあります。
卵巣過剰刺激症候群は不妊治療を行うと必ず発症するわけではありません。
初期症状を放置して重篤な症状を招かないための予防策として、上記の症状について心に留めておいてください。
卵巣過剰刺激症候群には治療法があります
卵巣過剰刺激症候群は症状の進行状態に合わせた適切な治療を受けることで、回復する可能性があります。
重症化させないためにも初期症状の段階での発見が求められています。
卵巣過剰刺激症候群を発症しているかどうかについては、卵巣の大きさによって判断することがあります。
正常な状態の卵巣の大きさは3~4cmほどですが、排卵誘発剤などの影響で6~8cmまで腫れてしまうと、卵巣刺激症候群の疑いが出てきます。
軽度や中度であれば排卵誘発剤の使用量を減らすか、使用を中止して重症化を予防します。
症状が重度まで進んでしまうと、卵巣が10cm以上腫れてしまうことがあります。
卵巣刺激症候群において重度とされるのは主に血栓症です。
血栓症になると血液濃度が濃くなるので、血管の中に血液の塊ができてしまい、血流が阻害されてしまいます。
輸血をしたり、腹水を抜いたりすることで血液の濃度を正常に戻す治療を行います。
卵巣刺激症候群の発生頻度は決して高くありませんが、不妊治療を行うクリニックでは早期発見と早期対応を心がけています。
不妊治療で胸の痛みがある時は医師に相談しましょう
不妊治療を受けていて胸の痛みを感じる時は、身体のなんらかのサインである可能性があります。
たいしたことはないと自己判断せずに、少しでも痛みがあれば医師に申告しましょう。
排卵誘発剤のほかにも使用により胸の痛みが起こることがある薬剤には、次のものがあります。
黄体補充療法で使用されることのある膣用坐薬です。
胸の痛みや息切れなどの症状が現れることがあります。
不足した卵胞ホルモンを補うために使用する貼り薬です。
ルテウム坐薬と同じく、胸の痛みや息切れが表れることがあります。
このように排卵誘発剤以外でも、投薬で胸の痛みを覚えることがあります。
不妊治療に限らず薬剤を使用する以上、副作用のリスクをゼロにすることは難しいのが現状です。
患者さん自身も予防する意識を強く持ち、医師との信頼関係を築きながら治療に臨んでください。
(まとめ)不妊治療で胸の痛みが出てくる?
不妊治療では妊娠の確率を上げるために薬剤を使用することがあり、この薬剤の影響などで胸の痛みが出る可能性があります。
治療内容や患者さんの体質によっても胸の痛みが出ることがあるので、治療を受けて違和感をあればすぐ医師に伝えるようにしましょう。
卵巣過剰刺激症候群は排卵誘発剤などの投与により、発症する可能性がある疾患です。
発症すると胸水や呼吸困難による胸の痛みや、腹水などによる腹部の痛みを覚えることがあります。
卵巣刺激症候群の症状は症状の進み具合に合わせた治療を行うことで、重症化を防ぎます。
もっとも症状の重い血栓症では輸血や腹水を抜くことで血液の濃度を下げ、正常な状態に戻します。
薬剤を使用する以上、不妊治療においても副作用のリスクをゼロにすることはできません。
信頼できるクリニックを選ぶことはもちろんですが、患者さん自身も予防の意識を持って不妊治療に取り組みましょう。