不妊治療で母乳が出ない状態になるという医学的根拠はありません


不妊治療では妊娠する確率を上げるために何種類もの薬剤を使用しますが、副作用で母乳が出ない状態になるという医学的な証明はされていません。

授乳中の女性が持つ悩みの1つに母乳が出ないというものがありますが、母乳を出づらくしている原因は実に数多くあります。
女性の身体はとてもデリケートですので、さまざまな要因が母乳の分泌に影響を与えてしまいます。

不妊治療を受けたとしても母乳が出ない状態になることはないと考えられているので、不安にならずに妊娠を待ち望みましょう。

母乳が出ない状態になる原因があります

母乳が出ない状態を引き起こす理由としては、さまざまなものが考えられます。
不妊治療をしながらの授乳で母乳が出ない状態に悩まれている方や、不妊治療で赤ちゃんを授かった後の母乳について不安がある方もいるでしょう。

母乳が出ない状態の原因となるのは不妊治療によるものではなく、次に挙げるものが主な原因と考えられています。

睡眠不足

慢性的な睡眠不足は、母乳が出ない状態を招く可能性があります。
母乳は眠っている間に作られるため、睡眠不足によるストレスは母乳の出を悪くし、赤ちゃんが必要とする栄養素を摂取できなくなります。

また睡眠不足は授乳中であるかないかに限らず、不妊治療の成功率を下げることにもつながります。

食生活の乱れ

食べ過ぎはよくありませんが、食事の量が少な過ぎても母乳が出ない状態になりやすいです。

育児で時間の余裕がない、または家事や仕事と不妊治療の両立で忙しいなど、時間的理由で食事を疎かにすると母乳に影響しやすくなります。

乳腺が少ない

生まれつき乳腺の数が少ない場合、母乳が出づらいことがあります。
乳腺が少ないかどうかについては、出産後でないと判明しません。

無痛分娩による影響

オキシトシンというホルモンには子宮を収縮させ、陣痛を起こす作用があることから陣痛促進剤として使用されることがあります。

無痛分娩では人工のオキシトシンが含まれた陣痛促進剤を使うため、体内で自然に生成されるオキシトシンが減少する可能性が指摘されています。

オキシトシンが母乳の分泌に関わっています


オキシトシンは赤ちゃんが乳首を吸う際に刺激を受けることによって、分泌されるホルモンです。
また人と人とのコミュニケーションやスキンシップによっても、分泌が促進されると言われています。

母乳そのものはプロラクチンというホルモンから作られますが、母乳を出すためにはオキシトシンの働きで乳腺の周りの筋肉を収縮させる必要があります。

オキシトシンは9つのアミノ酸から生成されるペプチドホルモンです。
脳の視床下部から分泌され、神経伝達物質として人間の身体のあらゆる機能を調整する働きがあります。

妊娠や出産に深い関わりを持つオキシトシンは、「幸せホルモン」や「愛情ホルモン」などと呼ばれることがあります。
オキシトシンの分泌量を増やすためには、周囲の人々とのコミュニケーションを円滑にすることが効果的であると言われています。

妊娠や出産は女性だけの問題ではないので、夫婦間のコミュニケーションを重視する気持ちをお互いに持つことが大切です。

また不妊治療に関わる医師との信頼関係も重要になるので、相談事がしやすいクリニックを選びましょう。

栄養バランスの整った食事が母乳が出ない状態を防ぎます

母乳の分泌を増やすには栄養バランスと水分摂取量に気をつけましょう。

栄養バランスが偏っていたり、水分を摂る量が極端に少なかったりすると、母乳が出ない状態を招きやすくなります。
それでは母乳のためによいとされる主な食べ物について紹介します。

根菜類

根菜には身体を温め、血流を改善してくれる働きがあります。
冷えは基礎体温の低下を招いて不妊症の原因にもなるため、根菜を意識的に食べるようにしましょう。

根菜を含め、野菜を多く食べると体内の水分量が増加して、赤ちゃんにとって飲みやすい母乳になると言われています。

肉や魚

肉や魚は血液を作り、血液は母乳を作るもととなります。
高脂肪になり過ぎないように、なるべく脂身の少ない部位を食べるようにしましょう。

野菜とあわせてバランスよく食べることが理想的です。

(まとめ)母乳が出ないのは不妊治療の影響?

1.不妊治療で母乳が出ない状態になるという医学的根拠はありません

不妊治療では投薬治療を行いますが、その影響によって母乳が出ない状態になるという医学的根拠はありません。

女性の身体は内的要因と外的要因によって影響されやすく、母乳が出ない状態を引き起こす原因は数多くあると考えられます。

2.母乳が出ない状態になる原因があります

母乳が出ないというトラブルは、さまざまな要因から引き起こされています。

睡眠不足や食生活の乱れといった生活習慣によるもの、もともと乳腺が少ないという体質によるものなどがあります。

3.オキシトシンが母乳の分泌に関わっています

母乳はプロラクチンから作られ、オキシトシンの働きによって外に出されます。

オキシトシンは「幸せホルモン」や「愛情ホルモン」とも呼ばれ、周囲の人とのコミュニケーションを深めることで増えると言われています。

4.栄養バランスの整った食事が母乳が出ない状態を防ぎます

母乳の分泌量を増やすには根菜を中心とした野菜と、低脂肪の肉や魚をバランスよく食べることが大切です。

母乳が出やすくなるために、水分を多く摂ることも心がけましょう。



仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産科婦人科内視鏡学会

運営者情報

運営クリニック 六本木レディースクリニック
住所 〒106-0032
東京都港区六本木7-18-18 住友不動産六本木通ビル6F
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院長 小松保則医師