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男性の不妊症は遺伝が関係する原因です
男性が原因の不妊症のうち、無精子症や高度の乏精子症は遺伝要素が関係することがわかってきたと言います。
この話は、Azoospermic-factor(AZF)領域という部分にある遺伝子が、無精子症や乏精子症に関係すると考えられているというものです。
領域内のどの部分が欠けているのか調べることにより、精子がまったくいないのか少量でもいる可能性があるのかがわかります。
産まれる子供にも遺伝する可能性があります
高度乏精子症の場合は少量の精子がいる可能性があり、顕微授精を行えば子供を授かるチャンスはあります。
ただし産まれる子供にも同じ症状が遺伝する可能性があることを理解しておきましょう。
あくまでも「可能性がある」だけで、確実に無精子症や高度乏精子症の子供が産まれるわけではありません。
遺伝子分野に精通している医師のカウンセリングを受けたうえ、慎重な判断が必要です。
それでも子供が欲しいと考えるか、子供の将来を考えて断念するかは、夫婦の意思を尊重すべき問題でしょう。
どちらがよい・悪いというわけではなく、価値観による判断となります。
子供が欲しいと思っている夫婦にとっては非常に難しい問題ですから、ゆっくりと話し合う時間を持ち、納得のいく答えを出してください。
必要によってはお互いの両親にも話を通し、家族としての結論を出すのも一案です。
当たり前のことですが、子供を産んで終わりではなく、幸せに生きていくサポートをする責任が生じます。
2人だけの問題とは考えず、子供の将来に関わる決断であることを理解しましょう。
女性の不妊症と遺伝の関係は不確かです
男性不妊が遺伝要素にあたるとして、女性の場合はどうでしょうか。
女性の不妊が遺伝要素によるものかは、はっきりと分かっていないところがあります。
「10~40代の女性のうち1割は子宮内膜症にかかっている」とも言われるほど患者数が多いことから、遺伝要素を疑う声もありますが、医学的な根拠は未確定です。
子宮筋腫・卵管水腫・子宮内膜ポリープといったその他の婦人科系疾患についても、遺伝要素がはっきりしないトラブルにあたります。
婦人科系疾患に関しては、なるべく早い段階から適切な不妊治療を受ければ、子供を授かるチャンスはあります。
遺伝要素かどうかははっきりとわからないとはいえ、過剰に心配する必要はなく、早期発見・治療に努めましょう。
夫婦そろって不妊因子を持っているケースも考えられることから、女性だけの問題とは決めつけず、2人で検査することをおすすめします。
また妊娠適齢期になる前から定期的な婦人科検診を受けることによって、子宮内膜症や子宮筋腫を早期発見できるものです。
将来の妊娠に備えるためにも、なるべく早い段階からの婦人科検診を受けましょう。
男性不妊検査は精液検査が必要です
男性不妊が疑われる状況で「検査を受けたい」と思っても、どこに相談すればよいのか迷ってしまうことがあります。
病院選びで迷ったら、パートナーがかかっているレディースクリニックに相談しましょう。
男女それぞれの不妊検査を行えば、状況ははっきりします。
最初の検査の段階から、夫婦で訪問するのも一案です。
男性の不妊検査の進め方ですが、精液検査を行います。
男性不妊治療や遺伝子検査が必要と判断されると、泌尿器科・生殖医療科への紹介がなされて、遺伝的要素まで含めた方針を相談することになるでしょう。
男女それぞれの不妊治療専門家が治療に関わることにより最適な方針が導きやすく、妊娠への近道です。
夫婦どちらかが悩むというのは、望ましいことではありませんので2人の問題として考えましょう。
男性不妊検査は女性よりも簡易的なチェックで終わることも多く、大きなストレスにはなりません。
泌尿器科・生殖医療科なら産婦人科に通うより気が楽で、男性のプライドも保持できます。
今後のファミリープランを考えるにあたって非常に重要な検査ですから、パートナーにも話してみましょう。
(まとめ)不妊症に遺伝は関係するの?
男性不妊のうち、無精子症や高度の乏精子症など特定の原因は遺伝の影響を受けるものとされています。
AZF領域と呼ばれる部分に含まれる遺伝子の一部が欠けていると男性不妊を起こし、自然妊娠が難しくなる原因と言われているのです。
男性不妊が遺伝の影響を受けるということは、子供にも特性が受け継がれる可能性があることになります。
可能性に過ぎないとはいえ子供の将来に関する決断にも関わりますから、きちんと検査を受けましょう。
男性不妊とは違い、女性不妊の遺伝による影響に関して、はっきりと示す研究データはないようです。
遺伝かどうかは別として早い段階で発見、適切な対処をすることが妊娠の近道ですから、婦人科検診を受けましょう。
男性不妊の検査ですが、女性が通っているレディースクリニックでも受け付けてもらえるケースはあります。
専門的な治療が必要と判断されると男性不妊の専門病院を紹介、連携しながら不妊治療を進めることも可能です。