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甲状腺疾患は不妊と関わりが深いトラブルです
甲状腺ホルモンは女性ホルモンの分泌と深い関わりがあることが分かっていて、不妊症の原因の1つとされます。
20代や30代と妊娠適齢期の女性に多いトラブルだけに、早期発見・治療が大切です。
甲状腺疾患の兆候を見逃さずに専門医に相談することにより、不妊の原因がわかるケースもあります。
甲状腺疾患の既往症は必ず不妊検査段階で医師に伝えて、適切な判断をあおぎましょう。
甲状腺疾患は不妊検査でわからないことが多くあります
甲状腺ホルモンと不妊の関係が示唆されてから歴史が浅いこともあって、不妊検査の中で必ずチェックしてもらえるとは限りません。
甲状腺トラブルを疑う症状について正しく理解し、専門機関で検査を受けることによって、早期発見に努めましょう。
甲状腺トラブルの代表的な種類として、甲状腺機能亢進症・甲状腺機能低下症があります。
甲状腺機能亢進症とは、甲状腺ホルモンが過剰に作られて、代謝が促進される疾患です。
甲状腺ホルモンは卵胞の成長にも作用する特性があることから、月経不順や無排卵につながるリスクがあります。
月経不順や無排卵は不妊症の代表的な原因で、自然妊娠は難しくなるはずです。
甲状腺機能低下症とは、甲状腺亢進症の反対です。
甲状腺ホルモンの作られる量が減ることにより、代謝が衰えてしまう疾患を指します。
卵胞の成長が鈍ることで月経周期が長くなってしまったり黄体機能不全が生じたりと、自然妊娠が難しくなるところは同様です。
甲状腺機能低下症に関しては40代にも多い疾患ですから、加齢による影響とも相まって、さらに妊娠が難しくなるリスクもあります。
甲状腺ホルモンは胎児の成長にも影響します
甲状腺ホルモンは胎盤を通過することなく、胎児に対する影響はないとされてきました。
研究が進むにつれて微量が胎盤を通過することがわかり、胎児の精神の発育に影響を及ぼすと言われています。
精神の発育とは、知能や神経といった人間には欠かせない感情表現に関することです。
母親の甲状腺ホルモンが低いと胎児のIQが低くなるとも言われて、服薬治療が推奨されます。
母親の甲状腺ホルモン数値が胎児に影響する理由は、自分で必要量を産み出すことができない段階で、母親から受け取るホルモンに頼るためです。
母親のホルモンが不足している状態だと胎児にも十分な量がまわらず、成長に支障が出ます。
妊娠すると甲状腺ホルモンの必要量は上がりますから、内服量を増やすなどの対策が必要です。
甲状腺ホルモンの薬が胎児に悪影響になるリスクは低いと考えるのが通説で、正常な成長が優先されます。
薬でコントロールすることができるとはいえ、妊娠前に治療を進めるのが理想でしょう。
少なくとも、検査だけは行っておくことをおすすめします。
甲状腺疾患を疑うサインはさまざまです
甲状腺疾患をなるべく早く見つけるため、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症を疑うサインについて理解しておきましょう。
月経トラブル以外の主な症状をそれぞれについて見ていきます。
甲状腺機能亢進症を疑うサインは、軽く動いただけでドキドキする、手の震えや焦燥感、汗の量が増えることなどが代表例です。
代謝が普段より高まっている状態なので、少し動いただけでも疲れてしまう・ソワソワして落ち着かないといった症状が目立つ人もいます。
見た目の特徴としては、眼球が飛び出して見える・ギラギラしているなどに注目しましょう。
甲状腺機能低下症では、食欲がないのに体重が増えたり、全身がむくんだりする、便秘がちになるといった症状が気になります。
居眠りが多くなったり集中力がなくなって作業効率が下がったりすることも、トラブルを疑うサインです。
眠気を強く感じて、昼間でも居眠りしてしまう・身体がだるくて動きたくないなどと感じる人もいます。
甲状腺トラブルを放置すると重症化するリスクもあるため、専門医に相談しましょう。
不妊治療で通っている病院があるようなら症状を相談し、検査を受けられる病院の紹介を受けるのもおすすめです。
(まとめ)不妊症は甲状腺疾患と関係がある?
甲状腺ホルモンと女性ホルモンには深い関係があり、不妊症につながる恐れもあります。
妊娠を考えている女性はとくに甲状腺疾患のサインに敏感になり、トラブルが疑われる症状が出たら、早めに検査を受けましょう。
甲状腺に関する検査が不妊検査に含まれていないと、トラブルを見落とすリスクがあります。
甲状腺トラブルも不妊症の原因になることを理解し、思い当たる節があれば追加の検査を受ける判断も必要でしょう。
甲状腺ホルモンが不足したまま妊娠を迎えると、胎児の神経機関の成長が妨げられるリスクがあります。
適切な服薬治療を受けていれば影響を阻止できますから、妊娠を考えている段階で甲状腺疾患に関する検査を受けると安心です。
動悸や発汗量の増加・眼球が飛び出て見える・発汗量が急に増えたなどの症状が気になったら、甲状腺機能亢進症を疑いましょう。
わけもなく身体がだるい、食事量は変わっていないのに急に太る、集中力が続かないなどの症状では、甲状腺低下症が懸念されます。