不妊治療とは?開始タイミングや費用など基礎をわかりやすく解説

不妊治療とは、不妊の原因を特定したうえで妊娠を成立させるためにおこなう治療のことです。「子どもが欲しいのに妊娠できない」とお悩みの方は、不妊治療を検討してみるのもひとつの選択肢です。
とはいえ、開始するタイミングや治療内容、かかる費用など、不明点も多いのではないでしょうか。

この記事では、不妊治療のタイミングや費用、始める前に知っておきたい不妊治療の基礎知識をわかりやすく解説します。

そもそも「不妊」とは?

不妊とは、子どもが欲しい男女が避妊せずに夫婦生活を営んでいるにも関わらず、1年以上妊娠に至らない状態のことです。
不妊の悩みを抱える夫婦やカップルは少なくありません。また、近年は晩婚化が進んでいることで、さらに不妊の割合が多くなっているともいわれています。

妊娠するまでのしくみ

妊娠は、排卵・受精・着床のプロセスを経て成立となります。妊娠するまでのしくみを、おおまかな流れで把握しておきましょう。

  1. 卵巣の中にある卵子が飛び出し、排卵します。排卵した卵子は、卵管膨大部と呼ばれる場所で精子を待ちます。
  2. 性行為によって女性の体内に精子が入り、精子と卵子が卵管内で融合して受精し、受精卵となります。
  3. 受精卵が細胞分裂を繰り返しながら子宮まで移動し、子宮内膜に根を張って着床します。着床してはじめて、妊娠開始となります。

上記の流れのように、排卵・受精・着床を経て妊娠に至ります。妊娠に至る過程に問題があったり、タイミングのズレがあったりすると妊娠できません。
すべての条件やタイミングがそろってはじめて、妊娠が成立するしくみとなっています。

不妊の主な原因

前述したように、妊娠するまでの過程で何か問題があると妊娠に至りません。不妊の原因は女性側だけでなく、男性側にも潜んでいるといいます。

女性側の主な不妊原因は以下のようなケースが挙げられます。

  • 排卵因子(月経不順や多嚢胞性卵巣症候群)
  • 卵管因子(クラミジアや卵管の閉鎖)
  • 子宮因子(子宮筋腫など)
  • 頸管因子(頸管の炎症など)
  • 免疫因子(精子不動化抗体)

一方、男性側の主な不妊原因にも複数のケースが存在します。

  • 造精機能障害(精子の数や運動率)
  • 性機能障害(勃起や射精)
  • 精路通過障害(無精子)

なかでも、排卵因子・卵管因子・男性側の不妊因子による不妊が多いといわれています。
また最近では、母体の高年齢化などを背景に、検査をしても原因がわからない「原因不明不妊」も増えてきています。

いつ始める?不妊治療を検討するタイミング

不妊治療を検討するタイミングとしては「避妊せずに夫婦生活を続けて1年以上妊娠できない場合」が1つの目安となります。
ただしこれはあくまで目安であり、「赤ちゃんが欲しい」と思ったタイミングでカウンセリングや不妊検査を受けても問題ありません。

「1年」という期間は日本産婦人科学会が定義している期間ですが、これは年齢によって変わるといわれています。たとえば不妊期間が6ヵ月(1年未満)であっても、35歳以上の女性の場合は早めの不妊治療開始を推奨することがあります。

また基礎体温をつけて排卵日が予測できない場合、不妊の「排卵因子」のリスクが潜んでいる可能性があります。
年齢や身体に不安を感じたら、早めに不妊治療のクリニックへ受診するのがおすすめです。

不妊治療のタイミングについては、こちらの記事でも解説しています。
> 「不妊治療はいつからはじめるべき?」を読む

不妊治療の妊娠確率

日本における不妊治療(生殖補助医療)の実施件数は、実に40万件を超えるといいます。以下のグラフは、日本産婦人科学会の不妊治療の妊娠確率と、当院の実績を年齢別に表したものです。

20代〜30代前半では47〜44%程度ですが、35歳以上になると顕著に妊娠確率が低下しているのがわかります。このように年齢に比例して妊娠確率は低くなるため、不妊治療は早めに開始するのがおすすめです。

なお、当院の治療における妊娠確率(ピンク色のグラフ)は、日本産婦人科学会の妊娠確率を、ほぼどの年代でも上回る結果を残しています。

当院の治療における妊娠率

※1 出典:日本産科婦人科学会、2020年のARTデータブックのデータを使用。妊娠周期数/移植周期数より算出
※2 出典:六本木レディースクリニック「当院の治療実績

不妊治療の成功率については、こちらの記事でも解説しています。
> 「体外受精の成功率は?年齢別の確率や妊娠に導くポイント」を読む

不妊治療の治療法・種類

不妊治療は大きく分けて「一般不妊治療」と「生殖補助医療(ART)」の2つがあります。不妊検査をおこなったうえで、不妊の原因や身体の状態、年齢などによって適切な不妊治療が選択されます。

一般不妊治療

一般不妊治療には、タイミング法と人工授精があります。
不妊の原因が明らかにならなかった場合、不妊治療のファーストステップとしてまずタイミング法から始まり、次のステップとして人工授精がおこなわれるのが一般的です。

生殖補助医療(ART)

生殖補助医療(ART)は、より高度な技術を要する不妊治療です。体外受精や顕微授精、凍結融解胚移植が生殖補助医療に該当します。

生殖補助医療(ART)が適応されるケース

生殖補助医療は、次のようなケースで適応となります。

  • 重度の男性不妊症
  • 卵管・子宮などの異常
  • 原因不明の不妊

主に上記のような原因で一般不妊治療で妊娠に至らなかった場合に、ステップアップとして生殖補助医療で妊娠を目指すことになります。

不妊治療の流れとステップ

不妊治療の流れは大きく分けて、初診→不妊検査→治療開始の3ステップです。ここでは、不妊治療開始までの大まかな流れをご紹介します。
なお、これは不妊治療の流れの一例であり、一人ひとりの症状やご希望に応じて、医師と相談しながら最適な方法が選択されます。

不妊治療のステップについては下記の記事でも解説しています。
> 「不妊治療を体外受精にステップアップするのはいつ?」を読む

初診

まずは診察にて、医師がお悩みやご要望をお聞きします。
初診の段階では、月経周期にこだわらずお気軽にご相談いただけます。
ご夫婦一緒に受診されるのが望ましいですが、初診は奥様お一人でも構いません。

問診票を記入いただき、月経周期の時期によっては、内診・血液検査を実施することがあります。
その後、再来院・治療計画と施術方法の説明をおこないます。

不妊検査

次に、不妊検査をおこないます。
適切な不妊治療を選択するためにも、まずは不妊の原因を明らかにすることが大切です。
女性の検査と男性の検査で内容が異なるため、それぞれ検査を受ける必要があります。

原因が特定できた場合は、担当医と相談して原因に応じた治療が選択されます。原因が特定できなかった場合、タイミング法・人工授精・生殖補助医療とステップアップしていきながら治療を進めていきます。

治療開始

不妊検査の結果に応じて、適切な不妊治療を開始します。

タイミング法

タイミング法は排卵日を正確に予測し、性交タイミングのアドバイスを受けながら、自然妊娠を試みる方法です。タイミング法で妊娠した方の約90%が、1〜5回で妊娠成立を果たしているといいます。
しかし6回目以降の妊娠率は低い傾向にあり、この時点で妊娠に至らなかった場合は別の治療法が適しているといえます。

人工授精

人工授精は、タイミング法の次のステップとして受けることが多い不妊治療です。事前に医師が予測した排卵日に、採取した精子を子宮へ直に注入して妊娠を試みます。精子を洗浄・濃縮してから注入するため、より受精しやすくなります。

人工授精で妊娠に至らなかった場合、次のステップとして体外受精に進むことになります。

体外受精

体外受精は女性の体内から卵子を採卵し、採取した精子をふりかけて体外で受精させる不妊治療です。
体外で融合させた受精卵を培養したあと、子宮内に戻して妊娠を試みます。高度な医療技術がともなう不妊治療です。

体外受精の詳しいスケジュールは下記の記事でも解説しています。
> 「体外受精のスケジュールとは?流れをわかりやすく解説」を読む

顕微授精

顕微授精は、体外受精と同じく採卵・培養・胚移植の過程をたどりますが、受精させる方法が異なります。
顕微授精の場合は顕微鏡を用いて、1個の精子を卵子に直接注入することで受精させます。主に受精障害があった場合や、重度の男性不妊症があった場合に顕微授精が適応です。

どのくらいかかる?不妊治療の費用目安

不妊治療は、方法によってかかる費用が異なります。一例として、当院の不妊治療の費用を種類別にまとめました。

保険診療費 自費診療費
初診セット料金(初診料+各種検査) 50,290円(夫婦合わせて)
人工授精 5,460円 23,100円
採卵 16,800〜31,200円 77,000円
体外受精(ふりかけ法) 12,600円 22,000円
顕微授精 14,400円
(1個)
22,000円
(1個)
培養 13,500〜31,500円 110,000円
凍結 15,000円
(1個)
22,000円
(1個)
胚移植 22,500〜36,000円 121,000円

上記以外に、別途で診察費用や薬剤費、手技料、麻酔代などがかかる場合があります。また、採卵数や胚の数によっても費用は変わります。
費用はクリニックによっても変わります。上記は六本木レディースクリニックの料金ですので、あくまで目安としてご参考ください。

不妊治療は医療費控除・保険適用の対象?

不妊治療は、医療費控除の対象です。確定申告をすることで、負担した治療費が還付金として一部戻ってくることがあります。

不妊治療の医療費控除に関しては、こちらの記事でも解説しています。
> 「不妊治療は医療費控除の対象?申告方法や負担を減らす方法を解説」を読む

さらに不妊治療は、2022年4月より保険適用となりました。一般不妊治療はもちろん、体外受精や顕微授精も適応となり、3割負担で治療が受けられます。
ただし、保険適用には年齢によっていくつか要件が設けられていますので、事前に確認が必要です。

不妊治療の保険適用に関しては、こちらの記事でも解説しています。
> 「不妊治療はいくらかかる?費用や保険適用の条件について解説」を読む

不妊治療が辛い、不安……そんな時は?

不妊治療を検討する、または始めるにあたって、不安に感じている方もいるのではないでしょうか。

実際、不妊治療中に精神的な辛さやストレスを感じる方もいらっしゃいます。
不妊治療に対する不安をできるだけ取り除くためにも、まずは不安となる根源は何か考えてみるとよいでしょう。金銭的負担や精神的な不安、治療や通院による身体的な負担など、さまざまな要因が考えられます。

治療に関する不安や疑問が整理できたら医師やカウンセラーに相談し、どうしていきたいか一緒に考えていきましょう。

また、不妊治療においてパートナーの協力が必要不可欠です。精神的なストレスを一人で抱え込まないためにも、パートナーとしっかり話し合い意見をすり合わせることが重要です。

お悩みは不妊治療専門の六本木レディースクリニックへ

ここまで不妊治療について解説してきました。しかし治療を始めるにあたって、さまざまな不安を感じる方も多いはずです。

六本木レディースクリニックでは、不妊治療に関するお悩みの無料相談を実施しております。疑問や不安を看護師が1対1でお伺いし、お応えします(事前予約制)。
不妊治療をお考えの方は、お気軽にご相談ください。



仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産科婦人科内視鏡学会

運営者情報

運営クリニック 六本木レディースクリニック
住所 〒106-0032
東京都港区六本木7-18-18 住友不動産六本木通ビル6F
お問い合わせ 0120-853-999
院長 小松保則医師