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子宮の円錐切除術を受けても、妊娠しにくい原因にはならないと考えられています
子宮頚部に病気が見つかると、その部位を切除するために円錐切除術という処置が行われる場合があります。
円錐切除術を受けると、妊娠しづらくなるのではと心配になります。
しかし円錐切除術が不妊の原因となる可能性はかなり低いと考えられています。
ただ不妊よりも、妊娠中の切迫流産や早産のリスクが高まるとされているので注意が必要です。
円錐切除術を受けても、不妊になる可能性は限りなく低いとされています
円錐切除術は、子宮と膣をつなぐ子宮頚部の病気治療のために行われる術式のひとつです。
具体的には、子宮の入り口付近である子宮頚部の病変部位を円錐状に切り取るため、子宮頸管は通常よりも短くなります。
性交時に精子はこの子宮頚部という管を通って、子宮内に入り卵子と受精します。
このとき精子が通りやすいように、排卵期になると子宮頸管からは子宮頸管粘液というアルカリ性の粘液が分泌されます。
ところが子宮頸管が短くなると子宮頸管粘液の分泌量も少なくなってしまいます。
そのため、精子の子宮内へ進入がスムーズにいかなくなる可能性があるのではないのかと考えられることがあり、不妊の原因となるのでは、と危惧されているのです。
しかし一般的に男性側の精子の運動率や量などに問題がなければ、子宮頸管粘液が多少少なくても不妊の原因にはなりにくいと考えられています。
もちろん子宮頚部の切り取る範囲などによっては、全て自然妊娠が可能だとは言えない部分もありますが、ほとんどのケースでは問題ないとされているのが現状です。
逆に、男性側の精子の運動率や量に不妊原因があり、女性が円錐切除術を受けている場合は自然妊娠が難しくなってしまうケースも考えられるでしょう。
体外受精などの不妊治療を受けての妊娠は十分可能であるため、早めに専門のクリニックを受診することも検討してみてください。
円錐切除術は、切迫流産や早産を招く子宮頸管無力症のリスクもあるとされています
円錐切除術を受けると、妊娠しにくくなってしまうのではないのかという不妊の心配もありますが、受精卵は子宮の中、子宮体部に着床します。
そのため、円錐切除術で子宮の入り口付近を切り取っても、受精卵の着床には支障なく、妊娠も可能だと言えるでしょう。
それよりも、むしろ円錐切除術により起こりやすいとされる妊娠中のトラブルのほうが問題だとされています。
子宮頸管が短くなると、子宮口が閉じる力が弱くなって自然に開いてしまう「子宮頸管無力症」という症状を引き起こすリスクが高まると考えられています。
子宮頸管無力症は、子宮収縮がなくても子宮口が開いてしまうという部分が、特徴だとされています。
子宮口が知らない内に開いてしまうため、切迫流産や切迫早産になる場合があるとも言われており、注意が必要でしょう。
子宮頸管無力症は自覚症状がないので気づきにくいですが、妊婦検診の超音波検査で、子宮口の開き具合や頸管の長さをチェックして診断されるのが一般的です。
治療法としては、まず安静にして経過観察を行い、必要があれば子宮頸管をテープなどで閉じる手術が行われることもあります。
ただ必要が処置を行い、安静にしていればほとんどの方が無事に出産を迎えられます。
子宮頸がんなどの疾患は早期発見、治療が大事です
子宮頚部の細胞ががん化する子宮頸がんは、HPV(ヒトパピローマウイルス)の感染が原因で発症します。
HPVは性交時に感染すると言われていますが、ウイルスに罹患してもほとんどのケースで自然に消滅します。
しかしまれに一部の細胞が変異してがん化することがあり、子宮頸がん発症に至ります。
子宮頸がんは自覚症状が全くなく、しかも20代から40代の女性の発症率がとても高いがんだとされています。
早期発見には、定期的な検診を受けることが重要だとされています。
初期の段階で発見できれば、円錐切除術など子宮頸管の一部を切除するなどの治療法が可能であり、子宮を温存できるので妊娠の可能性が残されます。
またワクチンの接種による予防が可能な唯一のがんだとも言われています。
早期発見ならば、円錐切除術などの処置で済みますが、やはり子宮頸管が短くなることの弊害はゼロではありません。
予防のためにも、ワクチンの接種も検討してみるとよいでしょう。
(まとめ)子宮の円錐切除術を受けると妊娠しにくいって本当?
子宮頚部の病変を切り取る円錐切除術により、不妊となる可能性はほぼないと言われています。
子宮頸管が短くなることから、妊娠中の切迫流産や早産などの可能性が高まるのが心配だとされています。
円錐切除術で子宮頚部の病変部位が切り取られても、妊娠にはほぼ影響しないとされています。
ただ精子の運動率や量に問題がある男性側の不妊要因が加わると、自然妊娠が難しいケースがあるとも考えられています。
円錐切除術を受けると子宮頸管が短くなり、妊娠中は赤ちゃんの重みで子宮口が開きやすく、切迫早産などのリスクがあると言われています。
ただ妊婦検診で発見されることが多く、必要な処置を行えば無事出産できるケースがほとんどです。
子宮頸がんは、性交時などにHPVというウイルスに感染し、稀にウイルス変異が起きてがん化することが原因とされています。
ただ早期発見・治療を行えば完治も可能であり、妊娠への影響もほとんどないと考えられています。