婦人科検診や不妊治療で「子宮後屈」と診断され、妊娠にデメリットがあるのではと心配になる方は少なくありません。
この記事では、子宮後屈と不妊の関係についてわかりやすく解説します。
目次
子宮後屈とは?
子宮後屈とは、子宮が後方(背中側)に傾いている状態を指します。一方、子宮が前方(おなか側)に傾いている場合は子宮前屈といいます。
子宮前屈が正常な子宮の位置とされ、子宮後屈の状態の方は1〜2割程度です。
子宮後屈は妊娠しにくい?不妊の原因になる?
子宮後屈のほとんどは先天的なものであり、病気ではありません。内診や超音波検査によって判明するのが一般的です。
かつては子宮後屈は妊娠しにくい要因とされていましたが、現在は直接的な因果関係はないとする考えが一般的になっています。実際に子宮後屈は病気ではなく、ほぼ無症状で治療も必要ないことがほとんどです。
ただし、何らかの疾患によって後天的に生じた子宮後屈の場合、不妊原因となる可能性が高まります。
先天的な子宮後屈と後天的な子宮後屈の違い
先天的な子宮後屈の場合、自覚症状がないので婦人科検診で偶然見つかるというケースもあります。
一方で、後天的に子宮後屈が生じる場合もあります。骨盤内の炎症や子宮内膜症、子宮筋腫や卵巣脳腫などの病気が原因となり、後天的子宮後屈になるというケースです。こうした場合は、併発している疾患が不妊原因の元になることがあります。
子宮後屈でも通常通り出産できる?
先天的な子宮後屈の場合、問題なく出産できる場合がほとんどです。
そもそも子宮は骨盤から靭帯でぶら下がっており、高い可動性を持つ臓器です。そのため可動性のある子宮後屈であれば、妊娠後に子宮が大きく膨らんでいくうちに、後ろに傾いていた子宮の位置が前方へと自然にずれる場合が多いといわれています。
こうした場合は、基本的に治療は不要であり、妊娠・出産においても問題ありません。
治療が検討される「癒着性子宮後屈」とは?
癒着性子宮後屈とは、病気によって子宮が周りの臓器と癒着を起こし、後ろ側に傾いている状態の子宮後屈です。後天的に起こる子宮後屈のほとんどは癒着性子宮後屈のことを指しています。
癒着性子宮後屈は主に子宮内膜症、骨盤性炎症疾患、子宮筋腫、卵巣嚢腫などの疾患が原因とされ、子宮や卵管を圧迫することで不妊症にもつながります。そのため、薬物療法や手術による治療が検討されます。
子宮後屈はうつぶせ寝で妊娠率が上がる?妊娠しやすくなる体位は?
先述した通り、子宮後屈は不妊の直接的な原因ではありません。しかし子宮口が腹側に傾いていることで、物理的に精子の進入を難しくしている可能性もあります。
少しでも妊娠率を高めるために推奨されているのが、うつぶせ寝です。性行為のあと、15分程度うつぶせ寝をすることで、精子が子宮内へ入り込みやすくなる可能性が高まるとされています。
子宮後屈の方で「少しでも妊娠の可能性を上げたい」と試みる方もいらっしゃいますが、医学的な根拠はなく、残念ながら現時点で妊娠しやすくなる体位や寝方は解明されていません。
着床・妊娠のためにできることはこちらの記事でも解説しています。併せてご覧ください。
> 「体外受精の着床率を上げるには?知っておきたいポイントと生活改善策」を読む
子宮後屈によって生じる場合がある症状
子宮後屈は基本的に無症状ですが、痛みや便秘などの症状を引き起こすことがあります。特に癒着性子宮後屈の場合は、症状が重くなる場合があります。
性交痛
性交の際に、挿入の角度や深さによっては痛みを感じる場合があります。特に下腹部の奥に痛みが生じる場合があり、パートナーに事前に伝えて工夫する必要があります。
月経痛
子宮の形から経血が排出されにくく、月経痛がともなうことがあります。特に癒着性の場合は、子宮内膜症などを発症している可能性があり、それにともなう月経困難症がみられることもあります。
腰痛・便秘
後屈の角度が鋭い場合、腰痛や便秘を引き起こすこともあります。子宮の後方には直腸があり、腸の出口を圧迫してしまうことで、便秘になる場合もあります。
排尿障害
子宮の前方には膀胱があり、後屈の具合によって膀胱を圧迫しているケースもあります。これにより排尿障害となる可能性もあります。
子宮後屈に関するよくある質問
Q. 子宮後屈と診断されました、どうすればいいですか?
多くの場合、子宮後屈であること自体に問題はなく、基本的に治療も必要ありません。ただし重い月経痛などの症状がある場合や、治療を勧められた場合は、病院やクリニックで相談した方がよいでしょう。
Q. 子宮後屈のせいで不妊になることはありますか?
子宮後屈に、不妊になる直接的な要因はないとされています。ただし、子宮内膜症などによって後天的に生じた癒着性子宮後屈は、不妊原因になる可能性があります。
Q. 子宮後屈を自分で治す方法はありますか?
子宮後屈を自力で治すことは不可能です。そもそも先天的な子宮後屈は、基本的に無症状で、必ずしも治療が必要なわけではありません。
後天的な癒着性子宮後屈は、後屈の根本原因である疾患の治療が必要になる場合があるため、婦人科などの専門医に相談しましょう。
妊娠や不妊についてお悩みなら六本木レディースクリニックへ
これまで子宮後屈は不妊原因のひとつと考えられていましたが、現在は直接的な因果関係はないとされています。子宮後屈でも妊娠・出産できるケースがほとんどなため、過度な心配は不要と考えてよいでしょう。ただし、重い月経痛などをともなう場合は、不妊に関わる疾患が隠れている恐れがあるため早めに検査を受けることをおすすめします。
六本木レディースクリニックは、不妊検査や一般不妊治療はもちろん、体外受精などの高度生殖補助医療まで取り扱う不妊専門のクリニックです。患者さま一人ひとりに合った「オーダーメイド治療」をご案内しています。不妊にお悩みの方は、お気軽に当院にご相談ください。