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40代は妊娠しにくいのが現状です
日本子ども家庭総合研究所が発表したデータによると、40代から自然妊娠の割合と、不妊女性の割合が逆転しているといいます。
健康な男女が避妊をしない場合の自然妊娠の確率は、35歳で半数まで減り、40代になると30%台まで減少します。
さらに45歳になれば5%以下まで減少するため、40代は妊娠しにくいといえるでしょう。
ただ、逆転していると言った通り、40代の不妊治療による妊娠の割合は、自然妊娠と比べて多くなっています。
女性が持つ卵子は生まれたときに数が決まっています
40代で妊娠しにくくなる理由は、女性が持つ卵子の数は生まれたときにすでに決まっているからです。
出生時には200万個の卵胞を持って生まれてきますが、年齢とともに減少していきます。
思春期のころには30万個まで減少し、30代から急激に数が減少するのです。
40代になるころには、残りの卵胞は数千まで減少しているといわれており、このころから人によっては月経不順を感じ始めます。
女性が持つ卵子には一生のうちで限りがありますから、40代になれば妊娠しにくくなるのは当然のことなのです。
閉経の平均は50歳前後で、このころには卵胞の数は1,000以下まで減少し、月経を維持することはできません。
さらに卵子も老化していくため、年齢を重ねるごとに遺伝子に問題が起こりやすく、受精しにくくなります。
40代で妊娠しにくい理由は女性だけの問題ではありません。
男性が持つ精子も年齢とともに減少し、40代くらいから老化が始まっていきます。
すると精子の運動量が低下し、受精しにくくなってしまうのです。
卵子の限界から考えると、自然妊娠できるのは42歳ごろまでだといわれています。
ただし、芸能人の妊娠年齢を見ると42歳以上で自然妊娠した方もおられますから、自然妊娠できる限界には個人差があり、45~45歳でも自然妊娠できる可能性はあるでしょう。
40代で妊娠することはリスクがあります
40代で自然妊娠することは不可能ではありませんが、この年齢での妊娠にはリスクがあります。
内閣府が発表したデータによると、30~34歳の流産率は10%だったのに対し、35~39歳になると20.7%まで上昇し、40歳以上では41.3%まで上がることがわかっているのです。
この年齢では妊娠することができても、卵子や精子の老化に伴う遺伝子の問題が発生しやすく、その場合は流産するリスクが高まります。
染色体の異常の発生は20代でもリスクはありますが、その割合は多くはありません。
年齢を重ねるごとに卵子は老化していき、染色体の異常の発生率が上昇していきます。
先天性の問題で最も影響すると考えられるのが、ダウン症です。
さらに40代での妊娠で注意しなければならないのが、妊娠高血圧症候群のリスクです。
以前は妊娠中毒症と呼ばれていたもので、症状が出ると高血圧や尿たんぱくがおこります。
高齢になるほど妊娠高血圧症候群のリスクが高まるのは、血管の老化が関係しているからです。
発症すると母子ともにリスクが生じますから、注意しなければなりません。
40代になると必ずしも流産するわけではありませんし、生まれてくる子どもが確実にダウン症になるというわけでもありません。
同様に、妊娠高血圧症候群も若い人でも発症する場合がありますが、どの問題も40代になればなりやすいことは覚えておく必要はあるでしょう。
40代は早めの不妊治療がおすすめです
40代の夫婦では卵子や精子の老化にともない、不妊症になるリスクがあります。
卵子には限りがあることを理解し、少しでも質の高い卵子を残すためにも、早めの不妊治療の選択が必要です。
不妊治療には種類があり、排卵日に性交を合わせるタイミング法で妊娠できる可能性もあります。
年齢により卵子や精子に問題が生じている場合でも、人工授精や体外受精などの方法を用いることや、顕微鏡下で直接受精させる顕微授精を利用することも可能でしょう。
日本産婦人科学会が発表したデータでは、胚移植で妊娠できる確率は、30代前半で35~40%で、40代では24.5%、45歳では6.5%と減少していることがわかっています。
早い年齢で不妊治療をしたほうが妊娠の確立が高まりますから、40代で妊娠を望む方は1日も早く決断をすることが大切です。
40代では卵子や精子の老化により、妊娠できても染色体異常で流産してしまう可能性もあります。
一度で不妊治療が成功するとは限らず、時間とお金がかかることは知っておきましょう。
自治体によっては、不妊治療の助成金を支給してくれる地域もあります。
早めに情報収集をしながら、費用の面も考慮しておくようにするとよいでしょう。
(まとめ)40代で妊娠しにくいというのは本当?
日本子ども家庭総合研究所が発表したデータでも、40代になると妊娠しにくいことがわかっています。
40代から自然妊娠の割合が減少し、不妊女性の割合が増加しているためです。
40代で妊娠しにくくなる理由は、女性の卵子の数が限られているためで、加齢とともに卵胞の数が減少するからです。
合わせてパートナー側の精子も加齢の影響を受けやすく、女性の自然妊娠の限界は42歳くらいだと考えられています。
40代での妊娠は、卵子の老化に伴い流産のリスクや、染色体異常によるダウン症リスク、妊娠高血圧症候群の発症率が上昇することは知っておく必要があります。
この年齢ではどうしても卵子の老化や、母体の老化は避けられないからです。
年齢を重ねるごとに不妊症となるリスクがあるため、早めに不妊治療を選択してみましょう。
不妊治療にも種類がありますから、その方の年齢や身体の状況に合わせて調節が可能です。
40代では胚移植での妊娠率も低下するため、早めの検討をおすすめします。