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喘息だと妊娠しにくいデータもありますが関係性は明らかになってはいません
喘息と妊娠しにくい原因の関連性は、小規模な研究で示されているものがあります。
245人の不妊女性に対し、不妊治療中に喘息やアレルギー検査を実施しました。
96人の女性が過去に喘息診断を受けており、または登録時に喘息と診断されていたという結果です。
さらに喘息の女性は妊娠期間までが長く、非喘息者は32.3ヶ月なのに対し、喘息者は55.6ヶ月でした。
喘息者は高齢であるほど期間が長くなる傾向があります。
ただし不妊と喘息との関連性は明らかになっていません。
喘息の方でも妊娠や出産はできます
喘息と不妊の関連性は小規模なデータであり、その詳細は明らかになってはいません。
そのため喘息との関連性は判断しにくい部分があります。
喘息をお持ちの方が次に心配になるのが、喘息があっても妊娠や出産ができるのかということでしょう。
結論からいえば、喘息がコントロールされた状態では、妊娠や出産はできるといえます。
喘息がコントロールできない状態だと、母体が息苦しくなり、母体から酸素をもらっている胎児も酸素不足になるため注意が必要です。
胎児が酸欠状態では低体重となる恐れがあるため、喘息がある方は適切に治療を受けて、症状をコントロールすることが必要となります。
喘息のコントロールとは、症状が出ないよう投薬で調節することです。
治療薬には吸入ステロイドが用いられており、治療を継続することで喘息をコントールすることができます。
妊娠を希望される方や、すでに妊娠されている方が気になるのは、薬による胎児への影響でしょう。
喘息の治療薬で使われるパルミコートは安全性が高いというデータもあります。
気管支拡張薬の吸入薬や飲み薬でも、胎児の奇形がおきたという報告はありません。
正常分娩でも1~3%の割合で奇形が発生することなのです。
喘息の発作が起こりやすい時期に注意が必要です
喘息をお持ちの方が今後妊娠を望むなら、女性ホルモンの変化により、喘息の発作が起こりやすくなることを覚えておきましょう。
喘息の発作は月経周期によるものや、妊娠中でも起こりやすさが変わってきます。
月経周期により喘息発作が起こることを、月経喘息と呼んでいます。
生理がくる3~4日前に喘息の発作が起こりやすくなり、喘息がある女性の30~40%の割合で発生するともいわれているものです。
症状は通常の喘息発作と同様で、咳や痰・喘鳴・呼吸困難などです。
月経喘息の関連性は明らかにはなっていませんが、女性ホルモンの影響などが考えられています。
生理前になるとホルモンの影響で身体に水分が蓄積しやすく、気管支もむくむため、発作が起こりやすいと考えられているのです。
または、生理前にストレスがあると発症しやすいともいわれています。
さらに妊娠期間中でも喘息発作の起こりやすさが変わります。
妊娠中は中期の後半から、妊娠後期の前半に発生しやすい傾向があるようです。
その一方で最後の4週間は悪くなりにくいという報告もあるため、出産時に喘息の発作により上手く分娩できないといったことは少ないと考えられます。
月経周期や妊娠中のホルモンバランスでも喘息発作の起こりやすさは変わるため、医師と相談しながら喘息を適切にコントロールしましょう。
妊娠しにくい方の子どもは喘息が多いデータがあります
妊娠しにくい方は、生まれてくる子どもの喘息に注意が必要というデータもあります。
アメリカで18,818人を対象に、生後9か月単胎妊娠の赤ちゃんに対し、5歳と7歳で調査した内容です。
喘息があるまたは喘鳴がある子どもの割合は、5歳で13,041人、7歳で11,585人でした。
妊娠しにくい人の子どもの場合、喘息が1.39倍、喘鳴が1.27倍、喘息薬使用1.90倍と高い結果です。
しかしこれが妊娠しにくいことが原因なのか明らかにはなっていません。
さらにフィンランドでも、単胎妊娠による40,914人を対象に調査をしたデータもあります。
生まれてきた子どもが1~19歳の間に喘息疾患登録された場合に、調査をしています。
これによると自己申告による妊娠しにくい方の子どもで喘息の割合は1.39倍、妊娠まで4ヶ月以上かかった方で1.25倍、不妊治療を受けた方は1.43倍、2回以上の流産の方は1.25倍という結果です。
ただし体外受精や人工授精の例では、喘息リスクは上昇していません。
これらの調査では妊娠しにくい人の子どもが喘息になる因果関係ははっきりしていませんが、ひとつのデータとして参考にしてみましょう。
イギリスの研究データでは、体外受精のリスクが高く、排卵誘発剤使用はリスクが少なくなっています。
一方でフィンランドの調査では、体外受精や人工授精の例では喘息リスクは高くなっていません。
(まとめ)喘息だと妊娠しにくいのですか?
245人の不妊女性に調査をしたところ、96人が喘息という診断を受けていました。
さらに喘息を持っている女性は非喘息者と比べて、不妊治療の期間が長くなるというデータが出ています。
ただし喘息と不妊との関連性は明らかになっていません。
喘息を持っている人が健康な妊娠や出産ができるか不安に感じることもあるでしょう。
吸入ステロイド薬でコントロールすることが大切で、酸素を十分取り込み、胎児の発育を妨げないことが重要です。
女性は月経前の3~4日や、妊娠中の中期後半~後期前半にかけて発作が起こりやすい傾向があります。
女性ホルモンの影響などが考えられているため、喘息をお持ちの方は医師と相談しながら、発作をコントロールすることが大切です。
イギリスやフィンランドの調査では、妊娠しにくい人の子どもは喘息になりやすいというデータがあります。
2つの調査内容を比較しながら、不妊治療の内容決断の参考にしてみましょう。