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アルコールが不妊症の原因となる医学的根拠はありません
アルコールが不妊症の直接的な原因につながるか否かについては、様々な見解がありますが、明確な医学的根拠は示されていません。
しかし過度な飲酒は男性の精子の質や、男性ホルモン「テストステロン」の分泌を妨げるリスクがあるといわれています。
そのため、アルコールの飲みすぎは少なからず不妊症に関係していると考えられています。
過度のアルコール摂取は、男性の精子の質を下げる可能性があります
アルコールが不妊症の原因となるかについては、医学的に証明されていないのではっきりと分からないのが現状です。
しかしデンマークの大学研究者による調査では、1週間にビール中ジョッキ3杯以上のアルコールを摂取している男性は、精子の数が少なく奇形が多くみられるとの結果が報告されています。
そのため、男性不妊症につながる精子の異常には、少なからずアルコールの過剰摂取が影響していると考えられています。
他にも、アメリカの調査ではかなりの量のアルコールを日常的に摂取する男女は、そうでない男女に比べると妊娠、出産に至る確率は約20%とかなり低く、受精率も約50%にまで落ちるとの結果が出ています。
これらの結果からも、お酒の飲みすぎは多少なりとも不妊症に関係していることは認めざるを得ないといえるでしょう。
ただアルコールを全く飲まないとなると、アルコール好きな方にとってはかえってストレスが溜まり、ホルモンバランスが乱れてしまう場合もあります。
あくまでも飲みすぎには気を付けて、適量を守り、休肝日を作るなど量と頻度を調節することが大事です。
アルコールの過剰摂取は、男性ホルモン分泌にも影響を与えるとされています
アルコールの継続的な過剰摂取は、男性ホルモン「テストステロン」の分泌量に影響を与える可能性があります。
テストステロンは20代をピークに徐々に分泌量が減っていくものですが、筋肉が骨格を作る、性的欲求を高めたり勃起を促したりする作用もあります。
とくにビールに含まれる原料のホップには、テストステロンも分泌を阻害する物質が含まれているため、ビールを毎晩たくさん飲むという方は要注意だとされています。
ただビールに限らず慢性的に大量飲酒を続けると、お酒に含まれるエタノールが精巣にダメージを与えます。
その結果的に、テストステロンの分泌にも悪影響を及ぼすので、やはり習慣的な過度の飲酒は不妊症を招く要因となるリスクをはらんでいると言えます。
しかしいきなり禁酒しようとすると楽しみを奪われ、かえってストレスを感じてしまい、テストステロンを減少させてしまう要因となります。
厚生労働省による飲酒のガイドラインによると、1日の摂取量は純アルコール約20gが適量だとされています。
これはビールなら中ビン1本、缶酎ハイなら1缶、日本酒なら1合に当たるので、これらの量を目安として飲みたい方は飲酒するようにしましょう。
妊娠を望むなら、アルコールは控えるべきだとされています
妊娠中のアルコールの摂取は、たとえ少量であっても胎盤を通じて胎児の体内、血液内へと流れ込むため、発育にかなりの悪影響を及ぼします。
胎児はアルコールを分解する肝臓が未発達なため、体内にアルコールが残留し、胎児性アルコール症候群という先天性疾患を発症するリスクが高まります。
脳や体の発達の遅れ以外にも鼻が小さい、上唇が薄いなど容姿の変化、精神発達の遅れなど中枢神経障害などの症状が見られます。
そのため、妊娠が分かれば禁酒するという方がほとんどです。
しかし妊娠前もしくは妊娠の自覚症状がわかりにくい妊娠超初期の頃は、どうすればよいか迷う方もいるでしょう。
妊娠前や妊娠超初期の頃のアルコール摂取は、胎児への影響はあまりないとされています。
しかしやはり大量飲酒を連日のように続けていると、後に胎児性アルコール症候群を発症するリスクはあります。
妊娠を望んでいて適度に夫婦生活を送っているような妊娠の可能性が高いとされる時期や、不妊治療を始める際は万一の備えて、適量であってもアルコールは控えたほうがよいと言えます。
(まとめ)アルコールは不妊症の原因になるの?
アルコールが不妊症となる原因を作り出すかは、医学的な根拠はありません。
しかしアルコールの過剰摂取は男性の精子やホルモン分泌に影響を及ぼすとされているため注意が必要です。
海外の大学の研究調査報告では、アルコールの過剰摂取は、精子の数や形状に異常をもたらす可能性が示唆されています。
適量のアルコール摂取は、ストレス発散につながりホルモンバランスを整えるとも言われており、適量であれば問題ないともいえます。
お酒の飲み過ぎは、生殖機能の働きを促す男性ホルモン、テストステロンの分泌を妨げる可能性があると考えられています。
ただいきなりの禁酒はストレスが溜まり、逆効果となるので飲酒は適量に抑えるところから始めるのがよいとされています。
妊娠前や妊娠超初期の飲酒は、胎児への影響は少ないとされていますが、大量飲酒の場合は影響が出るリスクが高まります。
妊娠を望むなら、妊娠前であっても万一の備えてアルコールは控えておいたほうがよいと考えられています。