不妊治療を検討する場合、懸念点のひとつはやはり費用ではないでしょうか。もともと一部の不妊治療は助成金の対象でしたが、保険適用の範囲が拡大したことで廃止となったものもあります。保険適用後の今、利用できる助成金や制度はあるでしょうか。
この記事では現在不妊治療で利用できる助成金制度や、費用負担を軽減できる制度や方法を解説します。
目次
不妊治療をする場合、助成金を受け取れる?
まずは保険適用前の助成金制度や、現在利用できる助成金についてご紹介します。
「不妊に悩む方への特定治療支援事業」は2023年3月で終了
保険適用前は、特定不妊治療(体外受精・顕微授精)を対象に、国の定めに基づいて各都道府県主体となっておこなっていた助成金制度がありました。ただしこの特定治療支援事業は、2023年3月で終了しています。
助成金制度の大まかな概要は以下のとおりです。
- 対象者:妻の年齢が43歳未満(42歳まで)である夫婦
- 助成額:1回30万円
- 助成回数:1子ごとに6回まで
今後は各都道府県・市区町村の自治体が独自に支援
現在では各都道府県や市区町村が独自の助成金制度を設けています。基本的な不妊治療は保険適用で受けられるため、まだ保険診療として認められていない「先進医療」が主に対象です。
細かい利用条件は、各自治体のホームページなどを確認する必要があります。ご自身が受けられる助成金があるか探してみるとよいでしょう。
また、助成の条件と治療の方法が合致しない場合など、「必ず助成金を利用できるわけではない」ということについては注意が必要です。
【例】東京都「特定不妊治療費(先進医療)助成事業」
現在利用できる不妊治療の助成金制度として、東京都の「特定不妊治療費(先進医療)助成事業」を例にご紹介します。
助成の対象となる費用・医療
保険適用の特定不妊治療と併せておこなった先進医療が対象となります。先進医療のみで受けた場合は対象外となるため注意が必要です。
現在対象となっている先進医療は、以下のとおりです。
- SEET法
- タイムラプス
- 子宮内膜スクラッチ
- PICSI
- ERA / ERPeak
- 子宮内細菌叢検査(EMMA / ALICE)
- IMSI
- 二段階胚移植法
- 子宮内細菌叢検査(子宮内フローラ検査)
- 不妊症患者に対するタクロリムス投与療法
- 膜構造を用いた生理学的精子選択術 (マイクロ流体技術を用いた精子選別)
- 着床前胚異数性検査(PGT-A)
対象となる人の条件
助成金制度の対象となる方は、以下の条件をすべて満たしている必要があります。
法律婚の場合 | 事実婚の場合 |
---|---|
治療の初日から申請日まで婚姻関係がある | 治療の初日から申請日まで同一世帯である証明がある(住民票の記載など) |
治療の初日から申請日まで東京都内に夫婦いずれかが住民登録している | 夫婦ともに東京都内の同一住所に住民登録しており、他に法律上の配偶者がいない |
登録医療機関で保険診療の特定不妊治療を受診し、先進医療を受けている | |
特定不妊治療に関して医療費助成を受けていない | |
治療開始日における妻の年齢が43歳未満 |
助成回数と金額の上限
助成を受けられる回数は、1子ごとに6回または3回までです。女性の年齢により次のように回数制限があります。
- 40歳以下:1子ごとに通算6回まで
- 40歳〜42歳まで:1子ごとに通算3回まで
助成金の上限額は15万円です。上限額の範囲内で、支払った費用の7割を助成します。
(例)先進医療の費用が合計22万円だった場合
15万の上限を超えるため、この場合の助成額は15万円
申請に必要なもの
助成金を受けるには、東京都に申請しなければなりません。申請方法は原則、電子申請となります。
申請の際に必要になる添付書類は以下のとおりです。
必要書類 | 補足 |
---|---|
特定不妊治療費(先進医療)助成事業受診等証明書の原本 | ・指定の医療機関に依頼 ・コピーを控えとして保管 |
住民票の写しの原本 | ・申請日から3ヵ月以内に発行されたもの |
戸籍全部事項証明書の原本 | ・申請日から3ヵ月以内に発行されたもの |
なお証明書は、東京都福祉局のホームページからダウンロード可能です。申請フォームを入力するURLも掲載されています。
助成金を受け取るまでの流れ
助成金を受け取るまでは、申請してから書類の審査を経て、およそ5ヵ月かかります。以下が申請から助成金が振り込まれるまでの大まかな流れです。
- 申請書の受付:専用の申請フォームに入力し、電子申請します。なお、電子申請が難しい場合、東京都福祉局に事前に連絡することで郵送による申請も受け付けています。
- 書類の審査:書類の内容について、フォームから問い合わせがある場合があります。
- 承認決定通知書の受取:申請受理日から4ヵ月程度で、決定通知書が届きます。
- 助成金の受取:決定通知書が届いてから1ヵ月程度で、指定口座に助成金の振込があります。
企業が社員の不妊治療を支援するケースも
最近では自治体のみならず、企業が個別に自社の社員に対して休暇制度や支援制度を導入しているケースもあります。
最近は仕事をしながら不妊治療に取り組む夫婦やカップルが増えていますが、治療と仕事の両立が難しく、離職する方もいるといいます。そのため、社員が不妊治療を受けながら働き続けられる環境づくりとして、不妊治療のための特別休暇や治療費の補助金制度などを設けている企業もあります。
仕事を続けながら不妊治療をはじめたい方は、ご自身の職場の福利厚生などを一度確認してみるのもよいでしょう。
不妊治療の費用負担を軽減するには?
不妊治療の費用負担を軽減するために、他にも以下のような方法があります。
【2022年4月】不妊治療の保険適用範囲が拡大
2022年4月から不妊治療は保険適用範囲が広がり、自己負担3割で治療が受けられるようになりました。現在はタイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などの基本的な不妊治療は保険診療となったため、以前よりも費用負担が軽減されています。
不妊治療の費用や保険適用については、こちらの記事でも解説しています。
> 「不妊治療は保険適用?適用条件や費用がいくらかかるかについて解説」を読む
医療費控除や高額療養費制度を利用する
不妊治療は、医療費控除や高額療養費制度の対象です。
医療費控除は、1年間にかかった医療費の合計が10万以上の場合、確定申告で一部還付金として返ってきます。また、高額療養費制度は、支払った医療費が1ヵ月の上限額を超えた場合に、超過した金額が支給される制度です。1ヶ月の上限額は、所得や年齢に応じて違います。
これらの制度は保険診療で支払った3割負担分に対して適応されるものです。活用することで費用負担軽減が期待できます。
不妊治療の医療費控除については、こちらの記事でも解説しています。
> 「不妊治療は医療費控除の対象?申告方法や負担を減らす方法を解説」を読む
不妊治療向けの民間医療保険を検討する
不妊治療が保険診療になったことで、民間医療保険で給付金が受け取れる場合もあります。
給付の条件や内容は、医療保険によって違うため、民間医療保険に加入している方は、再度内容を確認してみましょう。また、不妊治療を検討中の方は万が一の費用に備えて、民間医療保険を検討するのもひとつの方法です。
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