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不妊治療で自然妊娠を促すことも可能です
不妊治療を行う際には、まず不妊を引き起こしている原因について、検査を行う必要があります。
この検査によって判明した原因に合った治療を行いながら不妊治療を行うこともありますが、原因がわからない場合でも最初はタイミング法が行われるのが一般的です。
女性の排卵日を調べて、妊娠しやすいタイミングを計り、自然妊娠を促すのがタイミング法です。
自然妊娠しやすいタイミングを計る治療法があります
不妊治療の中でも、タイミング法は、女性の排卵日を調べて妊娠しやすいタイミングを計り、自然妊娠を目指す方法です。
実は、もっとも妊娠しやすいといわれているのは排卵の2日前です。
タイミング法では、医師が排卵日を推定し、夫婦生活のタイミングを指導してくれます。
推定される排卵日あたりで、数回通院が必要になる治療法です。
規則正しい生理がきていれば、排卵は生理の約2週間前に起こります。
排卵予定日の数日前に超音波検査で卵胞のサイズを確認すると、排卵日の推定ができます。
卵胞とは、卵巣内で卵子の入っている袋のことです。
排卵前には、卵胞がふくらんできて直径20mmほどになると排卵するといわれています。
卵胞が十分に成熟していると判断されれば、排卵を促すhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)注射をすることもあるでしょう。
排卵日の推定は、基礎体温や、おりものの状態、尿中のホルモンの値などを参考にすることもあります。
人によっては、排卵がないということや卵胞が十分に育たない、育つのが遅いなどの問題もあるでしょう。
タイミング法を何度か行っても、自然妊娠できないという場合もあります。
そのような場合に、排卵誘発剤を使用して健康な排卵を促すこともあるのです。
排卵誘発剤を使う治療法もあります
タイミング法では、排卵誘発剤が併用されることもあります。
注射や内服薬の形で処方されますが、用いられるケースはタイミング法で自然妊娠できなかった、排卵していないなどが代表的です。
ほかに、人工授精や体外受精で用いられることもありますが、排卵していない排卵障害の場合はその原因や状態によって用いられる排卵誘発剤の種類が決められます。
代表的な排卵誘発剤には、錠剤タイプとしてクロミフェンやシクロフェニルと呼ばれる薬です。
服用すると脳に成分が働きかけ、卵巣が刺激されるホルモンの分泌が促進されます。
効果がほどほどのため、副作用も少ないのが特徴です。
排卵誘発剤の副作用として多胎妊娠しやすくなることがありますが、クロミフェンやシクロフェニルを用いた場合は多胎妊娠の割合がやや増える程度だといわれています。
一般的には錠剤タイプの排卵誘発剤が処方され、効果が出なかった場合に注射タイプの排卵誘発剤が用いられることが多いでしょう。
注射タイプではゴナドトロピン製剤が代表的で、これは脳から分泌され卵巣を刺激するホルモン自体を薬にしています。
そのため効果が錠剤タイプより強く、副作用もそのぶん強く出る可能性があります。
お腹の張りや痛み・多胎妊娠・卵巣がふくれて腹水を招く卵巣過剰刺激症候群など、起こす可能性もあることはあらかじめ認識しておきましょう。
人工授精の授精・着床後は自然妊娠と同じです
人工授精(AIH)は、精製選別した健康な精子を子宮膣内に注入する不妊治療法です。
タイミング法では妊娠できなかったり、夫婦間で性交障害があったりする場合などに用いられます。
受精・着床後は自然妊娠と同じですから、不妊治療による自然妊娠と解釈してよいでしょう。
排卵日の推定も、タイミング法と同様に行われます。
人工授精で用いる精子は、医療機関で男性自身が採取するか、自宅で採取して持参することになります。
精子の精製には1時間ほど時間がかかりますが、人工授精自体は数分で処置が終わるのが一般的です。
クロミフェンやゴナドトロピンといった排卵誘発剤と併用した治療が行われることもあり、この場合、自然周期で行う治療よりも妊娠率が高くなるといわれています。
とくにゴナドトロピンを用いた場合の妊娠率は、もっとも高いという説もあるほどです。
ただし排卵誘発剤を併用するときは、副作用のリスクを考慮し、状況によっては使用が中止されることもあります。
調整後に精子の総運動数が少ない場合は、顕微授精が適応される可能性も出てきます。
人工授精は4回程度をめどに、妊娠に至らなかった場合は体外受精へのステップアップが検討されるケースが多数です。
(まとめ)不妊治療で自然妊娠を促すこともできるって本当?
不妊治療では、まず検査をして不妊の原因を調べます。
原因がわかればその治療と不妊治療を並行、原因がわからない場合を含めて最初に行われるのはタイミング法であることが一般的です。
これは女性の排卵日に合わせて、自然妊娠を目指す方法となります。
不妊治療の一種であるタイミング法は、医師が排卵日を推定して妊娠しやすいタイミングを計る治療法です。
自然妊娠を促すのが目的で、排卵日は超音波体温をはじめ、基礎体温などによって推定されます。
タイミング法で妊娠できなかった場合や排卵していない場合などに、排卵誘発剤が併用されることがあります。
軽めの効果で副作用を抑えられる錠剤タイプから始めて、それでも効果が思わしくなかった場合に注射タイプが用いられるのが一般的です。
男性から採取した健康な精子を子宮膣内に注入する人工授精は、タイミング法で妊娠できない場合や夫婦間で性交障害がある場合などに選ばれます。
受精・着床後は自然妊娠と同じですが、排卵誘発剤を併用する場合は副作用のリスクも検討する必要があります。