不妊治療では基本検査から採血が必要になります


不妊治療を始めるにあたって最初に行われるのが、不妊の原因を調べる検査です。
さらに精密検査が必要になる場合もありますが、採血を伴う検査は少なくありません。

人によっては、毎日採血されて検査を受けているというケースもあるほどです。
感染症や甲状腺の異常がないかどうか調べるためにも、採血による検査が必要になります。

採血が必要になる不妊治療の検査は複数あります

不妊治療では、不妊の原因を特定するための基本検査から精密検査、不妊治療を始めてからの各種検査まで、数多くの検査をする機会があります。
いずれの過程においても、採血によって行う検査もある点を認識しておきましょう。

たとえば甲状腺に異常がないかどうかを調べる甲状腺機能検査でも採血が行われます。
甲状腺に異常があると女性ホルモンにも影響が出るため、甲状腺疾患だと診断された場合は不妊治療の前に甲状腺疾患の治療が必要です。

風疹やクラミジアなどの感染症について調べる検査でも、採血が必要になります。
たとえ妊娠に成功しても、感染症にかかると胎児に影響が出かねないためです。
妊娠率を上げるためには過剰な活性酸素が妨げにならないように、抗酸化ストレス検査も採血によって行われます。

卵巣機能を評価する抗ミューラー管ホルモン検査などの各種ホルモン検査においても、精子の通り道である頚管粘液に影響を与える抗精子抗体検査においても、採血があります。

採血をするかしないかに関わらず、不妊治療中には多数の検査が行われ、場合によっては一日中毎日検査を受けるようなことも珍しくありません。
そのような状況においては、採血はごく一部の過程に過ぎないともいえるでしょう。

不妊症の原因となるクラミジア感染症検査でも採血があります


性感染症の一種にクラミジア感染症がありますが、女性が感染すると短期間に腹腔内にまで影響がおよぶリスクが出てきます。
初期には自覚症状がないことも多いクラミジア感染症は、気づかぬうちに卵管閉塞や卵管周囲の癒着を引き起こしかねません。

卵管内に障害が起こると、綿毛細胞の綿毛が受精卵を運びにくくなるといた事態にもつながります。
卵管外に障害が起こった場合は、排卵された卵子を卵管内に取り込めなくなります。

クラミジアの感染が卵管采にまでおよんだ場合は、卵管が閉鎖して妊娠が難しくなるでしょう。
そのため、不妊治療の前にクラミジアに感染していないかを採血検査で調べて、感染していたら治療する必要があるのです。

クラミジアの治療は薬の服用で行えますが、自己判断で薬の服用を止めてしまうと、クラミジアが体に残って再発してしまうかもしれません。
治療は医師の指示に従うようにしましょう。

クラミジアの検査では、女性の場合はおりものの採取も必要です。
おりものに含まれるDNAやRNAを調べて、さらに血液検査で抗体が作られているかどうかを確認します。

同時に男性パートナーの検査や治療も重要ですから、どちらかが感染しているとわかれば一緒に治療を受けるようにしましょう。

体外受精前にも採血による検査があります

体外受精の治療を受けるとなると、検査や注射の回数が多いことに驚く人がいますが、採血による血液検査も多く、毎日のように採血されている人も珍しくありません。
血液検査では、ホルモンの量を調べることが多いのです。

代表的なところで、卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体ホルモン(LH)、プロラクチン、エストロゲン(E2)、プロゲステロン(P4)、β-hCGなどの検査があります。
月経や排卵のタイミングによっても基準値に変動があるため、複数回の検査におよびやすいのです。

各種ホルモンの働きは、妊娠するために重要な要素です。
たとえば卵胞を育てるためには卵胞刺激ホルモンが、成熟した卵子を排出するためには黄体ホルモンが正常に働いている必要があります。

子宮内膜を厚くするためには、エストロゲンの働きが関係します。
乳汁の分泌や排卵の抑制を担っているのは、プロラクチンです。
プロゲステロンには、子宮内着床を準備するという役目があります。

こうしたさまざまなホルモンが正常に機能していることで、妊娠が成功するのです。
血液検査で判明した情報によって、不妊の原因がわかることもあります。

貧血や出血傾向・感染症・肝機能など、妊娠を継続するための健康状態を左右する点も、血液検査で調べることが重要です。

(まとめ)不妊治療で採血をすることはある?

1.不妊治療では基本検査から採血が必要になります

不妊治療の検査では、採血をする機会が多数あります。

多い場合は毎日採血されるようなこともあり、不妊症の原因となる感染症や甲状腺異常を調べるためにも採血が不可欠です。

2.採血が必要になる不妊治療の検査は複数あります

不妊治療中には、初期の検査からさまざまな過程において採血が行われます。

すべての検査で採血を行うわけではありませんが、採血をする機会は多めです。
ただし必要な検査をするうえで、採血はごく一部の過程に過ぎないと考えるほうがよいでしょう。

3.不妊症の原因となるクラミジア感染症検査でも採血があります

クラミジア感染症は、卵管に影響を与えて不妊につながるリスクがあります。

初期には自覚症状がないものの、不妊治療をする前にはクラミジアの検査を採血によって行い、感染していればまず治療が必要です。

4.体外受精前にも採血による検査があります

体外受精の治療を受けることになっても、採血によってさまざまな検査が行われます。

とくにホルモンに関する検査で採血が行われることが多数です。
妊娠するためには各種ホルモンが正常に機能している必要があり、採血による検査も不可欠なのです。



仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産科婦人科内視鏡学会

運営者情報

運営クリニック 六本木レディースクリニック
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院長 小松保則医師