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不妊治療でメトホルミンを使うのは多嚢胞性卵巣症候群を治療するためです
不妊治療では多嚢胞性卵巣症候群を治療する目的で、メトホルミンが使われています。
メトホルミンは本来、不妊治療のための薬ではなく、糖尿病を治療するために開発された薬です。
糖尿病には膵臓からインスリンが分泌されない1型糖尿病と、インスリンの分泌はあるものの量が不足していたり、効き目が悪かったりする2型糖尿病があります。
メトホルミンはとくに2型糖尿病に対して、優れた効果を発揮とされる経口薬として知られています。
多嚢胞性卵巣症候群が月経不順を引き起こすことがあります
多嚢胞性卵巣症候群は無排卵周期症などの月経不順を招き、妊娠可能な年齢に達した女性の6~10%が発症していると言われています。
無排卵周期症とは排卵を伴わない月経のことで、不妊の原因のひとつに数えられています。通常の月経では排卵がされるため、無排卵周期症の人は不妊に気づきにくいことがあるのです。
不妊を克服するには早期の治療が求められますが、無排卵周期症は月経そのものは起こるために、発見が遅れやすくなります。
また多嚢胞性卵巣症候群では月経がまったく訪れない無月経や、月経周期が39日以上で3ヶ月以内という稀発月経が表れることもあります。
無排卵周期症になると月経量が増えることがあるため、いつもよりナプキンを変える回数が多いようであれば、念のため医師の診察を受けましょう。
多嚢胞性卵巣とは、超音波検査で両方の卵巣に2~9㎜ほどの小卵胞や、片側の卵巣に10個以上の小卵胞が見られる場合を指します。月経異常と多嚢胞性卵巣に加えて、ホルモンの分泌に異常が見つかると、多嚢胞性卵巣症候群であると診断されるのです。
多嚢胞性卵巣症候群には、男性ホルモンの数値が高くなるという特徴があります。
男性ホルモンが増える影響で、ニキビや体毛が増えたり、声が低くなったりという男性化の兆候が現れるのです。
過度なダイエットやストレスが多嚢胞性卵巣症候群の原因になります
現代の日本では痩せ型の女性が増えていると言われますが、過度なダイエットがストレスを生み、多嚢胞性卵巣症候群の原因となります。
やせ過ぎは視床下部の働きを低下させるため正常な排卵がされにくくなり、不妊を招くのです。成人女性の場合、BMI18.5未満であると「やせ」の状態に該当します。
多嚢胞性卵巣症候群の原因のひとつに、インスリン抵抗性という症状があります。
膵臓から分泌されるインスリンが身体に効きにくくなるため、多嚢胞性卵巣症候群以外にも肥満や高血圧などのリスクが高まるでしょう。
インスリン抵抗症は生活習慣の乱れによって発症します。
- 喫煙
- 運動不足
- 朝食を抜く
- 夜遅い時間の食事
- 野菜不足
多嚢胞性卵巣症候群を改善するには、生活習慣の見直しが必要です。
インスリン抵抗性は女性だけでなく、男性も発症する可能性があります。
多嚢胞性卵巣症候群はインスリンとの関係性が指摘されているのです。
少しずつ明らかになってきてはいますが、多嚢胞性卵巣症候群には解明されていない部分がまだ多くあります。
ダイエットのし過ぎや食生活の乱れは不妊の原因に直結するため、規則正しい生活を心がけましょう。
多嚢胞性卵巣症候群は不妊治療で改善が期待できます
不妊治療専門のクリニックでは、排卵誘発法によって多嚢胞性卵巣症候群の治療を行っています。多嚢胞性卵巣症候群は排卵に障害が起きているため、排卵を促すための治療法が効果的です。
通常の排卵誘発法では、排卵誘発剤のクロミフェンなどを使用して排卵を促します。
排卵される数はひとつのことが多いですが、人によっては複数の排卵が起こることもあります。
メトホルミンが不妊治療に使われるようになったのは、研究から導き出された成果によるものです。クロミフェンでは排卵が難しい体質であっても、メトホルミンを使用することで排卵する確率が上がることがわかっています。
メトホルミンには改善効果が期待できますが、もともとは糖尿病のための治療薬です。
不妊治療の薬として開発されていないため保険が適用されず、自費診療となります。
治療費について不安なことがあれば、医師に相談してみましょう。
(まとめ)不妊治療でメトホルミン使われるのは何のため?
メトホルミンは多嚢胞性卵巣症候群を治療するために、不妊治療で使用されている経口薬です。
本来は糖尿病の治療薬として開発され、とくに2型糖尿病に高い効果を発揮すると言われています。
多嚢胞性卵巣症候群は妊娠可能な年齢の女性のうち、6~10%が発症していると考えられています。
無排卵周期症などの月経不順を招くことがあり、排卵がされないため不妊の原因となるのです。
月経量が多すぎる時は、クリニックで検査を受けましょう。
過度なダイエットや食生活の乱れは多嚢胞性卵巣症候群やインスリン抵抗性を招き、不妊の原因となります。
規則正しい生活を心がけて、妊娠しやすい身体作りを意識しましょう。
多嚢胞性卵巣症候群は不妊治療の排卵誘発法で治療できますが、これまではクロミフェンなどが使われてきました。
メトホルミンはクロミフェンで効果が得られなかった人に対しても、排卵を促す効果が高いと言われています。