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卵子凍結時には主に採卵時に副作用が生じます
卵子凍結を行う場合には、凍結するための卵子の採卵を行うときに排卵誘発剤の副作用が生じる可能性があります。
排卵誘発剤はなるべく多くの卵子を採卵できるようにするために、一度に複数の卵子を育てる薬です。
排卵誘発剤には飲み薬と注射薬があり、一般的に注射薬の方が飲み薬よりも効き目があり、副作用が強いといわれています。
排卵誘発剤の大きな副作用には「卵巣過剰刺激症候群」などがあります
排卵誘発剤は低温期に投与する卵胞を育てる薬です。
一般的な排卵誘発剤の経口薬にはクロミッドなどがあり、注射薬にはFSH製剤・hMG製剤があります。
クロミッドは卵子を育てるホルモンの分泌を促す薬で、服用することで排卵が誘発されるといわれます。
副作用はそれほど強くありませんが頭痛やかすみ目、お腹が張る、情緒不安定になる、発疹、吐き気 、子宮頚管粘液が減少するなどさまざまな症状が現れる可能性があるのです。
排卵誘発のための注射薬は筋肉注射で行います。
筋肉注射では注射部位に腫れや赤み、痛みが生じることがありますが、入浴時のマッサージなどでの予防が期待できるでしょう。
もしも注射後に強い痛みが起きた場合には、早めに医師の診察を受けてください。
FSH製剤・hMG製剤を服用時には吐き気や頭痛、むくみ、頻尿、ほてり、発疹などの副作用が生じることがあります。
まれにショック症状が出ることがあるので、 顔がほてって赤くなったり、卵巣痛が生じたり、また呼吸困難などが起きた場合はすぐに医師に相談しましょう。
どちらの薬でも、排卵誘発剤を使用すると卵巣が腫大して下腹部痛が生じる卵巣過剰刺激症候群になる可能性があり、ひどくなると腹水などが生じる場合があります。
薬剤を長く投与した、もしくは併用した場合には血栓症などが生じる可能性もあるので、きちんと医師の診察を受けながら使用しましょう。
卵子凍結では採卵や凍結などが行われます
卵子凍結は、不妊の原因になるといわれている卵子の老化を防ぐために早い段階で卵子を凍結して、必要になるまで妊娠しやすい卵子を保存するための施術です。
卵子は凍結によって質が低下することはなく、凍結保存後に妊娠するためには顕微授精を行うことになります。
卵子凍結時の施術の流れは以下の通りです。
- 初診・検査
卵子凍結についての説明があり、感染症や貧血などの検査を行います。 - 採卵前に排卵誘発剤の投与
排卵誘発剤で卵巣を刺激して卵胞の発育を促します。 - 採卵
卵巣内から針で卵子を採卵します。排卵誘発剤の投与により、多くの卵子が採卵できる可能性が上がるのです。
多くの卵子を残しておくほど妊娠しやすくなるといえます。
- 凍結
採卵した卵子を液体窒素で凍結して保存します。凍結した後には1年単位の期間で凍結保存する病院が多く、期間延長をするとかなり長い期間保存を行うことが可能とされています。
- 融解
妊娠を望んだときには凍結保存していた卵子を融解して顕微授精を行います。 - 移植
受精後順調に受精卵となったときには、その受精卵をカテーテルで子宮の奥に戻します。
卵子凍結のメリットとデメリットをしっかりと確認しましょう
卵子凍結は凍結時の質の良い卵子の状態を維持することができることがメリットです。
卵子の数は女性の年齢とともに減っていき、30代からは卵子の質もだんだんと下がっていくといわれています。
卵子の質が下がると妊娠しづらくなるため、将来妊娠したいと思ったときに卵子凍結で質の良い卵子が残っていれば妊娠する可能性が上がるといえるのです。
また、病気などで卵巣機能が低下し排卵障害が生じてしまったときでも凍結した卵子が残っていれば、顕微授精での妊娠が望めます。
万が一の保険として卵子を残すことができる卵子凍結ですが、健康な女性が卵子凍結を行う場合には、自費診療のために高額な費用がかかるというデメリットがあるのです。
しかし、国や地方自治体から助成金が出るケースもあるため、お住まいの自治体に確認してみましょう。
他にも排卵誘発剤で生じる副作用の心配や、採卵時に感染、出血などが生じる心配が挙げられます。
ただ、排卵誘発剤の副作用には近年さまざまな対策が進み、重度の副作用が生じることは少なくなってきているのです。
そして以前は排卵誘発剤によってがんにかかりやすくなるという指摘がありましたが、現在では排卵誘発剤による発がんの心配はないとされています。
卵子凍結はきちんと診察を受けながら行えば、副作用などの心配が起こりにくい施術といえるでしょう。
(まとめ)卵子凍結に副作用はある?
卵子凍結時には、凍結のための卵子を採卵するときに排卵誘発剤の投与が行われます。
その排卵誘発剤による副作用が生じる可能性があり、効き目の強い薬の方が副作用も大きいとされています。
排卵誘発剤の投与で生じる副作用には、筋肉注射時の痛みや頭痛、吐き気、発疹、むくみ、情緒不安定になるなどの症状があります。
卵巣過剰刺激症候群が生じる可能あるので医師の診察を受けながら投与を行いましょう。
卵子凍結の施術では採卵前に排卵誘発剤を使用してから採卵を行い、採卵できた卵子を液体窒素で凍結保存します。
冷凍保存後に、妊娠を希望するときには卵子を融解して顕微授精を行います。
卵子凍結には卵子の質を維持することができるというメリットがある一方で、自費診療のため費用がかかる、副作用が生じる可能性があるなどのデメリットがあります。
しかし、医学の発展により副作用の心配は少なくなってきたといわれています。