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卵子凍結と受精卵凍結の違いは凍結した卵子が受精しているかどうかです
卵子凍結と受精卵凍結の違いは、凍結保存したい卵子が受精しているかどうかの違いになります。
不妊治療の卵子凍結には、未受精卵を凍結保存する卵子凍結と、受精卵を凍結保存する受精卵凍結の2つがあります。
未受精卵の卵子凍結の歴史はそれほど長くなく、すべての不妊治療専門クリニックが取り扱っているわけではありません。
もともとはがんを治療中の方が、将来子供を産めなくなるのを回避するために、未受精卵を保存する技術として広まりました。
卵子凍結と受精卵凍結は、妊娠を望む女性だけでなく、社会的に関心を集めている不妊治療です。
卵子凍結や受精卵凍結は女性の多様な生き方を支えます
卵子凍結や受精卵凍結は、晩婚化や社会進出が進んだ女性の多様な生き方を支えるものです。
かつて日本では、「男性は外で仕事をし、女性は家庭に入って家事や子育てをするべき」という価値観が根づいていました。
しかし女性の働きやすさについての議論がなされ、女性が社会的に活躍できる機会が増えてきています。
女性の社会進出が進む中、男女共に晩婚化も緩やかに進んでいるのです。
厚生労働省の調査では、昭和50年の初婚年齢は男性が26.9歳、女性が24.4歳でした。
平成22年にはじめて男性の初婚年齢が30歳に到達し、平成27年時点の初婚年齢は男性が30.6歳、女性が29歳となっています。
このような背景もあり、女性が妊娠や出産を考えるタイミングも、少しずつ遅くなりつつあります。
女性は、結婚→出産→育児という段階を経るのが、一般的な生き方だとされた時代は終わろうとしているのです。
既婚であっても、若いうちは妊娠や出産より仕事を優先する女性が増えています。
受精卵凍結は、こうした女性達の生き方をサポートしていると言えるのです。
また未婚で現在パートナーがいなくても、将来は子供を持ちたいと考えている女性もいます。
未受精卵の卵子凍結は将来の妊娠に備えるために、大きな意味を持ちます。
晩婚になっても若い時の卵子を使えるため、妊娠しやすくなると考えられているのです。
未婚であっても既婚であっても、子供を産みたいという女性の願いに違いはありません。
卵子凍結や受精卵凍結は、女性の多様なライフスタイルを支えています。
卵子凍結と受精卵凍結は採卵した時の状態のまま長期保存できます
未受精卵の卵子凍結や受精卵凍結は、卵子を採卵した年齢当時の状態で長期保存できる方法です。
後に子供を持ちたいと考えた時に採卵した卵子を使用するよりも、妊娠する確率が高くなると考えられています。
採卵された卵子は低温の液体窒素の中で凍結保存され、移植のタイミングを迎えるまで特殊な容器に入れられて、融解される時を待ちます。
冷凍庫で保存された食品の場合、凍結されていても少しずつ劣化が進んでしまうのです。
しかし卵子凍結や受精卵凍結では変質が起こることはまずないと言われています。
未受精卵の卵子凍結や受精卵凍結をするにあたり、いくつか注意点があります。
- 1年ごとの更新が必要で、更新手続きをしないと卵子が破棄となる
- 卵子を融解した時に、卵子がダメージを受ける恐れがある
- 年齢制限が設けられている場合がある
詳細については、担当の医師に確認するようにしましょう。
卵子凍結や受精卵凍結をしたら妊娠や出産の時期についても考えておきましょう
未受精卵の卵子凍結や受精卵凍結は、卵子を凍結保存できても高齢出産のリスクは変わりません。
誰もが若い年齢のうちに妊娠や出産のタイミングを迎えるわけではありませんが、年齢を重ねてからの出産について理解しておきましょう。
不妊治療の専門医のほとんどが、適齢期での出産を推奨しています。
未受精卵と受精卵では、融解後の卵子の生存率に違いがあるとも言われています。
融解後の未受精卵の生存率は30~60%ほどだというデータがあります。
一方で受精卵の生存率は99%近くあり、未受精卵の卵子凍結と受精卵凍結には、リスクに違いがあると言えます。
凍結保存したからといって安心せず、リスクや今後の出産計画について、きちんと考えておきましょう。
(まとめ)卵子凍結と受精卵凍結に違いはあるの?
卵子凍結と受精卵凍結の違いは、凍結保存する卵子が受精しているかどうかの違いになります。
未受精卵の卵子凍結は日本ではまだ歴史が浅く、もともとはがんを治療中の方が将来妊娠する可能性を残すために広まった技術です。
出産よりも仕事を優先したいと考える女性が、受精卵凍結を選択することが増えています。
未受精卵の卵子凍結は、将来は結婚して子供を産みたいと願う女性が妊娠・出産できる希望を繋いでいます。
未受精卵の卵子凍結や受精卵の卵子凍結は、保存する卵子を採卵当時の状態で維持できるのがメリットです。
将来子供を持ちたいと考えた時に採卵した卵子を使用するよりも、妊娠する確率が高くなると考えられています。
未受精卵の卵子凍結や受精卵凍結をしたとしても、高齢出産のリスクは変わりません。
パートナーや専門医と相談しながら、妊娠や出産について計画的に考えていく必要があります。