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卵子凍結をしても高齢出産のリスクは下げられません
卵子凍結はあくまで若い時に採卵した卵子を保存する方法であって、高齢出産のリスクを下げる手段ではありません。
不妊治療専門のクリニックを訪れる患者さんの中には、卵子凍結をすれば年齢を重ねても出産できると考える方がいらっしゃいます。
しかし現実問題として、移植する卵子が若い時のものであっても、加齢による肉体の老化を覆すことはできません。
実年齢が生殖可能とされる範囲を超えてしまえば、若い卵子を移植しても妊娠に至るのは難しいと考えられます。
卵子凍結に対する正しい認識を持ちましょう
卵子凍結は採卵した当時の卵子を長期保存できる方法ですが、高齢出産のリスクを下げると受け取られることがあり、誤解を招きやすい不妊治療です。
たしかに老化が進む前に採卵した卵子を胚移植できるため、年齢を重ねてから採卵するよりは、妊娠する確率が上がると言えます。
卵子凍結をすれば融解させない限り、人間の一生よりも長い時間、卵子を保存することも物理的には可能でしょう。
しかしいくら胚移植する卵子が若くても、実際に妊娠や出産を経験するのは、今現在の自分の身体になります。
医学の力でも、加齢をストップさせることや、肉体的な老化を回復させることはできません。
卵子凍結に対しては、女性の生き方を支援する方法だとする意見と、妊娠の先延ばしに繋がるので反対だとする意見に分かれています。
どのようなライフスタイルを選ぶかは個人の自由である以上、この論争に絶対的な正解はありません。
とはいえ、反対意見を述べる人の多くが、高齢出産が確実にできるという誤解を広める原因になるとして、卵子凍結に賛同していません。
世の中の意見がどうあれ、卵子凍結を選択するかどうかは、患者さんの意志が大切です。
しかし卵子凍結をすると決めた以上は、卵子凍結に対する誤った認識を取り除きましょう。
卵子凍結は女性が将来の妊娠に備える方法として、心強いものになります。
ただし自分自身が年齢を重ねていく以上、卵子凍結をしていても年齢的に妊娠が難しくなる時がいつか訪れます。
卵子凍結はいわば保険のようなものだと考え、高齢出産のリスクを忘れないようにしましょう。
卵子凍結をすると人生の選択肢を増やすことができます
卵子凍結はネガティブな見方をすれば、出産の先延ばしに繋がるという表現も当てはまるかもしれません。
しかし昔と比べて女性が社会で活躍する場が増えたこともあり、必ずしもマイナス要素ばかりではないのです。
卵子凍結には女性の多様化する生き方を支え、人生の選択肢を増やすというプラスの側面があります。
たとえば若いうちはキャリアを重視して仕事に打ち込み、仕事上での目標をクリアしてから出産や子育てに向き合うという生き方が選択できるようになります。
加齢が妊娠率を下げるという動かしがたい事実がある以上、若いうちに出産をした方がよいのはたしかです。
しかしながら、誰もがお手本のように若い年齢での結婚や妊娠、出産を経験するとは限りません。
具体的な結婚の予定がなくても、将来は子どもを産みたいと望んでいる女性も多くいます。
またがんなどの大病のリスクを考えて、若くて健康なうちに卵子を残しておきたいと考えることもあるでしょう。
このように卵子凍結には、女性の選択をサポートするというメリットがあります。
妊娠しやすい身体づくりを目指しましょう
確実に妊娠する方法はありませんが、生活スタイルを見直せば、妊娠しやすい身体づくりに繋がります。
女性は体重の増加を気にする傾向が強いですが、やせ過ぎでは妊娠しにくくなると言われています。
もちろん肥満も妊娠率を下げる原因となり、不妊原因の約1割がやせ過ぎか太り過ぎだと指摘されています。
ストレスも不妊を引き起こす原因になると考えられるのです。
過度のストレスはホルモンバランスを乱し、排卵障害などを引き起こすとされています。
ホルモン値が正常であっても35歳を過ぎた頃から、妊娠率が下がると言われています。
妊娠や出産のタイミングは、計画性を持って考えましょう。
(まとめ)卵子凍結すれば高齢出産のリスクが下がる?
不妊治療専門のクリニックを訪れる患者さんの中には、卵子凍結で高齢出産のリスクが下がると考える方がいます。
しかし実際は高齢出産のリスクが下がることはなく、加齢による肉体的な老化を完全に防ぐ方法はありません。
卵子凍結は社会的に注目されることが多く、出産の先延ばしに繋がるとして反対する意見が少なからずあります。
高齢出産のリスクを下げるという誤解を改め、高齢出産のリスクについてきちんと認識しましょう。
卵子凍結は反対意見もありますが、女性の選択肢を増やすという大きなメリットも存在します。
将来子供を産む可能性を残すために、卵子凍結を必要と考える女性が増えています。
確実に妊娠する方法はありませんが、生活スタイルを見直すと妊娠しやすい身体づくりができるようになります。
ダイエットのし過ぎや肥満に注意し、ストレスをためないようにしてください。
高齢出産のリスクを忘れず、困ったことがあれば専門医を頼りましょう。