妊娠には卵子と精子の受精が必要ですが、卵子の寿命や受精可能な時間をご存じでしょうか? 妊娠しやすいタイミングを把握するために、知っておくべき重要な知識になります。
この記事では、卵子と精子の寿命を詳しく解説し、妊娠の仕組みや妊娠率を高めるためのポイントもご紹介します。
目次
卵子と精子には寿命がある?
卵子と精子にはそれぞれ寿命があります。ここではまず、卵子と精子の寿命や受精可能時間について解説します。
卵子の寿命
排卵された卵子は、卵管膨大部という場所で精子がくるのを待ちます。卵子の寿命は最大24時間で、精子が来なければ受精せずに寿命を迎え、生理で経血とともに体外へ排出されます。
なお、寿命とは別に「受精可能時間」があり、卵子の受精可能時間は約6〜8時間です。妊娠に至るには、限られた時間のなかで受精を成立させる必要があります。
女性の年齢と卵子の関係
卵巣には卵母細胞という卵子のもととなる細胞があり、排卵してはじめて受精可能な卵子となります。卵子になるまでの成熟期間は180日ほどかかり、年齢とともにその細胞の数は減少することがわかっています。
この卵母細胞は、赤ちゃんの頃には約200万個と最も多く、思春期には約20〜30万個に減少。30代になると約2〜3万個にまで減少するといわれています。
卵子は精子のように新しく作られることはなく、加齢とともに卵子の数が減っていき、さらに質も低下していきます。これによって妊孕性(妊娠する力)も低下し、妊娠が難しくなっていきます。
精子の寿命
精子は女性の体内で、最大2〜3日程度生存できます。卵子と比較すれば長い寿命がありますが、膣から卵管を通り卵子と出会うまでには多くの精子が死滅します。
これは膣や卵管の中が酸性になっているためで、2〜3日生き残っている精子が必ずあるとは限りません。
卵子の寿命は精子に比べて短い
前述のとおり、卵子の寿命は精子に比べて短く、さらに受精可能な時間は限られています。
排卵5日前や生理後など、卵子が存在しないタイミングで性交をしても妊娠は成立しません。そのため、妊娠率を高めるには性交のタイミングが重要となります。
加えて、卵子の数や質は年齢とともに変化していくため、早めの妊活や不妊治療が推奨されます。
排卵から受精・妊娠までのメカニズム
妊娠までには、以下のようなプロセスを辿ります。
- 排卵
- 卵子の取り込み
- 射精
- 受精
- 子宮への移動
- 着床(妊娠)
毎月1つの卵子が排卵され、卵管采が卵子を取り込みます。取り込まれた卵子は卵管膨大部で精子が到達するのを待機します。
射精によって膣内に入った精子は、子宮頸管を通過し、子宮・卵管へと進みます。そこで卵子と出会い、受精が成立します。
そして受精卵(胚)は、細胞分裂を繰り返しながら子宮へと移動します。子宮内膜に根をおろして深く入り込むことで着床し、妊娠が成立するという仕組みです。
妊娠には「排卵のタイミング」を知ることが重要
最も妊娠しやすいのは、排卵日の前々日や前日だとされています。したがって、妊娠率を高めるには、排卵日を予測することが重要となります。より正確に排卵日を予測するために、「タイミング法」と呼ばれる手法で妊娠率を高めることも可能です。
タイミング法の詳細は、こちらの記事でも解説しています。
> 「タイミング法とは?正しい方法や成功率を高めるポイントを解説」
専門のクリニックで検査・予測する
不妊治療の専門クリニックでは、タイミング法と呼ばれる治療を受けることが可能です。
超音波検査を実施し、卵胞のサイズを確認します。卵胞は、18〜22mm程度の大きさになると排卵することから、このサイズを目安により正確な排卵日を医師が予測できます。医師が排卵日を予測し、性交のタイミングを指導することで、通常の妊活よりも妊娠率を高められます。
基礎体温表をつける
自分で基礎体温を記録することで、ある程度であれば排卵日に目星をつけることが可能です。ただし、基礎体温から予測する場合は多少のズレが生じる可能性があるため、厳密に排卵日を予測したい場合はクリニックに相談しましょう。
排卵があると体温が上昇し、その後は高温の期間が続きます。そして月経が始まると体温が低下し、排卵前まで低温の期間となります。女性の体温は、高温期と低温期に分かれる特徴があり、この性質を利用しておおよその排卵日を予測できるのです。
2〜3ヵ月ほど記録を続けることで、身体のリズムを把握できるでしょう。基礎体温アプリなどでグラフ化すると、変化が視覚的にわかりやすくなります。
妊娠率を高めるためのポイント
「卵子の質」や「排卵日の把握」は妊娠するうえで重要な要素です。しかし妊娠率を高めるために、他にも押さえておきたいポイントがあります。
正しい知識を身につける
まずは排卵や受精など、妊娠に至るメカニズムについて正しく理解することが重要です。インターネットやSNSで、妊活や不妊治療に関してさまざまな情報が手に入る一方で、正しい情報の精査ができていないこともあります。間違った知識のまま妊活を始めてしまうと、タイミングがズレてしまったり、かえって逆効果のことをしてしまったり、スムーズに妊活が進められないケースもあります。
まずは医療機関やクリニックから、信頼できる正しい情報を身につけることから始めてみましょう。
生活習慣を整える
生活習慣の乱れは、卵子の質の低下にもつながるといわれています。とくに喫煙、過度な飲酒、睡眠不足、運動不足、偏った食事などが挙げられます。生活習慣を整えることで、卵子・精子の質低下や老化を防ぐことにつながります。
子どもが欲しいとお考えの方は、妊娠しやすい身体づくりのためにも、生活習慣から見直してみるとよいでしょう。これは女性だけでなく、男性も同様です。
可能な範囲でタイミングをとる
排卵日に1回だけ性交するのではなく、排卵日5日前を目安に可能な範囲でタイミングをとることが推奨されます。とくに基礎体温で排卵日を予測する場合は、多少のズレがあることを前提に、排卵日周辺で複数回性交をした方が成功率は上がります。
ストレスをためこまない
「可能な範囲でタイミングをとる」では、性交の回数が妊娠に影響することをご説明しました。しかしその際、「たくさんタイミングをとらなければ」と思いすぎてストレスやプレッシャーがかかり、夫婦生活を楽しめなくなってしまうケースもあります。
過度なストレスは身体にもよくありません。あまり気負いすぎず、タイミングにこだわり過ぎず、夫婦生活を楽しめるようにしましょう。
早い段階で不妊治療を検討する
自力でおこなう妊活でなかなか妊娠に至らない場合は、不妊治療に切り替えるのもひとつの選択肢です。
卵子の数や質は、年齢とともに低下していきます。早い段階で不妊治療に取り組むことで、より高い妊娠率が期待できるでしょう。また、検査を受けることで、思いもよらない婦人科系の疾患が見つかることもあります。
疾患によっては年齢が若くても自然妊娠が望めないケースもあるため、まずはご夫婦で不妊検査を受けてみるのがおすすめです。
妊娠や不妊についてお悩みなら六本木レディースクリニックへ
卵子の寿命は24時間で、受精可能な時間も6〜8時間と限られています。これを聞くと妊娠は難しいことのように思えますが、適切なタイミングを把握することで、妊娠率を高めることが可能です。
しかしタイミングに合わせても妊娠に至らない場合、別の不妊原因が隠れていることも考えられます。一人で抱え込まず、まずは気軽にクリニックに相談してみましょう。
六本木レディースクリニックでは、タイミング法はもちろん、高度な生殖補助医療もおこなっている不妊専門クリニックです。妊活がうまくいかない、なかなか赤ちゃんを授かれないとお悩みの方は、お気軽にご相談ください。