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卵子のキャッチアップ障害は治療によって改善できることがあります
卵子のキャッチアップ障害がある場合、何らかの原因で癒着が考えられます。卵管周辺に子宮内膜症がある場合や、クラミジア感染で癒着がある場合などです。
癒着が原因で卵子のキャッチアップ障害がある場合は、癒着を取り除く処置で改善できる可能性があります。卵管の癒着が改善できれば自然妊娠できる可能性もあるでしょう。
卵管の癒着は見逃されることがあります
卵巣機能に問題がなく、原因不明の不妊症の方が一部おられます。ある程度の検査をしても不妊の原因が見つからず、原因不明とされてしまったタイプです。
原因不明だと診断された方の一部は、卵管癒着の原因が考えられるでしょう。卵管造影検査では卵管の癒着が見逃されやすいためです。
不妊の原因を調べる卵管造影検査は、卵管閉塞を調べるものです。子宮口から造影剤を入れてレントゲンを撮影すると、卵管閉塞がわかります。
造影剤が行き渡れば閉塞がないとわかるのですが、必ずしも卵管の異常をすべて判断する検査ではありません。卵管の状態を詳しく調べるなら、腹腔鏡検査で卵管を詳しく診る必要があります。
お腹に数か所の穴をあけて、腹腔鏡を挿入して直接卵巣の状態を確認する方法です。腹腔鏡検査は同時に卵管癒着の摘出や剥離もできるため、一度に問題を解決することができます。
全身麻酔が必要で入院しなければならないため、検査を受けるか迷っている方もいるでしょう。お腹の傷跡も目立たず、腹腔内の癒着も見られない方法ですので、検討されることをおすすめします。
検査自体も短時間で済み、費用は保険が適用となります。
剥離できない癒着は体外受精がおすすめです
腹腔鏡検査で卵管の癒着を剥離できない場合は、体外受精を選択します。体外授精は卵子を取り出し、体外で精子と受精して培養したのちに子宮に戻す方法です。
キャッチアップ障害があっても、体外授精なら妊娠ができる可能性があります。体外授精の方法は男性不妊症の場合でも対応が可能です。
運動精子の量が少ない方や、重度男性不妊症と診断された方でも対応できます。体外授精では運動精子を選別したり、精子の濃度を調節したりできるためです。
1回の胚移植で35~40%の妊娠率となっているため、キャッチアップ障害の次のステップとして活用しやすいでしょう。自然妊娠が難しい状態の方は、体外受精を選ぶことをおすすめします。
体外授精の精度は施設によって変わってきます。杯培養の技術や機械によって左右されるため、専門の機器がそろっている施設を選びましょう。
体外授精は費用が高額になりやすいのがデメリットですが、助成金が利用できます。不妊治療の助成対象を使う場合は、指定医療機関となっているか確認してください。
助成金を活用しても費用が高額なことに変わりがないため、詳しく説明を受けた上で選択するようにしましょう。
ほかにも治療方法がありますが、医師への相談が大切です
卵子のキャッチアップ障害があっても体外受精以外の方法を選びたいという方もいらっしゃるでしょう。そのような方には、DOST法と呼ばれる施術も選択肢として存在します。
DOST法は体外授精とも似ている施術です。卵子を取り出し精子と受精させるところまでは体外受精と一緒ですが、DOST法の場合は培養することがなくすぐに子宮に戻します。
近年では、胚の培養技術が進歩したことでDOST法より体外受精が選ばれるようになりました。しかし体外受精を選択する前の方法として用いやすいメリットがあります。
ただDOST法は用いている施設も少なく、体外受精のように確実に受精できるとは限りません。取り出した卵子は未熟卵や受精障害を持つ場合もあるため、確実な対策方法とはいえないでしょう。
年齢的な理由によって妊娠率を高めたい方は、体外受精が向いています。夫婦それぞれ考え方などもありますから、利用する施術についてはクリニックをよく比較するようにしてください。
また専門医によるアドバイスを直接伺ってみるというのもよい方法でしょう。カウンセリングや治療についての相談から承っているクリニックもありますから、まずは医師に話を聞くところから始めてもよいかもしれません。
(まとめ)卵子のキャッチアップ障害は改善できますか?
卵管周辺の子宮内膜症や、クラミジア感染で卵管に癒着が見られていることがあります。
癒着が原因のキャッチアップ障害なら、癒着を取り除くことで自然妊娠ができる可能性があるでしょう。
原因不明の不妊症で悩んでいる方のなかには、卵管癒着がみられます。卵管造影検査では癒着が見逃されやすいため、腹腔鏡検査で詳しく調べるのがおすすめです。
腹腔鏡なら検査と同時に癒着も取り除くことができます。
腹腔鏡検査で卵管の癒着が取れなかった場合は、体外受精が次の選択肢になります。体外で卵子と精子を受精して培養したのちに、子宮に戻す方法です。
キャッチアップ障害があっても、体外授精なら妊娠できる可能性があります。
体外受精以外の方法を選択したい場合は、DOST法を選ぶこともできます。しかし利用できる施設が少なく、体外授精より妊娠率は下がるという点があります。
どのような施術が適しているのかは、専門医に直接相談してみましょう。