卵子とは受精卵のもとになる細胞の1つです


卵子は精子と並んで、赤ちゃんのもととなる受精卵を形作る細胞です。卵子は女性の卵巣の中にのみ存在していて、毎月1つだけが排卵され、精子と出会うのを待ちます。

卵子は年齢とともに徐々に数を減らし、老いていきます。この卵子の数と質が妊娠に影響するため、女性が不妊治療をする場合は注意しておかなければなりません。

卵子は女性の体内で育ち、排卵される時を待ちます

卵子は女性の体内にのみ存在する、受精卵を作るための特別な細胞です。男性は精巣の中で常に精子を生産していますが、女性の場合は卵巣の中で卵子を作っているわけではありません。

卵子のもととなるのは原始卵胞と呼ばれるもので、女性は一生分の原始卵胞をあらかじめ持って生まれてきます。女性が初潮を迎えるまで、原始卵胞は卵巣の中で眠っているのです。

女性が初潮を迎えると、この原始卵胞はやっと本来の活動を開始します。ホルモンの影響を受けて、初潮時点では20万~30万個あると言われる原始卵胞のうち数十~千個が育ち始めます。

卵胞は卵子を包んで育てる袋のようなものです。中には卵子と卵胞液が詰まっていて、ホルモンに刺激されて卵胞はどんどん大きくなっていきます。

最終的にもっとも大きく育った卵胞が、主席卵胞として選ばれます。卵胞の中から卵子が飛び出し、卵巣から子宮内へと出て行くのです。

これを排卵と呼びます。

残りの選ばれなかった成長途中の卵胞は消滅してしまいますが、排卵された卵子だけは子宮の中で24時間だけ生きることができ、その間に子宮内で精子と出会うのを待っています。

卵子が受精能力を持っていられるのは、そのうちのさらに6~8時間ほどです。

このわずかな間に卵子が精子と出会い、なおかつ受精することができれば、卵子と精子は結合して受精卵となることができます。

卵子は赤ちゃんに必要な情報の半分を持っています


受精卵は細胞分裂を繰り返し、やがて子宮に着床して胎児へと成長していきます。赤ちゃんのもとになるだけあり、卵子は受精卵が赤ちゃんへとなるために必要なすべての情報のうち半分を持っています。

もう片方を持っているのは精子です。

それだけの情報を持っているがゆえに、卵子は巨大で、実は人間の細胞の中で唯一肉眼で見える大きさだと言われています。

卵胞は育つと20mmを超えるほどになりますが、中に入っている卵子の大きさは0.1mm~0.2mmほどです。

ところで双子のことを「一卵性双生児」とか「二卵性双生児」と呼ぶことがありますが、これは受精卵の数に由来しています。

一卵性双生児の場合は1つの卵子、1つの精子が出会って受精卵となり、細胞分裂する過程で、たまたま2つに分裂した細胞がそれぞれに個別に成長していき双子となります。

外見や性別、血液型など共通した赤ちゃんが生まれるのが特徴です。

一方で二卵性双生児の場合は2つの卵子、2つの精子が出会い、それぞれ成長します。通常、排卵される卵子は1つだけですが、まれに2つ排卵されることがあり、これが同時に受精すると二卵性双生児が生まれるのです。

卵子の数と質が妊娠に影響します

卵巣内にある原始卵胞は、新しく生産されないために、年齢を重ねれば重ねるほどどんどん数を減らしていきます。実は、排卵で消費されていくだけでなく、自然消滅する分も非常に多いため、初潮時に数十万個あった原始卵胞の数は38歳で2万5000個ほどにまで落ち込んでしまうのです。

卵子が残り千個以下になると、女性は閉経と言って妊娠できなくなり、生理もこなくなります。いったん閉経してしまえば、もう復活させることは不可能です。

閉経するのはだいたい50歳以降であることがほとんどですが、人によっては30代後半で閉経を迎える人もいます。

そのため妊娠を望むなら閉経まであとどのくらい時間があるのか、病院でAMH検査をして調べてもらうのが確実です。また原始卵胞は長期間体内に保存されている点から、加齢とともに衰えていきます。

卵子が老化すると精子と受精することができなかったり、細胞分裂の過程で異常が出たり、流産の原因になったりする可能性が高くなってしまいます。

できるだけ規則正しい生活、ストレスを溜めない生活をしていくことが、卵子の質を落とさない秘訣です。

(まとめ)卵子とはどんなものなの?

1.卵子とは受精卵のもとになる細胞の1つです

卵子とは精子と対になる、受精卵を作るのに欠かせない細胞です。卵子は女性だけが持ち、毎月1つだけが卵巣から排卵されます。

卵子が年老いて数を減らしていくことが、高齢になるほど妊娠に影響するため注意しましょう。

2.卵子は女性の体内で育ち、排卵される時を待ちます

卵子は女性の卵巣内にもともと入っている細胞です。初潮を迎えると、この卵子がホルモンの影響を受け複数育ち、1つだけが毎月排卵されるようになります。

排卵された卵子は24時間の寿命を持ち、そのうち受精能力があるのは6~8時間だけです。

3.卵子は赤ちゃんに必要な情報の半分を持っています

受精卵のもととなる精子と卵子は、赤ちゃんを形作るための情報を半分ずつ持っています。そのため卵子はとくに巨大で、唯一肉眼で見えるサイズです。

ちなみに受精卵の数や分裂のしかたによっては双子が生まれることがあります。

4.卵子の数と質が妊娠に影響します

卵子は年齢とともにその数と質をどんどん落としていきます。卵子が残りわずかになれば、閉経となりもう妊娠することができません。

卵子の残りの数には個人差があるため、検査で調べてもらうのも手です。また卵子の質を落とさない生活をしましょう。


仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産科婦人科内視鏡学会

運営者情報

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院長 小松保則医師