卵子は生産できず、うまく育つことができないこともあります


女性は自分の体内にあらかじめある卵子を、一生をかけて使うことで妊娠しています。そのため年齢を重ねると卵子の数が少なくなったり、卵子が衰えてうまく卵子としての役割を果たすことができなくなったりする場合があります。

また病気で卵子がうまく育たないこともあります。あらかじめ卵子の仕組みを知っておくことが、妊娠への近道となるでしょう。

女性は一生分の卵子を持って生まれてきます

卵子はそもそも、女性の体内で定期的に作られているものではありません。女性は生まれるその時に、卵巣の中に一生分の原始卵胞という卵子のもとを持って生まれてきます。

女性は一生をかけて、この卵子のもとを少しずつ使い続けることで妊娠に繋げているのです。卵子をほとんど使い切ってしまうと、閉経となり妊娠することはできなくなります。

もちろん、自分の体内で卵子を新たに生産して補充することもできません。

卵子があとどれくらい体内に残っているかは、年齢でもおおよその把握はできますが、血液検査でAMHの値を調べることが有効です。

このAMHと呼ばれるホルモンの量で卵子の残存数がある程度わかるため、不妊治療をしたい、あるいはするべきか悩んでいるならできるだけ早めに調べておいた方がよいでしょう。

同じ年齢でも、年相応の量が残っている人もいれば、明らかに少なくなっている人もいるからです。まれではありますが、早発卵巣不全で、20代でありながらすでに閉経が間近に迫っていたというケースもあります。

今ある卵子は日々老化していきます


新しく卵子を作ることができない以上、不妊治療に悩む人にとって、問題となるのが卵子の老化です。卵子は生まれた時からずっと持っているものであるため、今体内にある卵子は自分と同じだけ年を重ねた細胞になります。

つまり35歳の人であれば35年間、ずっと体の中にあることで、今まで体に起きたホルモンバランスの乱れやストレスなどの影響を受け続けているということでもあるのです。

そのため卵子の状態は加齢とともに少しずつ衰えていく傾向にあります。

卵子が老化すると、排卵する時に大きく育たずに無排卵の原因になったり、また排卵されてせっかく精子と出会ったとしても受精できなかったりすることがあります。

あるいは受精卵になってからうまく着床できなかったり、染色体異常でうまく分裂できなかったりすることもあり、卵子の質の低下はさまざまな不妊の原因になるのです。

一度落ちた卵子の質を元に戻すことは難しいことです。ストレスを溜めず、できるだけ規則正しい生活を心がけるなどしてホルモンバランスを整えることが卵子の質の維持には大切です。

病気で卵子がうまく排卵できないこともあります

加齢によって卵子の数や質が低下していくだけでなく、病気で卵子がうまく機能できない場合もあります。前述したAMH検査においても、AMHの数値が高すぎると今度は多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)という病気が疑われる場合もあります。

これは卵子があるのに男性ホルモンの影響でうまく排卵できない病気です。PCOSの場合は特徴として月経に異変が見られます。

無月経や生理不順、あるいは無排卵月経などPCOSの可能性もあります。詳しくは検査が必要です。

PCOSは肥満が原因で起こることもあるため、治療の一環として減量する場合もあります。

このPCOSの他にも、排卵障害に繋がる病気はいくつか存在します。たとえば視床下部性排卵障害はストレスや痩せすぎなどが原因で起こりやすいと言われる病気です。

また抗うつ剤や胃潰瘍の薬などの服用や、ストレスなどで起こることがある高プロラクチン血症もあります。

その他、女性ホルモンである黄体ホルモンが正常に分泌されなくなる黄体機能不全なども排卵障害を起こす代表的な病気です。

基礎体温や生理の様子、あるいは生理周期の確認などで、これらの病気を発見できる可能性が高くなります。日頃から自分の体調をよく管理し、すぐに異変に気づけるようにしておくとよいでしょう。

(まとめ)卵子ができないことってあるの?

1.卵子は生産できず、うまく育つことができないこともあります

女性はもともと体内にある卵子を少しずつ使うことで妊娠します。そのため加齢によって卵子の数や質が低下していってしまいます。

また病気で卵子が育たないこともあるため、卵子についてよく知っておきましょう。

2.女性は一生分の卵子を持って生まれてきます

卵子は女性の体内で日々新しくできていくものではありません。女性は生まれたときにすべての卵子を持っていて、これを使い切ると閉経となり妊娠できなくなります。

卵子の数は検査でわかるため、早い段階で調べておくとよいでしょう。

3.今ある卵子は日々老化していきます

卵子は体内にずっとあるため、加齢の影響をそのまま受けます。今までに起きた体の変化にあわせて変質していくこともあるため、卵子の質を落とさない努力が大切です。

卵子の質が落ちると妊娠確率を下げてしまいます。

4.病気で卵子がうまく排卵できないこともあります

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)や視床下部性排卵障害、高プロラクチン血症に黄体機能不全など、排卵障害を引き起こすことで知られている病気もいくつかあります。

すぐに気づけるよう、基礎体温や生理の確認を欠かさないようにしましょう。


仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産科婦人科内視鏡学会

運営者情報

運営クリニック 六本木レディースクリニック
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院長 小松保則医師