妊婦は貧血になりやすいため、妊娠中期でも葉酸を摂りましょう


妊娠中期となると、赤ちゃんの発達のために多くの血液や栄養を必要とするため、妊婦は貧血を起こしやすくなります。そのため妊娠初期ほどではなくとも、造血を助ける働きのある葉酸を摂取しておくことで貧血防止に役立つでしょう。

またその他にも妊婦や赤ちゃんによい働きがいくつかあります。妊娠中期以降も葉酸を必要分は摂取していくべきです。

妊娠中期はもっとも貧血が多い時期と言われています

葉酸は造血のビタミンとも呼ばれ、赤血球の生成を助ける働きがあることで知られています。そのため妊娠中期に葉酸を摂取することで、貧血防止に役立てることができるでしょう。

妊娠すると、母親は赤ちゃんの分を含めて血液が1リットルも増えることになります。

しかし実際のところ増えるのは血漿成分が中心で、赤血球はなかなか増えていかないのです。そのためいわば血液が薄くなった状態になってしまい、貧血を起こす原因となります。

そこで赤血球の生成に必須の葉酸が役立つというわけです。

貧血をもっとも起こしやすいのは妊娠中期であり、次いで妊娠後期と言われています。赤血球の材料は鉄であるため、鉄も不足しがちです。

またビタミンB12は葉酸と協力して赤血球の生成を助けることで知られています。鉄・ビタミンB12・葉酸を意識して、妊娠中期に摂取していくよう心がけましょう。

ちなみに妊娠中期~後期における葉酸の必要摂取量は、1日に480µgと言われています。普段の食事からも200µg~300µgほどは摂取できるため、食欲旺盛になりやすい中期に高用量のサプリメントは不要です。

マルチビタミンなどで他の栄養素と一緒に効率よく摂取しましょう。

葉酸は赤ちゃんの体重増加に役立ちます


葉酸は細胞分裂の際、核酸などDNAの合成をする役割があります。つまり葉酸が不足していると、DNAの合成がうまくいかなくなったり、細胞分裂が滞ってしまったりすることがあるのです。

赤ちゃんが日々大きくなることによって細胞分裂を繰り返しているため、妊娠中期以降も葉酸を摂取することで、赤ちゃんが健やかに成長していくことに役立つでしょう。実際に葉酸が母体に不足していると、赤ちゃんが低体重で生まれてきてしまうリスクが高くなるというデータもあります。

また葉酸が赤ちゃんを早産してしまうリスクを減らすという報告も確認されており、妊娠中期以降の葉酸の重要性が窺えます。

葉酸は水溶性のビタミンであるため、体内に溜めておくことができません。妊娠初期にたっぷりと摂ったから大丈夫という人でも、妊娠中期は中期で葉酸を摂取しておきましょう。

葉酸は葉物野菜を中心に含まれています。食欲がありすぎて困っている時期など、太りすぎないように野菜を中心に食べておくと葉酸の摂取にもよいでしょう。

妊娠中期に妊娠初期の分の葉酸を補うことは意味がありません

葉酸をもっとも必要とする妊娠初期の頃、葉酸の必要性に気がつくのが遅く、葉酸を意識して摂取してこなかったという人もいることでしょう。そのために中期になってから慌てて妊娠初期の分も取り戻すかのごとく、葉酸をたくさん飲んでいるという人もいるかもしれません。

しかし実はこれはまったく無意味なことです。

葉酸が妊娠初期に必要とされる理由は、妊娠第4~5週頃起こるという神経管閉鎖障害という先天異常のリスクを下げてくれるからです。妊娠6週末にもなれば神経管の形成は完了してしまうため、これ以降に葉酸を摂取しても当然、神経管閉鎖障害を防止することはできません。

また妊娠初期の頃はこのために葉酸の必要摂取量の目安は多く設定されていますが、妊娠中期になれば初期の頃より必要量がだいぶ落ちます。もし妊娠初期用の400µg~500µgも葉酸が含まれたサプリメントを摂取していたり、あるいはこれらのサプリメントを必要量以上に飲んでいたりする場合は過剰な服用を中止した方がよいでしょう。

過剰摂取がかえって害になる可能性も指摘されています。妊娠中期はあくまで中期の必要性にのっとって葉酸を摂取していきましょう。

(まとめ)妊娠中期になっても妊婦は葉酸を飲むべきなの?

1.妊婦は貧血になりやすいため、妊娠中期でも葉酸を摂りましょう

妊娠中期は赤ちゃんのために多くの血液が使われます。妊娠初期を過ぎても葉酸を摂取することで、貧血防止になるでしょう。

ほかにもさまざまな効果があるため、妊娠中は積極的に葉酸を摂取しましょう。

2.妊娠中期はもっとも貧血が多い時期と言われています

妊娠すると、母親は赤ちゃんのために血液量を増加させます。しかし赤血球が増えにくいため、赤血球を作るのに欠かせない葉酸が役立つのです。

妊娠中期は貧血の症状が出やすくなるため、鉄やビタミンB12とともにまめに摂取しましょう。

3.葉酸は赤ちゃんの体重増加に役立ちます

葉酸は細胞分裂が正しく行われるために必要な栄養素です。葉酸が不足すると赤ちゃんが低体重で生まれてくるリスクが高くなってしまうと言われています。

葉酸は貯めておけないため、毎日こまめに摂取することで赤ちゃんの健康が守られるでしょう。

4.妊娠中期に妊娠初期の分の葉酸を補うことは意味がありません

葉酸を妊娠初期に摂れなかった場合、その分を妊娠中期に取り戻そうとする人もいるかもしれませんが、神経管閉鎖障害のリスクを下げるという点では無意味です。サプリメントの量に注意し、過剰摂取のないよう心がけることが大切です。


仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産科婦人科内視鏡学会

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院長 小松保則医師