葉酸でつわりが抑えられるって本当なの？

葉酸がつわりを抑えるという明確な科学的根拠はありません

葉酸は主に、赤血球の合成・細胞分裂・自律神経の調節に関係する働きがあるとされています。しかし残念ながら特別、つわりに対しての効果は含まれていません。

ただし葉酸を含むサプリメントの働きによって、間接的につわりを緩和する可能性はあります。またつわりを緩和するのに役立つほかの栄養素もあるため、覚えておくとよいでしょう。

葉酸はつわりには関わりのない栄養素です

葉酸はビタミンB群の1つで、「造血のビタミン」とも呼ばれる栄養素です。その呼び名の通り、葉酸は主に鉄を使って正常な赤血球を作る働きを補助しています。

また細胞が分裂する際に、細胞が正しく機能するために欠かせない遺伝子情報の合成を助ける働きもあるとされています。これらの働きはつわりにはほぼ関係ないと思われる内容であり、残念ながら必ずしも葉酸がつわりに効果があるとは言えないのが事実です。

また実はつわり自体、実はどうして起こるのか、そのメカニズムがはっきりとはわかっていません。

しかしながらとくに葉酸サプリを摂取している妊婦の中には、葉酸サプリを飲み始めてからつわりが軽くなった、あるいは葉酸サプリを飲むのをやめたらつわりが悪化したと感じている人もいるようです。理屈はわからずとも、実際に効果を感じている人が一定数いることから、実は葉酸が持つ「自律神経の調節に関与する」という働きが影響しているのではないかという説もあります。

つわりを起こしやすい妊娠16週未満の時期は、体が安定せず、自律神経のバランスが崩れやすい時期です。ホルモンバランスの乱れが自律神経に影響し、つわりに繋がっているとする説もあります。

そこで葉酸を飲むことで自律神経が整い、つわりも軽減されていく可能性が出てくるのです。

葉酸自体は妊婦に必要不可欠な栄養素であり、つわりの有無に関わらず積極的な摂取が推奨されています。つわりがひどいと感じるなら葉酸を飲んでみるのもよいでしょう。

葉酸と相性のよいビタミンB6がつわりに役立ちます

葉酸に、つわりとの関連性があるとは言い切れない一方で、つわりを緩和すると言われる栄養素も存在しています。それがビタミンB6です。

つわりの原因が明らかになっていないため、こちらも具体的なメカニズムはわかっていません。しかし妊婦にビタミンB6を投与する実験を行ったところ、つわりが改善されたとの結果が出ています。

また複数の実験のうち、日本で行われたものには、ビタミンB6と葉酸の組み合わせで投与してつわりが改善したという結果もあります。実際につわりがひどく入院を要するような妊婦には、ビタミンB6を含む点滴の投与を行うこともあるのです。

あえてつわりのために何か栄養を摂取しようと考えているのなら、ビタミンB6を摂取するのがよいでしょう。ちなみにビタミンB6は葉酸の代謝を助けるため、葉酸サプリによく配合されています。

葉酸サプリを飲んでつわりが改善したと感じるのは、サプリ中に含まれるビタミンB6のおかげかもしれません。

飲みやすい妊婦用のサプリメントを用意しておきましょう

健康上、厚生労働省では、妊娠中の女性には1日1.9mgのビタミンB6摂取を推奨しています。しかし妊婦にビタミンB6を投与した実験では、その推奨をはるかに超える、1日25mgという高容量のビタミンB6サプリメントが利用されている点に注意が必要です。

ビタミンB6は耐容上限量を18～69歳女性で45mgとしているため、量は多くても健康上の問題はありません。

しかしながら葉酸サプリなどに含まれるビタミンB6は微量で、一般的なサプリメントでは1日25mgを満たすようなものは限られます。また食事でもこのような高容量を満たすのは不可能です。

必然的に妊婦用のサプリメントを利用することになるでしょう。またクリニックでも相談すればビタミン剤を処方してくれることがあります。

ビタミンB6と葉酸はどちらも水溶性ビタミンであるため、体内にまとめて保存しておくことはできず、毎日摂取する必要があるものです。つわり中はサプリメントすらつらくて飲めないこともあります。

自分に合った飲みやすいサプリメントを選び、またひどい時にはムリをせずクリニックにも相談しながら、上手につわり対策をしていきましょう。

（まとめ）葉酸でつわりが抑えられるって本当なの？