タイミング法とは?正しい方法や成功率を高めるポイントを解説MV
妊活を始めるにあたり、「タイミング法」という方法があると聞いて詳しく知りたいと考える方が多くいらっしゃいます。また、既にタイミング法に取り組んでいるけれど、排卵日や性交渉のタイミングが本当に合っているのか不安に感じている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、タイミング法に関する正しい知識や方法、実施する際の注意点やポイントについて解説します。

タイミング法とは?

タイミング法は、最も妊娠しやすい日を予測し、その日に夫婦生活をおこなうことで妊娠を目指す不妊治療の方法のひとつです。治療の第一ステップとして最初に検討されることが多い、最も自然妊娠に近い方法です。

妊娠に至るには、妊娠可能日やタイミングの把握が重要となります。不妊治療のタイミング法では、医師が卵胞をチェックしながらより正確な排卵日を予測し、適切なタイミングで夫婦生活を送るように指導します。

性交渉のタイミングが重要なのはなぜ?ベストなタイミングとは?

海外の調査によると、最も妊娠しやすいのは排卵日の2日前で、次に前日、そして3日前であるとされています。排卵5日前や排卵日の当日以降の性交渉では妊娠率は低いので、注意が必要です(図1)1)。

図1 排卵日前後の妊娠率

排卵日前後の妊娠率画像
このように、排卵日当日以降は妊娠率が低く、タイミングがズレると妊娠に至らない可能性があります。適切なタイミングで性交渉することで、妊娠率が上がるのです。

〈参考資料〉
1)Practice Committee of the ASRM. Fertil Steril. 2017; 107(1): 52-8.

タイミング法の成功率

日本産婦人科医会のデータによると、不妊症の人がタイミング法を実施した場合の1周期あたりの妊娠率は5%程度といわれています。回数を重ねれば妊娠率は50〜60%程度に高まり、1年程度で妊娠率はほぼ横ばいに推移します。
そのためタイミング法を1年ほど続けても妊娠しない場合は、治療のステップアップを検討する必要があるでしょう。

年齢が35歳以上の場合は、6ヵ月程度を目安に次のステップである人工授精や体外受精に進むことが推奨されることもあります。

> 参考「公益社団法人日本産婦人科医会

不妊治療におけるタイミング法の対象となる人

タイミング法は、次のような方が対象となります。

  • 卵管に異常がない
  • 排卵ができる(排卵障害があっても軽度)
  • 精液検査の結果が正常

女性の不妊原因には、排卵障害(卵胞が育たない、育っても排卵できない)、卵管性不妊(卵管の詰まりや閉塞)、子宮関連の病気(子宮内膜症など)が代表的な原因に挙げられます。
また男性の不妊原因は、性機能障害(勃起障害など)と、精子の数や運動率が悪くなっている状態が原因として挙げられます。

タイミング法は妊娠しやすいタイミングに夫婦生活をおこなう方法であるため、このような不妊原因がなく自然妊娠が可能で、排卵があり、男性不妊でない夫婦が対象となります。

タイミング法の流れと方法

自身で妊娠しやすいタイミングを把握する場合、一般的に次のような流れで進めます。

基礎体温の計測・記録

生理周期のリズムを把握するために、まずは基礎体温を計測・記録します。2〜3ヵ月ほど計測を続けることで、生理周期のリズムがわかってくるため、排卵日を把握しやすくなります。

一般に女性の生理周期は25日〜30日で、このサイクルが身体のリズムとなっています。体調に問題がない人が基礎体温を測ると、月経開始から排卵までの期間は低めの基礎体温で推移します。その後、基礎体温がいったん大きく下がったあと、急激に上昇するときに排卵が起こります。排卵後、妊娠が成立していないと、基礎体温が高いまま推移します(図2)。

図2 女性の基礎体温

女性の基礎体温画像

基礎体温に関する詳細は、こちらの記事でも解説しています。
>「不妊治療や体外受精にも基礎体温は必要?」を読む

排卵日の予測

基礎体温の記録から、おおまかな排卵日を予測します。最近ではアプリなどで記録がつけられ、排卵日を予想できるものもあります。
体温の上昇がみられたら、その日に排卵があったと考えられます。予測した排卵日と実際の排卵日を、基礎体温の変化で事後的に確認できます。

併せておりものの変化をチェックするのもよいでしょう。排卵日に近づくと、おりものの量が増え、粘り気も増します。
>「排卵が近いとおりものが増える?ゼリー状のおりものと卵子の関係は?」を読む

夫婦生活をおこなう

予測した排卵日を目安に、夫婦生活をおこないます。卵子が受精できるのは、排卵してから24時間程度。精子は射精してから72時間程度(約3日)です。妊娠率を上げるためにも、性交渉は排卵日まで複数回することが望ましいでしょう。

クリニックでおこなうタイミング法(タイミング指導)の流れ

不妊治療のタイミング法では、医療が介入することでより正確な排卵日を予測して妊娠を試みます。次のような流れで治療が進みます。

受診

まずはクリニックへ受診し、医師が問診をおこない生理周期を確認します。基礎体温の記録があれば、このときに持参してもよいでしょう。

血液検査や尿検査などの一般不妊検査をし、タイミング法の適用可否もここで調べます。検査は生理周期のどの時期におこなうかによって、検査内容も異なるため、1〜2周期かけて検査する場合があります。
検査のあと医師が排卵日を予想し、次の卵胞チェックの日程を決めます。

検査による排卵日の予測

超音波検査をおこない、さらに正確な排卵日を予測します。卵胞は18~22mm程度になると排卵するため、卵胞のサイズや育ち具合もチェックします。
また、黄体ホルモンを調べるために、尿検査や血液検査をおこなうこともあります。必要に応じて排卵誘発剤が処方されます。

医師のタイミング指導

医師が指定した日に夫婦生活をおこないます。夫婦生活をするタイミングは排卵日の2日前が、最も妊娠率が高くなるといわれています。

排卵の有無の検査

排卵予定日の数日後に、超音波検査で排卵の有無を調べます。もし卵胞が消えていれば、排卵があったと判断できます。排卵後、黄体機能の低下がみられる場合は、着床率を高めるためにホルモン補充をおこなう場合もあります。

月経予定日を過ぎても生理がこなかった場合は、妊娠の可能性があります。妊娠検査薬で陽性反応を確認することも可能です。最終的な妊娠確認は、月経予定日から1〜2週間以内にクリニックを受診し、必ず正確な妊娠判定を受けましょう。

タイミング法を実施する際の注意点とポイント

タイミング法は自然妊娠に近く、身体にも負担が少ない不妊治療です。しかし実施するうえで、意識したい注意点とポイントがあります。

タイミングにこだわりすぎない

医師の指定した日に夫婦生活をすることになりますが、タイミングにこだわり過ぎるとかえってストレスを抱える場合もあります。特に男性はプレッシャーを感じやすく、勃起障害となるケースも少なくありません。

タイミングにこだわって無理に性交渉をするより、指定日に関わらず自然に普段から性交渉ができるようにしておくとよいでしょう。

可能であれば複数回タイミングをもつ

指定日に1度だけ性交渉するのではなく、可能であれば複数回おこなうことが推奨されます。回数を増やすことで、妊娠率は高まります。
ただし回数にこだわり過ぎるものストレスとなる場合があるため、回数やタイミングに関わらず、夫婦でコミュニケーションをとって進めていくことが大切です。

生活習慣を見直す

少しでも妊娠率を上げるために、夫婦で生活習慣を見直してみましょう。妊活・不妊治療中は、食事の栄養バランスを考える、適度な運動習慣を身につける、十分な睡眠を摂るなど意識することが大切です。

女性は妊娠しやすい身体づくりのためにも、葉酸の摂取や冷えの防止、適度な運動などを心がけてみてください。また、男性も精子の質を保つためにアルコールやタバコを控え、ストレスを溜めないようにしましょう。

夫婦そろって取り組む

妊活や不妊治療は、夫婦で取り組むものです。女性が主体的になりがちですが、男性もパートナーの生理周期や排卵日などを把握しておくとよいでしょう。タイミングの日に仕事や予定を入れてしまうと、せっかくの妊娠可能期間を逃すことになりかねません。

夫婦でしっかり話し合いながら、事前にスケジュールを立てるなど工夫するようにしましょう。

タイミング法に関するよくある質問

Q. 基礎体温を計測すれば排卵日が特定できる?

基礎体温だけでは、正確な排卵日の予測は難しいといえます。あくまで排卵の有無や、排卵日の把握の目安であるとお考えください。

不妊治療における基礎体温の必要性についてはこちらの記事でも解説しています。
>「不妊治療や体外受精にも基礎体温は必要?

Q. タイミング法で妊娠しない場合はどうする?

タイミング法を1年ほど継続しても妊娠に至らなかった場合は、次のステップである人工授精を検討します。なお当院では、5回を目安にステップアップをご提案することがあります。

不妊治療のステップアップの詳細はこちらの記事でも解説しています。
>「不妊治療には段階がある?各ステップの治療とステップアップのタイミングを解説

妊娠や不妊についてお悩みなら六本木レディースクリニックへ

タイミング法は、身体に負担が少なく自然妊娠に近い不妊治療です。妊娠率を上げるためには、正確な排卵日の予測だけでなく、日頃の生活習慣の見直しやパートナーの協力が重要となります。妊活や不妊治療でストレスを抱えないように、夫婦で話し合って進めていきましょう。

六本木レディースクリニックでは、タイミング法の一般不妊治療はもちろん、生殖補助医療(体外受精や顕微授精)もおこなっています。一般不妊治療で妊娠に至らない場合でも、ステップアップすることで妊娠率を高められる可能性があります。不妊や体外受精についてお悩みの方は、お気軽に当院にご相談ください。


仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産科婦人科内視鏡学会

運営者情報

運営クリニック 六本木レディースクリニック
住所 〒106-0032
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院長 小松保則医師