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ガニレストは体外受精の際に排卵を抑制するための薬です
ガニレストは、黄体形成ホルモン(排卵を促す働きをするホルモン)の分泌を抑え、排卵を抑制するための薬です。
体外受精では排卵の誘発と抑制をコントロールする必要がありますが、ガレニストには採卵前に排卵しないようにする役割があります。
ガニレストは自分で注射をすることが可能ですが、自己注射をするには条件があります。
クリニックで使用方法についての教育を受けた後、患者さんご本人またはご家族の方が自己注射をできるようになります。
ガニレストは不妊治療の新薬です
ガニレストの歴史はまだ新しく、2009年に発売された不妊治療新薬です。
自己注射による使用が認められているため、時間の都合がつかずクリニックに通いづらい方でも治療を継続できるようになりました。
排卵を抑制するための薬としては日本国内で2例目となります。
1例目の薬と比較して効果の表れ方に差はありませんが、使用感に大きな違いがあります。
ガニレストは「プレフィルドシリンジ」という製剤になっており、開封してすぐに使用できるよう工夫されています。
プレフィルドシリンジはあらかじめ薬剤がシリンジの中に充填されているため、使用するたびに薬剤を注射器で吸い上げる手間がありません。
またこれまでのものは生理食塩水と薬剤を溶解させる必要がありましたが、ガニレストの場合はすでに液体になっていることからすぐに注射することができます。
プレフィルドシリンジにすることにより、他にも多くのメリットが生まれました。
- 薬剤を充填させるための器材が不要
- 細菌汚染や異物混入を防ぐことが可能になった
- シリンジに薬剤名が明記されているため、取り違えによる誤使用のリスクが低くなった
注射をするまでの作業を簡略化させたことで医師が患者さんを待たせることなく、より迅速な対応が可能となりました。
操作が簡単なので患者さんが自ら治療できるようになったことも、ガニレストという新薬の特徴と言えるでしょう。
ガニレストによって副作用が起こる場合もあります
ガニレストにはいくつかの副作用が報告されています。
症状は軽いものから重いとされるものまでさまざまです。
- 吐き気・身体のだるさ
- 頭痛・発熱
- 錯感覚・しびれ
- 注射した部分の発赤・浮腫・かゆみ
- アナフィラキシーショック
アナフィラキシーショックの特徴は短時間で全身にアレルギー症状が出てしまうことにあります。
体質にもよりますが、早ければ数分以内で発症してしまいます。
主な症状として呼吸困難・意識障害・血圧低下などが表れ、最悪の場合は命に関わることもあります。
どんなに優れた薬でも副作用が起こってしまう可能性を完全に否定することはできません。
少しでも違和感があるときは、すぐクリニックに申し出ましょう。
また副作用のリスクを減らすためには、ガニレストを適切に保管することが大切です。
凍ってしまうと品質が変化してしまうので適温(1~30℃)を保ち、直射日光が当たる場所は避けましょう。
ガニレストの使い方は難しくありません
自分で注射をすると聞くと難しいのではないかと不安になるかもしれませんが、ガニレストの使い方はそれほど複雑ではありません。
以下は操作の手順になりますので、実際に自己注射する際の参考にしてみてください。
- 薬用石鹼で手をよく洗い、注射する部位(おへその下や太もも)をアルコール綿で消毒します
- アルコールが乾いたら注射器を開封します
- 注射針がどこにも触れないように注意しながら、注射針を上向きにした状態でキャップを外します
- 針先を上にしたままシリンジを3~4回ほど軽くはじき、 気泡が注射針の先端まで上がるようにします
- 針先は上のまま、プランジャーを押して針先に薬剤を1滴出します
- 消毒した皮膚を指でつまみ、もう片方の手で血管を避けて注射針を刺します
- ゆっくりとプランジャーを押し、注入が終わったら針を抜きます
- 注射針を抜いた後、皮膚をアルコール綿でしっかりと押さえます
使い終わった注射器は在宅医療用の廃棄ボトルに入れ、安全に廃棄しましょう。
いざ自己注射をする時に使い方や廃棄方法に不安を感じたら、遠慮せずに、しっかりとクリニックに質問してみると良いでしょう。
(まとめ)体外受精で使うガニレストはどんな薬なの?
体外受精で使用されるガニレストは黄体形成ホルモンが分泌されるのを抑える効果があり、それによって採卵前の早期排卵を抑制します。
クリニックでは在宅自己注射の教育を実施しており、受講後にご本人とご家族のみ自己注射による治療ができるようになります。
ガニレストは2009年に発売された不妊治療のための新薬です。
あらかじめ薬剤が充填されていることが作業の簡便化に繋がり、医師だけでなく患者さんが自分の手で注射を打つことができるようになりました。
ガニレストを使用すると時に副作用を起こしてしまう可能性があります。
吐き気や頭痛・かゆみなどが主な症状ですが、アナフィラキシーショックが疑われる場合にはただちにクリニックに連絡を入れましょう。
自己注射をするのは緊張するものですが、ガニレストの使用方法はさほど難しいものではありません。
ただし注射針の取り扱いには注意が必要です。
わからないことはクリニックに尋ねると、適切な使用方法を教えてもらえます。