妊活や不妊治療中は、妊娠判定まで着床できたか気になる方が多いでしょう。つわりなどの症状がみられないとさらに不安になることも。しかし、症状がないからといって、必ずしも妊娠していないとは限りません。
この記事では、着床しなかったときの症状やサイン、着床しづらい原因について解説します。
目次
着床しなかった場合、どのような症状が出る?
着床しなかった場合にも特有の症状や身体の変化はあるのでしょうか。ここでは、着床しなかった可能性が考えられる症状やサインをご紹介します。
月経が再開する
着床しなかったときの症状として、最もわかりやすいのは月経です。月経が始まることにより、受精卵(胚)が着床しなかったことがわかります。
月経と同じようなタイミングで起こる「着床出血」がありますが、出血量や期間に明確な違いがあります。出血が多く、3日以上続くようであれば月経の可能性が高いといえます。
おりものが変化する
着床しなかったときは、おりものの増加や色の変化は見られず、量は減少していく傾向があります。
逆に着床すると、妊娠を維持するための粘液が増し、おりものの増加が見られます。そのため、おりものの変化がなかった場合は着床しなかったサインのひとつと考えられます。
ただし他の要因でおりものの量が増減することもあり、個人差が大きいため、おりものの変化だけで判断することは難しいといえます。
基礎体温が低温期に移行する
着床しなかったときは、基礎体温の低下がみられます。月経が始まるまでは高温期となり、月経が開始されると低温期に移行するのが一般的です。
しかし、妊娠すると黄体ホルモンが分泌されることで、高温期がそのまま継続します。つまり、基礎体温の低温期への移行がみられた場合は、着床しなかった可能性が高く、数日後に月経が始まると考えられます。
ただし、基礎体温は測定方法や環境の問題で正確に測るのが難しく、誤差が生じやすいものです。ストレスや睡眠不足によっても影響を受けやすく個人差があるため、あくまで目安としてお考えください。
その他の症状・サイン
その他、着床しなかったときは黄体ホルモンが減少することで次のような症状・サインが現れることもあります。
- 頭痛
- 倦怠感
- 軽度の腹痛
- イライラ
これらの症状は、月経前のPMSや妊娠超初期の症状とも類似するため「着床しなかったサイン」と断定することは困難です。
「着床したサイン」なのか「着床しなかったサイン」なのか、妊娠判定までソワソワしてしまうかもしれません。しかし症状は個人差があるため、あまり考えすぎず、リラックスして過ごすことを心がけましょう。
また、強い痛みを感じる場合などは、我慢せず医療機関へ相談しましょう。
そもそも着床とは?
着床とは子宮に受精卵(胚)が潜り込み、胎盤を作るプロセスを指します。着床してはじめて妊娠が成立します。
自然妊娠の場合は、性交によって女性の体内に入った精子が卵管内で卵子と出会い、受精します。受精卵(胚)が卵管を通過して子宮まで到達し、子宮内膜に着床すると妊娠成立となります。
「つわりがない=着床していない」ではない?
妊娠初期の症状としてよく知られているのが「つわり」です。そのため「つわりがない=着床していない」と考える方も少なくないでしょう。しかし実際は、現れる症状に個人差が多く、つわりがないからと一概に断定できるものはありません。
妊娠初期症状は人によって異なる
自然妊娠でも体外受精でも、無事に着床して妊娠したときに起こる初期症状には、基本的に大きな違いはありません。
妊娠初期は身体の変化がとくに出やすい時期で、乳房や乳首に張りや痛みを感じる・性器からの少量の出血・腰痛・腹痛・下腹部痛・頭痛などが起こる場合があります。
胃痛とともに周囲の臭いに敏感になり、吐き気をもよおしたり、実際に嘔吐してしまったりすることも少なくありません。
しかし妊娠初期に現れる症状や重さなどは、人によって個人差が大きいものです。したがって、つわりがないからと言って、着床しなかったというわけではなく、妊娠している可能性は大いにあります。つわりだけでなく、他の症状も同様に、症状の有無だけで妊娠の判断は一概にできません。
初期症状がないケースもある
人によっては、妊娠初期症状がまったく現れない場合もあります。
一方でつわりがある方もいれば、さまざまな症状が同時に出る方もいます。
妊娠初期症状が出るタイミングも個人差がありますが、早い場合では、体外受精の胚移植後、1週間程度で感じ始める場合もあるようです。
しかし、こういったケースは少なく、妊娠判定日あたりから妊娠初期症状を感じ始める方が大半だといわれています。
ただし体外受精の移植後は、体調も変化しやすく心身ともにデリケートになりやすい時期です。そのため、必要以上に敏感になってしまうことがあります。妊娠初期症状だと思っていたものが、風邪や体調不良だったというケースも少なくありません。
前述したように、妊娠初期症状の有無だけで妊娠の判断はできません。初期症状がなくても妊娠していることもあるため、過度に神経質にならず、規則正しい生活を送ることをおすすめします。
妊娠判定は医療機関の受診が必要
胚移植後は、着床したかどうかが非常に気になるものです。
とくにつわりなどの身体の変化を感じると、妊娠判定日よりも前に市販の妊娠検査薬を試したくなる方も多いでしょう。
近年、市販の妊娠検査薬の性能は向上していますが、使用するタイミングによっては正確な結果が得られないこともあります。
たとえ妊娠検査薬で陰性であっても、単純にhCG値がまだ判定基準に達していなかっただけで、実際には妊娠していたというケースもよくあります。
そのため、つわりや初期症状の有無に関わらず必ず医療機関を受診し、妊娠判定を受けましょう。妊娠判定は妊娠の有無を確認するだけでなく、不妊原因の検査や、今後の治療計画について話し合ううえでも重要です。
また、移植後の身体に異常がないかのチェックも、妊娠判定日におこなう大切な役割のひとつです。妊娠の可能性の有無に関わらず、妊娠判定日には必ず医療機関を受診するようにしましょう。
着床しづらいのはなぜ?考えられる要因
妊娠するまでの過程は複雑で、必ずしもスムーズに着床できるとは限りません。さまざまな要因で、着床が阻害される場合もあります。
ここでは、着床が妨げられる要因をいくつかご紹介します。
子宮や卵管などによる問題
子宮筋腫や子宮内膜ポリープといった疾患があると、受精卵(胚)がうまく子宮内膜に着床できず妊娠に至らないケースがあります。
また、卵管に詰まりや狭まりがあると、受精卵が子宮までたどり着けなかったり、子宮外妊娠の原因になったりする可能性があります。
卵子や精子による問題
卵子や精子の質に問題があると、受精卵(胚)に染色体異常や発育不全で、着床できない、または流産してしまう可能性があります。
卵子や精子の質は、年齢とともに低下するため、早めの検査や治療が重要になります。
着床障害による問題
受精卵(胚)を複数回にわたって移植しても着床しない状態を、着床障害といいます。その原因は、前述したような子宮・卵管の問題や受精卵の質にも関係する他、母体の血液や免疫系に異常があるケースも考えられます。
免疫系に異常があると、受精卵を「異物」とみなして着床を阻害し、結果として着床障害となることがあります。
生活習慣や年齢、体型・体質による問題
不規則な生活習慣なども着床を妨げる原因となることがあります。たとえば、過度なアルコールや喫煙の習慣、睡眠不足や食事の偏りなどです。とくにタバコは卵巣機能の低下や排卵障害の原因になるといわれています。
また、肥満や過度な痩せ型なども、ホルモンバランスが乱れるため妊娠しづらいとされています。さらに着床率は年齢に起因することも多く、卵子や精子の質によって、着床が難しいケースもあります。
「着床しにくいかも」と感じたらどうすればいい?
なかなか妊娠しない場合は、着床障害の可能性があります。しかし、不妊原因が必ずしも着床障害であるとは限りません。検査を受けて原因を突き止めることが重要です。何らかの疾患がある場合は、妊活や不妊治療よりもまず病気の治療が優先されます。不妊は年齢にも関係するため、これまで自力の妊活をしていた方は、なるべく早い段階でクリニックを受診してみるとよいでしょう。
妊娠しやすい身体づくりのために、生活習慣を見直すことも大切です。着床率を劇的に向上させることは難しいですが、生活習慣からくる卵子の質の低下や流産リスクの回避につながります。
妊娠や体外受精についてお悩みなら六本木レディースクリニックへ
着床しなかったときの症状・サインには個人差があるため、妊娠を判断することは一概にできません。妊娠判定まで気持ちが落ち着かず、症状に敏感になり、ストレスを抱える方もいるでしょう。しかし、なるべくリラックスして過ごすことが大切です。
六本木レディースクリニックは、不妊治療・体外受精の専門クリニックです。着床障害の原因を特定する精密な検査や、着床時期を確認する検査なども実施しています。妊娠できない、着床しづらいのではとお悩みの方は、お気軽に当院にご相談ください。