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体外受精の場合でもどっちに似るかは、どの遺伝子がどのように出るかによって異なります
遺伝は非常に難しい問題で、まだまだ未知の部分がある分野です。
体外受精を行った場合でも、どっちに似るかというのは自然妊娠の場合と同じで、どの遺伝子がどの部分にどのように出るかによって異なります。
父親母親のどちらかの遺伝子を引き継ぐのではなく、どちらの遺伝子もきちんと半分ずつ受け継いでいるとされています。
子供は両親の遺伝子を半分ずつ受け継ぎます
世間を見渡すと、父親に顔がそっくりな親子がいたり、母親に体型がそっくりな親子がいたりするため、生まれてくる赤ちゃんは両親のどちらに似ているだろうかと疑問に思うこともあるのではないでしょうか?
両親のどっちに似るのかは、自然妊娠と体外受精の場合とでは結果として異なるのかどうかを気になる方も少なくありません。
自然妊娠の場合でも体外受精の場合でも、生まれてくる子供は両親の遺伝子を半分ずつ受け継ぎます。
どの遺伝子がどのように現れるかによって、父親の外見に似るか、母親の外見に似るなどの違いがでます。
言い替えると、遺伝子の受け継ぎ方の違いが人の個性に繋がっていると言えます。
両親に似ていない場合は、祖父母の隔世遺伝を受け継いでいるケースが多いとされています。
A型とB型の両親からO型の子供が生まれることがあるのもそのためです。
どの遺伝子をどのように遺伝させるかを操作することは、現代の医学ではできません。
生まれてくる子供の個性は人為的には作り出せないと言えます。
両親に重篤な遺伝性疾患がある場合は着床前診断を受けられます
両親のどちらか、または両方に重篤な遺伝性疾患がある場合、病気のことを考えてどっちに似るかが心配になるという方も多いものです。
両親どちらか、または両方に重篤な遺伝性疾患がある場合には、体外受精の際に着床前診断を受けられる場合があります。
日本では希望をしても誰でも着床前診断は受けられるというわけではなく、そのクリニック内で議論が行われた後、日本産科婦人科学会の審査と着床前診断を行なってもよいというと承認を受ける必要があります。
着床前診断は、様子や胎児を検査する出生前診断とは異なり、体内に戻す前の受精卵において特定の染色体や遺伝子にある異常の有無を検査するものです。
着床前診断のおかげで、遺伝性疾患に悩むカップルでも子供を持つことができる可能性が高まっています。
染色体や遺伝子に異常がある場合は着床しにくく、また無事に着床できても流産になる可能性が高いものです。
そのため、受精卵を女性の体内に戻す前に、ある程度流産や死産になりにくい受精卵を選ぶことが可能になります。
流産や死産は女性の心にも、身体にもかかる負担が非常に大きいものです。
着床前診断を行うことで、そういった負担が減少することにもつながっています。
着床前診断と着床前スクリーニングは全く異なる検査です
前述したように両親かまたはそのどちらかに重篤な遺伝性疾患がある場合は、着床前診断を行い子供にその疾患が遺伝していないかどうかを検査することができます。
着床前診断に似た言葉で「着床前スクリーニング」というものがあります。
しかし着床前診断と着床前スクリーニングとは全く別のものとして扱います。
着床前診断は検査する項目が親の遺伝性疾患に限られており、特定の染色体や遺伝子に異常がないかを確認するものです。
それに対し着床前スクリーニングは、それ以外の染色体や遺伝子も検査の対象となります。
染色体や遺伝子に何かしらの異常がある場合は、着床しても流産する可能性が高く、そのような流産を減らすという目的のために着床前スクリーニングが行われます。
着床前スクリーニングは、アメリカや欧米以外にも中国やインド、タイなど様々な国で行われていますが、流産の防止の他に、男女の産み分けとしても行われることがあるのが現状です。
日本では、現在は日本産科婦人科学会の「倫理観に反することになりかねない」という指針により、着床前スクリーニングは認められていませんが、今後不妊治療の1つとして承認される可能性があります。
(まとめ)体外受精で生まれた子供は父母のどっちに似る?
体外受精の際も自然妊娠の時と同じで、どの遺伝子がどの部分にどのように出るかは分からず、それぞれの出方によってどっちに似るかが異なります。
外見上の似ているかどうかに関係なく、両親の遺伝子は半部ずつ受け継がれているとされています。
体外受精でも両親のどっちに似るかを操作することはできず、どの遺伝子がどのように現れるかによって、子供の個性が出ます。
外見上は、どちらか片方に似ている、またはどちらにも似ていないように思えても、遺伝子上は両親の遺伝子を半分ずつ受け継いでいます。
日本では、両親に重篤な遺伝性疾患がある場合に限り、日本産科婦人科学会の審査と承認を受けることで着床前診断が受けられることがあります。
着床前診断のおかげで遺伝性疾患のあるカップルでも子どもを諦めずに済むことに繋がっています。
着床前診断が特定の染色体や遺伝子の異常の有無を検査するのに対し、着床前スクリーニングは染色体が遺伝子全般に異常がないかをチェックします。
現在は日本では着床前スクリーニングは認められていませんが、今後承認される可能性があります。