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体外受精をする上で、プロゲステロン注射が必要となることがあります
体外受精では受精が上手くいっても、受精卵を子宮内膜に着床させて妊娠を継続させることができなければ、成功とは言えません。
そのためには子宮内膜を分厚くして、着床しやすい・妊娠を継続しやすい環境に整える必要があります。
女性ホルモンの一種、プロゲステロンには子宮内膜を増強する作用がありますが、分泌量が少ない人もいます。
その場合は人工的に注射で補充する治療が必要となります。
プロゲステロンには子宮内膜を分厚くする作用があるとされています
プロゲステロンは、黄体ホルモンという女性ホルモンの一種で月経周期で排卵後の高温期を維持するために分泌されます。
通常成熟した卵子は排卵時に卵胞から飛び出して排出され、卵巣に残った卵胞が黄体化(黄色の顆粒状の細胞に変化)して、プロゲステロンが分泌され始めます。
プロゲステロンは、基礎体温を上昇させて受精しやすい環境を整えます。
さらに子宮内膜やその周辺の血液量を増やし、子宮内膜を分厚くして受精卵が着床しやすくなるようにサポートする作用もあると言われています。
他にも妊娠成立後に乳腺の発達を促して、出産に備えて母乳が出やすくなるようにも導いてくれます。
プロゲステロンはストレスや生活習慣の乱れ、加齢などにより減ってしまう場合があります。
プロゲステロンが減ると、受精卵が着床しづらく妊娠しにくい、また着床しても妊娠を継続しづらい状態を招くとされています。
体外受精を成功に導くためにも、プロゲステロンは欠かせないホルモンの一つであり、不足している場合はプロゲステロン注射などで補う必要があるのです。
プロゲステロン注射は、体外受精治療の一環で妊娠しやすい体作りに効果的だとされています
プロゲステロンの分泌量は、ホルモンの基礎分泌量を測定することでチェックできます。
日本産婦人科学会により、目安となるプロゲステロンの正常値が、黄体期は5~30ng/mLと決まっています。
排卵後5~7日目においてプロゲステロン値が10ng/mLを下回っていると、黄体機能不全と診断されるケースがほとんどです。
そうなると、体外受精を成功させるためにプロゲステロンの補充が必要となってきます。
プロゲステロンを増やすには、経口薬や経膣法などの方法の他にも、筋肉に直接注入するプロゲステロン注射を行うケースもあります。
プロゲステロン注射にも色々な種類がありますが、大体1日1、2回に分けて筋肉に入れるので多少の痛みを感じる人もいますが、ダイレクトに体内に注入できるので薬の効き目はよいとされています。
プロゲステロン値が低いと、受精卵が着床して妊娠が成立しても妊娠を継続させるのが難しいとされています。
そのため、妊娠が確認できても胎盤が完成して落ち着くまで、大体妊娠7、8週目まではプロゲステロン注射は必要だとされています。
しかしこれはあくまでも一般論であり、ホルモンの測定値によっては投与量や期間なども異なるため、担当医に相談して下さい。
プロゲステロン注射には稀に発疹などの副作用が起こる場合もあります
体外受精に挑戦する上で黄体機能不全を改善するために、プロゲステロン注射を行うことは効果的だとされています。
しかしホルモン注射を行うことは体にとって負担はないのか?と気になるという人もいるでしょう。
プロゲステロンにも副作用があるとされており主なものとしては、皮膚への発疹・むくみ・吐き気や嘔吐・下痢・頭痛・眠気・全身の倦怠感・乳房の張りなどが挙げられます。
また体内のプロゲステロン量を増やすということは、体を排卵後の黄体期と同じような状態にするということなので、月経前症候群と同じような症状は起こりうると言えます。
ただ元から体内に存在していて、妊娠をサポートする女性ホルモンの一種であるプロゲステロンは、副作用も比較的少なく、体への負担も軽いとされています。
一方で、まれに急なプロゲステロンの増量に体が拒否反応を示し、不正出血などが起こる人もいるといいます。
投与から時間が経ってくると体が慣れてきて、症状は徐々に治まるケースがほとんどだと言われていますが、副作用に挙げた症状などが強く出る場合、すぐに担当医へ相談し、対応してもらいましょう。
(まとめ)体外受精でプロゲステロン注射って必要なの?
体外受精を成功させるのは、受精のみならず、着床させて妊娠を継続させる環境を整えることが大事です。
プロゲステロンは、子宮内膜を分厚くする作用があると言われており、治療の一環として注射で投与される場合もあります。
プロゲステロンは、排卵後に高温期を維持する作用があるとされています。
さらに子宮内膜の血液量を増やして厚みを持たせ、受精卵が着床、妊娠を継続しやすい環境を整えるのに欠かせない女性ホルモンの一種です。
ホルモン分泌量の測定で、プロゲステロン量が正常値より低いと、黄体機能不全と診断されることがあります。
黄体機能不全を改善し、妊娠しやすい体を作るにはプロゲステロン注射でプロゲステロンを補充することが必要です。
プロゲステロン注射の副作用としては、発疹・吐き気・下痢・頭痛などの月経前症候群と似た症状が起こる可能性があります。
しかしプロゲステロンは元から体内に存在するホルモンであり、体への負担は比較的軽いと言われています。