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体外受精で腹水が溜まることがあるのは女性ホルモンが高くなることによるものです
体外受精で腹水が溜まってしまうのは、女性ホルモン(エストラジオール)の値が高くなることによるものです。
体外受精は薬剤を使用して治療を行うため、この薬剤の影響によって女性ホルモンが増えてしまうことがあります。
腹水が溜まってしまうと卵巣が腫れ、時にはお腹全体に広がることもあります。
排卵後に卵巣が腫れたり腹水が溜まったりすることはよく見られる症状であり、クリニックでは適切な処置を行っています。
排卵誘発剤の影響で腹水が溜まることがあります
体外受精で腹水が溜まることがあるのは治療に使われる薬剤の影響によるものですが、この薬剤とは排卵誘発剤のことであり、体外受精の治療においては広く使われているものです。
体外受精に排卵誘発剤は欠かせないものですが、薬剤である以上、副作用のリスクが全くないわけではありません。
体外受精で使われる主な排卵誘発剤には、次のようなものがあります。
クロミッドは体外受精の治療開始当初に投与される内服薬です。
一般的には月経周期の3~5日頃から飲み始めて、5日間服用します。
この薬は女性ホルモン(エストロゲン)の拮抗薬であり、排卵を促進する役割があります。
HMG-HCG療法は卵巣を刺激することによって、卵胞を成熟させる働きを持つ注射薬です。
脳下垂体前葉から分泌される卵胞刺激ホルモン(FSH)と、黄体形成ホルモン(LH)の働きを強化します。
これらの排卵誘発剤によって腹水が溜まるなどの症状が見られることがあるため、クリニックとの連携を取るよう意識することが大切です。
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)にはさまざま症状があります
体外受精で使われる排卵誘発剤による副作用は、腹水が溜まる以外にも、いくつかの症状が報告されています。
中でも気をつけなければならないものとして、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が挙げられます。
卵巣過剰刺激症候群は卵巣が過剰に刺激されることによって、数多くの卵胞が一度に成長、排卵してしまい様々な症状を引き起こします。
腹水が溜まっていくと卵巣に腫れが生じます。
もし下腹部に張りや痛み、違和感を抱いているのであれば、腹水を疑いましょう。
胃の不調や吐き気を感じたら、卵巣過剰刺激症候群の初期症状の可能性があります。
症状が進むと実際に嘔吐してしまうこともあります。
腹水が溜まり過ぎてしまうと、体重が急激に増えることがあります。
食生活の変化はないのに体重が増え続けるようであれば、腹水の影響が考えられます。
腹水のようにお腹にではなく、胸に水が溜まることを胸水と言います。
胸水により呼吸困難や咳などの症状が現れることがあります。
腎臓の血流が少なくなり、脱水症状に似た状態になることがあります。
喉の渇き、尿の減少などは、脱水症状を起こしていることによるものです。
血液の濃縮、血液の凝固により血栓症を発症することがあります。
脳梗塞の原因になるため、早めの処置が重要です。
いずれかの症状に気づいたら、すぐクリニックを受診しましょう。
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)は予防や治療をすることが可能です
卵巣過剰刺激症候群は最も気をつけたい症状ではありますが、予防や治療をすることができます。
重篤な状態に陥らないためにも信頼できるクリニックを選び、少しでも違和感を覚えたらすぐに相談をすることが大切です。
クリニックでは体外受精を行う際に、卵巣過剰刺激症候群の予防を行います。
たとえば卵胞の成長を観察しつつ、排卵誘発剤の投与をなるべく少なくして治療をします。
多くの卵胞が成長してしまった場合は、速やかに誘発剤の使用を止め、自然の経過に任せることもあります。
細心の注意を払いながら、常に最適な方法で治療を進めていきます。
もし卵巣過剰刺激症候群を発症してしまった場合は、腹水を改善するアルブミンの投与など、症状に合わせた処置をします。
卵巣過剰刺激症候群になってしまっても妊娠することは可能ですので、クリニックの指示に従い、きちんとした治療を受けましょう。
(まとめ)体外受精で腹水が溜まることがあるのはどうして?
体外受精を受けると腹水が溜まってしまうのは、薬剤の影響で女性ホルモンの値が高くなるためです。
腹水が溜まると卵巣の腫れなどを生じますが、クリニックで適切な治療を受けることができます。
体外受精で使われる排卵誘発剤には内服薬のクロミッド、注射薬のHMG-HCGなどがあり、これらの影響で腹水が溜まるなどの症状が出ることがあります。
早期の発見・治療をするためにも日頃からクリニックと連携を取ることが大切です。
体外受精で使用する排卵誘発剤による症状で最も気をつけたいのは、卵巣過剰刺激症候群です。
腹水だけでなく、吐き気・体重増加・呼吸困難・血栓症などの症状を引き起こします。
気になる症状がある時は、すぐにクリニックを受診しましょう。
卵巣過剰刺激症候群はさまざまな症状を引き起こしますが、クリニックでの予防および治療をすることが可能です。
もし卵巣過剰刺激症候群を発症しても妊娠することはできますので、諦めずにクリニックでの治療を受けましょう。