目次
体外受精で使う排卵誘発剤とは、卵胞の成熟と排卵を促すための薬剤です
体外受精では、卵巣を刺激して未成熟な卵胞に成長を促し、スムーズに排卵させるために排卵誘発剤が治療に使われることがあります。
排卵誘発剤には色々な種類があり、効き目の強さや投与方法などが異なります。
排卵誘発剤は人工的に卵胞や子宮に刺激を加えるため、体質などによっては副作用が起こるリスクもあるとされています。
排卵誘発剤は、様々な種類があり、投薬法や効き目の強さにも違いがあります
体外受精を成功させるためには、より質の高い卵子を複数採取し、受精させることも大事なポイントとなります。
そのためには、育ちにくい卵子を成熟させ、採卵しやすくする排卵誘発剤が投与される場合がほとんどです。
排卵誘発剤といっても種類が多く、効き目にも差があるので、卵巣や子宮の状態や本人の体質などを考えて選び、投与されます。
排卵誘発剤のうち、クロミッドは治療の初期段階で用いられる、比較的効き目が緩やかな内服薬の一つです。
脳の視床下部に働きかけ、卵胞を成熟させる卵胞刺激ホルモン(FHS)と、子宮内膜を分厚くする黄体刺激ホルモン(LH)の分泌をサポートします。
比較的軽度な排卵障害や受精卵が着床しにくいケースなどで用いられ、注射と違って通院の回数も少なくて済みます。
さらにクロミッドよりも排卵誘発の刺激は少ない、セキソビットという内服薬も処方されることがあります。
またゴナドドロピン製剤はFHSとLHの産生、分泌を促すため注射による投薬を行う排卵誘発剤の一種です。
中には、FHSとLHを含んだhMG製剤、LHを除いた精製FHS製剤などの種類があります。
また黄体機能をサポートするためにLHに作用するhCG注射もあります。
体外受精の治療において、排卵誘発剤は採卵前と胚移植後に投与されるケースがほとんどです
体外受精の治療において排卵誘発剤は、より質のよい成熟した卵子を採取するために採卵に先駆けて投与されます。
排卵誘発剤を内服薬で投与する回数や頻度などは、子宮や卵巣の状態、血液中のホルモン量や体の状態によって決められます。
経過によって量を調整したり、誘発剤の種類を変えたりします。
たとえば内服薬のクロミッドは、一般的に月経開始の3~5日目に服用を開始しますが、まずは1錠から始めて5日程継続して内服します。
効果が見られなければ薬の量を増やし、逆に効果が出てきたら減らす場合もあります。
またゴナドドロピン注射の場合も、月経から3~5日目に卵胞を成長させるためのhMG注射を行い、数日間にわたって続けていきます。
卵胞の様子を確認しながら、注射の量や回数を増減させていきます。
そして卵胞がある程度成熟した時点で、今度は排卵を促すhCG注射を行ったり、クロミッドを処方したりする場合もあります。
また胚移植後に、受精卵の着床を促したり、妊娠を継続させたりするためにhCG注射を行うこともあります。
しかしこれはあくまでの一例なので、全ての方に当てはまる方法ではなく、誘発剤の量や頻度は個々のケースによって異なります。
排卵誘発剤の投与により、副作用が起こる場合もあるとされています
排卵誘発剤は薬の作用によって、人工的に卵胞を発育させて排卵を促すことになるので、場合によっては副作用が起こるリスクもあるとされています。
副作用の有無や程度は薬の種類や本人の体質などによって異なるので、一概には言えませんが、念のため知っておくとよいでしょう。
排卵誘発剤の副作用の中で、よく言われるのが卵胞過剰刺激症候群(OHSS)です。
卵胞を刺激することで多くの卵子が成熟し、卵巣が膨張して表面の血管から水分が漏れ、腹水などが溜まることで起こります。
お腹の張りや痛み、吐き気や下痢、体重の増加や尿の減少などの症状が出るのが特徴です。
軽症から中等症なら、通院して点滴を行い自宅療養でも回復の可能性がありますが、重症化すると入院加療の必要がでてきます。
さらに子宮内膜が薄くなったり、子宮頚管の粘液が減少したりするリスクもあるとされています。
また排卵誘発剤の作用が合わないと、胃の不快感や食欲不振、少量の出血、腰痛などの体調不良に見舞われる可能性もあるとされています。
体調に異変を感じたら、できるだけ早めに医師の診察を受けましょう。
(まとめ)体外受精で使われる排卵誘発剤とは?
排卵誘発剤は、質のよい卵子を作り良いタイミングが排卵させて採卵を行うために、体外受精の治療において使われることが多いとされています。
薬の刺激を受けやすい体質だと、排卵誘発剤により副作用が起こる場合もあります。
排卵誘発剤には、効き目が緩やかなクロミッドなどの内服薬や、注射で投与するゴナドドロピン製剤などの様々な種類があります。
子宮や卵巣の状態や、本人の体質などを考慮しながら、どの薬剤をどの位投与するかが決められます。
排卵誘発剤は、体外受精の過程において採卵前や胚移植後などのタイミングで複数回投与されます。
様子を見ながら薬剤量や回数を増減させて、卵子が良い状態で排卵できるように調整します。
排卵誘発剤は、卵胞への強い刺激により卵胞が腫れて、腹水が溜まる卵胞過剰刺激症候群などの副作用が起こるリスクもあると言われています。
更に子宮や子宮頚管のトラブル、頭痛や腰痛などの体調不良になる可能性もあるとされています。