目次
条件つきで第三者からの卵子提供を受け、体外受精を行うことは可能だとされています
第三者からの卵子提供を受けての体外受精は、国内ではJISART認定施設で受ける方法があります。
さらに、台湾やアメリカなどの国外の病院でも行うことが可能だとされています。
ただガイドラインに規定された卵子提供の条件をクリアし、国内では倫理委員会などの審査をパスしなければ実施できないとされています。
また卵子提供には高額な医療費がかかると言われています。
体外受精で卵子提供を受けるには2つの方法があるとされています
体外受精を行う上で、第三者から卵子提供を受けるには国内の法人団体の利用もしくは、国外の病院で行うという2つの方法があります。
まず国内では不妊治療専門クリニックにより結成されたJISART(日本生殖補助医療標準化機関)の認定施設で治療を受ける方法です。
卵子提供を受ける側は、早発性卵巣機能不全など卵子が存在しないもしくは、6回以上体外受精を行っても妊娠出産に至らない、卵子に問題があって今後も妊娠、出産に至らない可能性が高いと医師が判断した場合など条件が決まっています。
提供する側も、40歳未満で既に子が1人以上いる方などの条件があります。
そして提供者は被提供者が自分で探して見つける、対価の授受は禁止などガイドラインで細かく決められています。
もう一つが国外の病院で行う方法ですが、主にアメリカやタイなどが一般的です。
ただ台湾は国により卵子提供が認められており、国営の医療施設もあります。
国外では国や団体によってガイドラインが異なりますが、提供者や被提供者の条件なども決められています。
国内と異なるのは提供者を病院側もしくは被提供者自身が選択できて、提供者には対価が支払われるという点です。
卵子提供による体外受精は、ある程度の年月と高額な費用がかかるとされています
JISARTにおける卵子提供を受けての体外受精は、比較的長い年月がかかるとされています。
流れとしては、まず提供者を選択して依頼し、病院長とのカウンセリングが行われます。
さらに臨床心理士とのカウンセリングが原則3回行われ、その後臨床心理士が卵子提供ができると判断したら、施設内倫理委員会による審議へと移ります。
承認が得られたら、JISART倫理委員会による書類審査を経て承認後カウンセリングが原則1回行われ、ようやく治療が開始します。
始めの臨床心理士のカウンセリングから治療までは1年程度かかるとされています。
さらに、費用の面では提供者への対価の授受は禁止されていますが、諸経費などを合わせると体外受精を行うまでに、総額約90万円という高額な治療費が必要になるとされています。
一方で国外の病院を利用する場合は、台湾やタイでも約100~200万円、アメリカだと約500万円以上は治療費がかかると言われています。
ただ治療の期間に関しては、JISARTよりは短い期間で完了する場合もあります。
卵子提供を受けての体外受精は、出産時のリスクが高まる傾向にあるとされています
厚生労働省の研究班の調査において、卵子提供を受けての出産においては、母子への健康被害が起こるリスクが高まるとされる報告があります。
2009年から2013年の4年間で、卵子提供による出産のうち妊娠高血圧症候群や切迫早産へ、胎盤癒着や前置胎盤などの胎盤異常、低出生体重児など母子への健康影響は約68%に上るとされています。
残念ながら、これは比較的高い割合を示すと言わざるを得ない数字です。
しかしもともと卵子提供という選択肢を選ぶ方は、自身の卵巣や子宮などに問題を抱えている場合がほとんどです。
もちろん提供された卵子の質に問題がないとは言い切れませんが、不妊の要素がそのまま母子の健康リスクに大きな影響を与えている点も否めません。
卵子提供は、自身の卵子では妊娠が望めない方にとっては希望の光だと言えます。
しかし同時に健康被害をもたらすリスクがあるという現状も、きちんと理解しておく必要があると言えるでしょう。
(まとめ)卵子提供を受けての体外受精って可能なの?
体外受精で卵子提供を受けることは、国内ではJISART認定施設で、国外では台湾などの病院で可能だとされています。
ただ卵子提供にはガイドラインが設けられており、条件や審査をクリアする必要があります。
卵子提供での体外受精には、国内のJISART認定施設を利用する方法と、国外の病院で行う方法があります。
どちらも提供者、被提供者などに関しても条件が定められており、クリアしないと認められません。
国内のJISARTを利用する場合も国外の病院で行う場合も、卵子提供を受けての体外受精は、高額な医療費がかかるとされています。
またJISARTを利用すると数回のカウンセリングなどで卵子提供までに1年以上かかるとされています。
卵子提供による体外受精は、厚生労働省の調査によると母子への健康を損なうリスクが上がる傾向にあることが分かっています。
このリスク要素は、提供された卵子に問題が場合と、被提供者の不妊要因に関係している場合があるとされています。