マイルド法は体への負担が少ない体外受精の方法です


マイルド法とは低刺激法とも呼ばれ、体への負担を抑えられる体外受精の方法です。
体外受精を行うには、質のいい卵子を排出させるために卵巣への刺激を行います。

その卵巣への刺激が緩やかで済むことから、このように呼ばれます。
とくに他の卵巣刺激法よりも注射の回数が減らせることが特徴で、さらに自然周期で卵子を採取する方法よりも多くの卵子の採取が可能になります。
そのため精神的負担も少なく、ある程度の効果が見込める方法です。

マイルド法は内服薬を使用する方法です

ではマイルド法について詳しく見ていきましょう。
まず月経が始まって5日目以降に主に内服薬を服用し、場合によって注射を併用して排卵を促します。

そして排卵後の卵子を育て、卵胞の直径が16mm以上になった時点で採卵をするという方法です。
マイルド法で使用される内服薬はクロミフェン(クロミッド)やセキソビット、フェマーラなどです。

方法によっては注射を全く使用せず内服薬だけで排卵誘発を行う場合もありますが、hMGやGnRHアンタゴニストなどの注射を併用する場合にも、通常の卵巣刺激より注射回数を大幅に減らすことが可能です。
この方法のメリットは注射をしない、また回数を減らせることで体への負担が減らせるだけではありません。

体質的に注射が効きにくい場合や、逆に注射の効果が出すぎて卵巣過刺激症候群といった副作用が気になる場合にも適しているのです。
また主に内服薬を使用し注射が少なくなることから、経済的にも負担が少ないため安心して受けられる方法といえるでしょう。

マイルド法にも注意すべきポイントがあります


体外受精の方法としては比較的刺激が少なく、体に対しても経済面でも負担を抑えることができるのがマイルド法です。
しかしメリットばかりではなく、注意すべきポイントも存在しています。

そのポイントとは以下のようなものです。

  • 刺激法よりも採取できる卵子の量が少ない
  • 良好胚ができる確率が低くなり、失敗すると再度採卵する必要がある
  • 服用薬でクロミフェンを使用している場合、子宮内膜が薄くなる傾向にあり、新鮮胚移植が行えず一旦受精卵を凍結しなければならない場合がある

マイルド法は通常の刺激法よりも費用を抑えることができるのがメリットです。
しかし上記のように、良好胚ができにくい可能性があることは否めません。

その結果、何度も採卵を行わなければならない場合があり、そうなると結果的に費用がかさんでしまうという可能性もあります。
また新鮮胚移植ができないとなると移植は次の周期に持ち越すこととなり、治療期間が長くなってしまいます。

さらに凍結胚移植の場合、新鮮胚移植よりも費用が高額になるため、そのリスクについても覚えておきましょう。

高齢での妊活にも効果的といえます

マイルド法は、40歳以上の高齢の人にも効果的な方法であるといわれています。
この方法は、体への負担が軽いことや費用が比較的抑えられることなどのメリットを紹介しました。

またhMGやGnRHアンタゴニストなどの注射に効果がない人や、副作用が心配な人にも向いています。
それだけではなく、高齢で妊娠しにくい人にも適した治療法なのです。

高齢になると、生殖機能にも衰えが出て卵巣がその働きを上手く果たしにくくなります。
そして卵巣機能が低下すると、FSH(卵胞刺激ホルモン)量が増え、逆にAMH(アンチミュラー管ホルモン)の量は減っていきます。

このような人の場合、hMGなどの注射を打っても質のいい卵子を排出できない場合があるのです。
また排卵されても卵胞が成長しにくく、良好胚への変化に至らない可能性も考えられます。

しかしマイルド法では、1回に採取できる卵子の量は多くないものの、卵子ひとつの質を上げることが可能といわれています。
高齢によって卵巣機能が低下した人にとってもマイルド法は有効ですから、高齢での妊娠を希望している人は、治療を検討してみてはいかがでしょうか。

(まとめ)体外受精のマイルド法とはどんなもの?

1.マイルド法は体への負担が少ない体外受精の方法です

マイルド法は低刺激法とも呼ばれ、体外受精における卵巣刺激を緩やかにして卵子を採取する方法です。

この方法では注射の回数を減らせることから精神的負担が軽くなりますし、自然周期よりも多くの数の卵子を採取することが可能になります。

2.マイルド法は内服薬を使用する方法です

マイルド法では主に内服薬を使用して卵巣刺激を行い、排卵を促します。

注射をしても少ない本数で済むため、体への負担は少ないと言えるでしょう。
注射が効きにくい人や副作用が出てしまう人に適していると言えますし、経済的な負担も減らすことができます。

3.マイルド法にも注意すべきポイントがあります

マイルド法は体への負担が少なく費用も抑えられる方法です。

ですが通常の刺激法よりも採卵できる量が少なく良好胚になる確率が低くなることや、内服薬にクロミフェンを使用する場合は新鮮胚移植ができない場合があることなど注意すべきポイントもあります。

4.高齢での妊活にも効果的といえます

マイルド法は負担の少なさや注射での副作用の心配がないだけではなく、高齢での妊娠を希望する人にも有効的です。

高齢になると卵巣機能が衰えて卵子の質が落ちるとされています。
ですがマイルド法であれば卵子の質を上げることができる可能性があるのです。



仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産科婦人科内視鏡学会

運営者情報

運営クリニック 六本木レディースクリニック
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院長 小松保則医師