体外受精後、いくつかの出血の可能性があります


体外受精を行ったあと、出血がある場合いくつかのパターンが考えられます。
着床せずに生理が来て出血する、着床時に起きる着床出血、生化学妊娠による出血などです。

これらは体外受精を行ったから出血のリスクが高まるのではなく、通常の妊娠の場合でも見られる症状です。
出血が見られたからといって、危険な状態ということにはなりません。
自己判断では分からないことなので、医師にきちんと相談することが大切です。

胚移植後の出血は、着床出血の可能性があります

受精卵を胚移植した後に出血があると、生理が来たと思ったり流産してしまったと思ったりする人もいるでしょう。

しかし着床する際に着床出血があることがあります。
受精卵が子宮内に入り着床するには、子宮内膜に根を下ろす必要があります。

その時に子宮内膜を傷つけてしまう可能性があり、それによって起きる出血が着床出血です。
必ず起きるわけではないので、着床出血がないと妊娠していないわけではありません。

着床出血があると血の混じった茶色いオリモノが出たり、うっすら出血したりすることがあるといわれています。
着床出血の量や期間は個人差があります。

量が多く数日続くこともあり、時期も生理予定日あたりに起きるので生理と勘違いされやすいようです。
ただし通常の生理のように多量の出血があったり、長く続いたりする場合は着床出血ではない可能性があります。

妊娠せずに生理が来ている場合もありますが、子宮外妊娠をしている場合もあるようです。
異常を感じた場合、早めに医師に相談することが大切です。

生化学妊娠によって出血があることがあります


妊娠検査薬で陽性となってから超音波検査で確認するまでの間に出血があり、超音波検査で妊娠が確認できないことがあります。
妊娠検査薬を使える時期と超音波検査を行う時期には1週~2週ほどの差があります。

この間に起きる流産を生科学的妊娠、または化学的流産と呼びます。
妊娠している場合、超音波検査を行うと赤ちゃんが入る胎嚢という袋を確認することができます。

その後、妊娠22週目までの間に起きるのが、一般的に流産と定義されるものです。
生化学妊娠の場合、流産とは呼ばれていますが日本産婦人科学会では生化学妊娠は流産の回数に含まないことになっています。

きちんと妊娠する前に起きたとされているからです。
妊娠検査薬は、着床すると分泌され始めるhCGホルモンを検出して妊娠を判断します。

生化学妊娠の場合、着床まではできているためhCGホルモンが分泌されて、陽性反応が出るといわれています。
体外受精の場合、治療の流れでhCGホルモンの注射を行うことがあります。

そのため体外受精の場合、着床していなくても注射の影響で検査薬が陽性となる可能性があります。
体外受精だから生化学妊娠の可能性が高まるのではなく、誤った陽性反応が出たことで勘違いされるケースもあるようです。

生化学的妊娠の可能性は通常の妊娠の場合でも3割~4割といわれていて、決して珍しいものではありません。
出血量も通常の生理ほどのことが多いため、生理が遅れただけだと気が付かないことも少なくないようです。

妊娠期間中に出血があることもあります

着床しなかったときの生理や、流産でなくても出血が見られることがあります。
妊娠中、子宮の粘膜は充血して出血しやすい状態になるといわれています。

そのためわずかな刺激で出血してしまうことが、珍しくないと考えられています。
とくに子宮頸部が女性ホルモンの分泌が多くただれたような状態になっていると、刺激に弱く出血しやすくなります。

この状態を子宮頸部びらんといい、珍しいものではなく妊娠しにくくなるということもないといえます。
出血量自体はそれほど多くないといわれています。

また受精卵が着床して子宮内膜に根付くには、絨毛という組織を子宮内膜に伸ばしていきます。
そうしてやがて胎盤が作られるのですが、この過程で子宮内膜の血管が傷つくと出血することがあるとされ絨毛膜下出種と呼ばれています。

絨毛膜下出種は小さなものでは特に問題はないとされますが、出血量が多くなるとあまり良くありません。
出血量が多いと感じたら落ち着くまで安静にして、医師に相談すると良いでしょう。

妊娠期間中に起きる出血は不安にさせられるでしょう。
軽度の出血なら問題がないこともありますが、自己判断せずに医師に相談すると安心です。

とくに下腹部に痛みを伴う場合は、なにかしら緊急性がある可能性もあります。
元気な赤ちゃんを産むためには、医師にきちんと相談することが大切です。

(まとめ)体外受精後に出血することはある?

1.体外受精後、いくつかの出血の可能性があります

体外受精後にみられる出血は、いくつか考えられます。

着床出血や生化学妊娠などによるものです。
出血したからといって体外受精に失敗したとは限らず、問題なく妊娠していることもあります。

2.胚移植後の出血は、着床出血の可能性があります

胚移植を行い、無事に着床に成功した場合に着床出血が見られることがあります。

生理と勘違いされることもありますが、着床の際に子宮内膜が傷つくことで起きる出血です。
着床出血があるかどうかは個人差があり、着床したら必ず出血があるわけではありません。

3.生化学妊娠によって出血があることがあります

肺移植後に妊娠検査薬で陽性となっても、超音波検査で妊娠が確認できないことがあります。

これを生化学妊娠と呼びます。
生化学妊娠の場合、生理のような出血が見られます。
誰にでも起こりうると考えられています。

4.妊娠期間中に出血があることもあります

妊娠したあとでも出血が見られることは珍しくありません。

子宮内が出血しやすい状態になっていて、少しの刺激で出血を起こすことがあるからです。
ただし必ずしも問題のない出血とは限らないため、出血が見られた場合は医師に相談することが大切です。



仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産科婦人科内視鏡学会

運営者情報

運営クリニック 六本木レディースクリニック
住所 〒106-0032
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院長 小松保則医師