いつまで続けるか気になる体外受精の治療での座薬は妊娠7週間程度までは続けます


体外受精ではホルモン補充療法が行われ、その際に膣座薬が使われます。
この座薬は妊娠を維持することが目的の薬であり、ホルモン分泌が安定する妊娠7週間までは続けることが一般的です。

服用することでおりものなど不快感が気になり、座薬をいつまで続ければよいのかと思う方もいるでしょう。
しかし自己判断で座薬の服用を止めてしまうことは危険なため、医師の指示に従うことが大切です。

膣坐剤は妊娠を維持するために使われます

体外受精で妊娠したときにはホルモン補充療法がとられます。
新鮮周期の場合は妊娠7週間程度、ホルモンコントロール周期の場合は8~10週間程度まで治療を続けることが一般的です。
この際に膣坐剤を使用するのですが、妊娠しているときにホルモン剤を使用してよいのか不安になる人も多いと思います。

ホルモン剤はエストロゲン製剤とプロゲステロン製剤があり、これらの目的は妊娠を維持させることです。
妊娠後にはエストロゲンとプロゲステロンは妊娠黄体から分泌され、妊娠7週間ぐらいからは絨毛からの分泌に変わっていきます。

自然妊娠でも分泌されるため、ホルモン剤を使用することに問題はないとされています。
ホルモン剤で座薬が使われる理由にはプロゲステロンの特徴が関係しています。

薬は経口摂取すると腸から吸収され肝臓に運ばれていきます。
この時、天然のプロゲステロンは肝臓で分解されやすいため、効果が薄れてしまうのです。

そのため時間がかかってしまうのですが、座薬が用いられています。
注射薬を用いる方法もありますが、痛みや通院が必要になります。
また化学合成されたプロゲステロン剤では安全性が懸念されていることも座薬が広く服用されている理由でしょう。

ホルモン剤には副作用も報告されています


不妊治療でも用いられるホルモン剤ですが、座薬ならではのデメリットもあります。
座薬ではプロゲステロンが溶け出すように作られているため、挿入後におりものが出る場合があるのです。

そのためおりものシートが必要であり、服用後はできるだけ安静にすることが求められます。
また挿入に慣れる必要がある、一日に複数回挿入するためコストがかかるといったこともデメリットといえるでしょう。
プロゲステロンには副作用も報告されています。
発症頻度は不明であり、人によって異なりますが、服用前に理解しておくことが大切です。

副作用のなかでも重大なものは、血栓症やアナフィラキシーショックがあります。
プロゲステロンにより血栓ができることがあるため、過去に血栓性静脈炎や血栓症にかかったことがある方は服用できません。
そのほか発疹・腹痛・頭痛・おりものの変化などの副作用も報告されています。
これらの症状が出た場合には、担当の医師へ相談するようにしましょう。

ホルモン剤の服用を自己判断で止めるのは危険です

凍結胚移植の治療を受けている場合、妊娠判定日にホルモン剤の服用を止めてしまうと流産する可能性が高いといわれています。
これは先ほど紹介したようにエストロゲンとプロゲステロンが妊娠を維持するために必要なためです。

妊娠判定日に出血していたからと自己判断でホルモン剤の服用を止めてしまう方もいますが、出血していても妊娠していることもあります。
その場合、ホルモン剤の服用を止めることでホルモン値が下がり、流産してしまうのです。
せっかく妊娠しているのに流産になるのはもったいないため、自己判断でホルモン剤の服用を止めないようにしましょう。

また病院によっては妊娠10~12週までプロゲステロンを使ってホルモン補充を行うようです。
基本的に妊娠7~8週目以降は、ホルモンは絨毛から分泌されるため補充は必要ないといわれています。

補充の継続については担当医によって判断が変わりますが、この期間であれば補充を止めても流産する可能性は低いです。
胎児への副作用も適度の使用量であれば問題ないでしょう。
しかし服用を続けることでコストもかかり、おりものなどの不快感もあるため、気になる場合は担当医に相談することをおすすめします。

(まとめ)体外受精の治療では座薬はいつまで続ける?

1.いつまで続けるか気になる体外受精の治療での座薬は妊娠7週間程度までは続けます

ホルモン補充療法のために使われる座薬は、妊娠を維持するために必要な薬です。

そのためホルモン分泌が安定するまでは服用が続きます。
服用を止めてしまうとホルモン値が下がり、流産の可能性も高くなってしまいます。

2.膣坐剤は妊娠を維持するために使われます

妊娠しているときにホルモン剤を使うことには問題がありません。

また座薬の形が取られていることにはプロゲステロンの特徴が関係しています。
経口摂取では十分に体に取り込まれないため、座薬が用いられているのです。

3.ホルモン剤には副作用も報告されています

プロゲステロンの座薬では、おりものの増加やコストがかかるなどのデメリットがあります。

また発症頻度は明らかになっていないのですが、副作用も報告されています。
血栓ができやすくなるため、血栓症の既往歴がある方は服用できません。

4.ホルモン剤の服用を自己判断で止めるのは危険です

ホルモン剤の服用を止めてしまうと妊娠維持に必要なホルモンが足りなくなるため、流産する可能性が高くなります。

妊娠をしていないと思っても妊娠しているときもあるため、自己判断で服用を止めないようにしましょう。



仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産科婦人科内視鏡学会

運営者情報

運営クリニック 六本木レディースクリニック
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院長 小松保則医師