不妊治療のアレルギー39検査

アレルギー39検査

アレルギー39検査(39種のアレルゲンスクリーニング)について

困った女性

六本木レディースクリニックが導入した「アレルギー39検査」の内容と妊活との関係について解説します。

アレルギー39検査でわかること

アレルギー39検査は、どのような物質にアレルギー反応を起こす可能性があるか、その原因物質(アレルゲン)の種類や、どのぐらいアレルギー反応が起きる可能性があるかを調べる検査です。調べられるアレルゲンの数は39種類です。アレルギーの原因は1つとは限らず、複数のアレルゲンが関わっている場合があります。アレルギー39検査では、少量の採血で39種類のアレルゲンに対し、アレルギーを起こす可能性がわかります。

アレルギー39検査の判定

アレルギー39検査の結果は、特異的IgEの数値を7段階にクラス分けし、そのアレルゲンに対して0が陰性、1が疑陽性、2~6が陽性となります。ただ、症状が起こるには他の要素も関与しているため、特異的IgEが高くても必ずしもアレルギーの症状がでるわけではありません。

アレルギー39検査を受ける意義

アレルギー39検査を受けてアレルゲンを知ることは、症状の有無に関わらず健康を管理していくうえで役立ちます。
アレルギー症状のある方は、原因である可能性が高いアレルゲンの除去や免疫療法など適切な治療につなげることができます。明らかなアレルギー症状がでるほどではなくても、花粉症の時期や食後に軽い体調不良を感じている方は、その原因を知ることで対策を考えられます。
また、今は症状がない方でもアレルギーが起こる可能性のあるアレルゲンがわかれば、なるべく避けるなどして予防につなげることもできます。

妊活にアレルギー検査が大切な理由

妊活にはなぜアレルギー検査が大切なのでしょうか。不妊治療中から妊娠中、お子さまへの影響について分けて考えます。

妊娠に向けて自分の身体を知る

妊活にアレルギー検査が大切な理由は、妊娠に向けて自分の身体を知る第一歩になるからです。現在何も症状がなくても、何か重篤な食物アレルギーをお持ちの場合、妊娠中にアナフィラキシーショックを起こすことは避けたいものです。
また妊娠すると、女性ホルモンの分泌量の変化、免疫機能や消化器系の機能の低下など身体が変わることで、今までなかったアレルギー症状がでたり、症状が重くなったりすることがあります。そのため妊娠前から自分の身体のアレルギーを知っておくことをおすすめしています。

お子さまへの影響

ご自分のアレルギーの体質を知ることで、生まれてくるお子さまにアレルギーが発症しないように、注意を払うことができる可能性があります。アレルギー疾患は、アレルギー体質の遺伝とお子さまの成長過程での環境によって発症することがわかっています。アレルギー体質とは、IgE抗体を作りやすい体質のことをいいますが、アレルゲンの種類まで遺伝しないこともわかっています。
以上を踏まえて、妊娠をお考えの場合、妊娠前から妊娠・出産・授乳まで、ご自分の身体だけでなくお腹の赤ちゃんや生まれてきたお子さまにとっても、体調管理は欠かせません。リスクの高いアレルゲンを知ることで、アレルギーの治療や予防につなげ、継続した体調管理に役立てることができるため、アレルギー39検査を受けることが大切なのです。

アレルギー検査項目

アレルギー39検査の検査項目は、以下の表のとおりです。

  • ヤケヒョウダニ
  • ハウスダスト
  • ネコ皮屑
  • イヌ皮屑
  • ゴキブリ
  • スギ
  • ヒノキ
  • ハンノキ
  • シラカンバ
  • カモガヤ
  • オオアワガエリ
  • ブタクサ
  • ヨモギ
  • アルテルナリア
  • アスペルギルス
  • カンジダ
  • マラセチア
  • ラテックス
  • 卵白
  • オボムコイド
  • ミルク
  • 小麦
  • 大豆
  • ソバ
  • ピーナッツ
  • ゴマ
  • エビ
  • カニ
  • キウイ
  • リンゴ
  • バナナ
  • 鶏肉
  • 牛肉
  • 豚肉
  • マグロ
  • サケ
  • サバ
  •  

吸い込むことで体内に入る吸入系アレルゲンと、口から摂ることで体内に入る食物系アレルゲンがあります。それぞれ説明していきましょう。

吸入系アレルゲン

吸入系のアレルゲンの検査項目は、以下の19種類です。鼻や口などから吸いこんだり、目の粘膜に付着したりしてアレルギーの原因になりやすいとされています。

室内のほこりヤケヒョウダニ
ハウスダスト
通年性で、陽性率が高い。
代表的な室内アレルゲン。
動物ネコ皮屑、イヌ皮屑
昆虫ガ、ゴキブリ夏から秋に多く、陽性率が比較的高い。
アレルゲンとして一般的に知られるようになりつつある。
樹木スギ、ヒノキ春に飛散する代表的な花粉。
ハンノキ(属)、
シラカンバ(属)
春の花粉症の原因。
花粉―食物アレルギー(PFAS)の主な原因。
イネ科植物カモガヤ、
オオアワガエリ
初夏から秋に飛散する代表的な花粉。
雑草ブタクサ、ヨモギ晩夏から秋にかけて飛散する代表的な花粉。
真菌アルテルナリア(ススカビ)、アスペルギルス(コウジカビ)気管支ぜんそくやアトピー性皮膚炎に関係。
カンジダ、マラセチア(属)
職業性ラテックスまれにアナフィラキシーショックを引き起こす。
ラテックスーフルーツ症候群(LFS)の原因。

食物系アレルゲン

食物系アレルゲンの検査項目は、以下の20種類です。口から摂取することでアレルギーの原因になりやすいとされています。

卵白、オボムコイドオボムコイド は卵白に含まれる卵アレルギーを起こすアレルゲンのひとつ。アレルギー活性が最も高く、加熱してもアレルギー反応を起こす。オボムコイドにアレルギーを持っていなければ、固ゆで卵などは食べられる可能性がある。
牛乳ミルク鶏卵に次いで乳幼児と小児に多くみられる。
パン、ヨーグルト、チーズ 、バター、カレーやシチューのルー、チョコレートなどにも含まれる。
穀類小麦、ソバ、米小麦は、食べなくても、吸い込んだり触れたりすることで症状がでることがある。
ソバは、そば粉や茹でている蒸気を吸い込んで症状がでることがある。アナフィラキシーなど重篤化を引き起こす。
甲殻類エビ、カニ加熱にしてもアレルゲンの性質が残るので、加工調理品や加熱済みにも注意が必要。
魚類マグロ、サケ、サバ
豆類大豆、ピーナッツピーナッツは、微量でも重篤な症状を起こす場合があり、含まれている食品には注意が必要。
大豆は陽性でも症状がでることはあまり多くない。
肉類鶏肉、牛肉、豚肉肉アレルギーはあまり多くない。
果物キウイ、リンゴ、バナナ花粉症の方やラテックスアレルギーの方が果物を摂ることで発症するアレルギーと関係する。
その他ゴマ陽性になることは多いが症状が出ることはあまり多くない。加工食品に含まれることが多い。

アレルギー39検査の流れ

アレルギー39検査は、一般的な血液検査と同じです。採血の結果がわかるまでに5~7日程度かかります。再度受診のうえ、検査結果をご確認ください。

アレルギー39検査の費用

不妊治療や妊活中のアレルギー39検査は自費です。

  • 検査費用13,200円(税込)

※初診料3,300円がかかります

不妊治療のアレルギーに関してよくある質問

不妊治療のアレルギーに関して、よくある質問をご紹介します。

抗アレルギー薬を服用しても問題ないでしょうか?

抗アレルギー薬は、妊娠や授乳期の服用の安全性のデータが集まっている薬が多いため、不妊治療中や妊娠中に服用しても問題のない薬が多いようです。しかし、抗アレルギー薬を処方してもらう医師には不妊治療中であり、妊娠する可能性があることを伝えて処方してもらいましょう。また、不妊治療の主治医にも抗アレルギー薬の服用を伝えてください。
妊娠がわかったら服用を中止し、抗アレルギー薬の処方医と産科医に相談して、必要があれば他の治療方法や他の薬に変更してもらいましょう。また、市販薬を勝手に服用することは避けてください。

花粉症の治療中ですが不妊治療もできますか?

花粉症の治療中でも不妊治療はできます。ただし、不妊治療の医師に、花粉症の治療中であることや、その治療方法を伝えておきましょう。
花粉症の治療には、症状を抑える方法として、点眼薬や点鼻薬、内服薬、レーザー療法があります。最も身体に負担が少ない治療法はレーザー治療です。点眼薬や点鼻薬も、血液中に吸収される量が極めて少なく安全に使用できるので、抗アレルギー薬の服用に心配があれば医師に相談しましょう。
アレルゲンがスギとダニの場合、根治療法として、舌下免疫療法をしている方も増えてきました。舌下免疫療法中に妊娠した場合でも継続できるとされています。妊娠中にはじめることはできないので、不妊治療と並行して、花粉症やアレルギーの症状を抑える体質改善を検討するのもよいでしょう。

アレルギー39検査で複数の食物系アレルゲンが陽性でした。不妊治療中に食べないようにした方がよいでしょうか?

食物系アレルゲンが陽性でも、食べた時に蕁麻疹などの症状がでなければ、食物アレルギーではなく、すべてを除去する必要はありません。除去する必要がある食物については医師によく相談しましょう。

体外受精・不妊治療の六本木レディースクリニック