先進医療
先進医療について
先進医療とは厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養等で、国民の選択肢を広げ利便性を向上するという観点から、保険診療との併用を認めることとされた医療行為です。先進医療は、医療技術ごとに適応症(対象となる疾患・症状等)および実施する医療機関が限定されています。
先進医療を受けるときは
先進医療を受ける場合であっても、病院にかかる時の手続きは一般の保険診療の場合と同じで、保険証を窓口に提出します。
現在当院で提供している先進医療 ※2024年8月時点
タイムラプス | 33,000円 |
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IMSI | 11,000円 |
PICSI | 22,000円 |
Zymot | 25,300円 |
スクラッチ | 6,600円 |
SEET法 | 33,000円 |
ERA | 136,000円 |
ERA、EMMA、ALICE | 198,000円 |
EMMA、ALICE検査 | 68,000円 |
子宮内フローラ検査 | 49,500円 |
二段階移植(融解胚) | 121,000円 |
二段階移植(新鮮胚) | 80,300円 |
先進医療の概要について
タイムラプス撮像法による受精卵・胚培養
受精卵及び胚を一定時間ごとにカメラで撮影し分割の様子をモニターで動画のように観察できる培養器です。タイムラプスインキュベーターの導入により、培養器の外から胚の観察が可能となるため、胚を大気中へ暴露することなく、安定した環境下での観察が可能となり、胚の分割や成長速度の異常などがよく分かり、正常に発育する胚を見分けることができます。この先進医療によって正常に発育する着床可能な胚を選別することで、妊娠率や培養成績、さらには着床率や生産率の上昇が期待されます。
ERA検査
ERA検査では採取した子宮内膜を検体とし、次世代シークエンサーをもちいて236遺伝子を網羅的に解析し、適切な時期に胚移を行うことにより、着床率等が改善する可能性があります。子宮内膜が着床を受容する期間に周期を同期させ、胚移植を行うことで着床率の向上を目指す検査です。
EMMA、ALICE検査
EMMA、ALICE検査ではNGS技術を利用し、これまで無菌と考えられていたほど少ない量の細菌について詳細に子宮内膜細菌を測定し、子宮内が妊娠に適している状態かどうか細菌叢を検査し、適正な環境であるかどうかを判断し着床率、妊娠継続率の向上と、流産率の低下が期待される検査です。
子宮内フローラ検査
子宮内フローラ検査では次世代シークエンサーを用いた、子宮内腔液に含まれる細菌の16SリボソームRNA解析により、通常の培養検査または、子宮鏡、病理学的検査では困難な子宮内細菌叢の正確な把握が可能になります。結果に基づいて治療を行うことで着床率や生児獲得率が改善する可能性がある検査です。
子宮内膜刺激胚移植法(SEET)について
SEETは胚を培養した培養液(SEET液)を胚盤胞移植に先立ち子宮腔内に注入する方法です。この液には子宮内膜胚受容能促進に関与する胚由来因子が存在しており、胚盤胞移植前にSEETを実施することで胚受容に適した子宮内環境になることが期待できます。採卵周期にSEET液を凍結し、凍結融解胚移植周期にSEETを実施します。
二段階移植について
二段階胚移植法は、初期胚を移植し、引き続き胚盤胞を移植する方法です。胚盤胞移植に先立って初期胚を移植することによって胚受容に適した子宮内環境になることが期待できます。
子宮内膜スクラッチについて
子宮内膜スクラッチは胚移植をする前に人工的に子宮内膜を引っ掻き小さな傷をつける方法です。子宮内膜に小さな傷がつくことでそこを修復するため様々な成長因子など分泌され結果的に子宮内膜の着床に対する反応が促進し着床しやすくなることが期待できます。
PICSI
顕微授精で精子を選別する際に、顕微鏡下でヒアルロン酸を使って成熟精子を見つけるための精子の選別法です。DNA損傷が少ない成熟精子はヒアルロン酸に結合できるという特徴を利用するもので、ヒアルロン酸に結合した精子を選別し、顕微授精を行います。この先進医療で成熟精子を選別し顕微授精を行うことで、染色体数に過不足がある受精卵のうちで異数性胚が発生する割合を下げ、流産率も低下させることが期待できます。
IMSI
IMSIは、高倍率(900~6000倍)かつ、立体的に観察して、精子を選別する方法です。空胞の様な特徴を確認できるため、より形態が良好な精子を選別することができます。この先進医療で、ICSIの成績の改善が期待できます。
領収書はたいせつに保管をお願いします
先進医療を受けると、先進医療に係る費用、通常の治療と共通する部分についての一部負担金についての標準負担額などを支払いますが、それぞれの金額を記載した領収書が発行されます。この領収書は、税金の医療費控除を受ける場合に必要となりますので、大切に保管してください。
監修医師紹介
- 経歴
- 帝京大学医学部付属溝口病院勤務
- 母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
- 国立成育医療研究センター不妊診療科
- 緑風荘病院 血液浄化療法センター
- 六本木レディースクリニック勤務
- 資格・所属学会
- 日本産科婦人科学会 専門医
- 日本産科婦人科学会
- 日本抗加齢医学会
- 日本産科婦人科内視鏡学会
体外受精・不妊治療の六本木レディースクリニック